「胎教」って実際効果があるの? 〜赤ちゃんはモーツァルトの夢を見るか〜

前田 裕斗 先生

記事監修医師 東大医学部卒、産婦人科勤務医(神戸市)

前田 裕斗 先生

二宮 英樹 先生

記事監修医師 東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

我が子にはできるだけよく育ってもらいたい…親なら誰もが思うことですよね。
この記事では、古くから行なわれている「胎教」について、その科学的裏付けの有無や予想される効果について解説します。

もくじ

胎教とは


胎教とは胎内教育とも言い、一般に妊婦が精神の安定に努めて、胎児によい影響を与えようとすることです。
瞑想や赤ちゃんに話しかけること、音楽を聴かせることなど多くの要素を含みます。

胎教の効果は本当にあるの?

巷には多くの胎教用教材が溢れています。曰く、頭がよくなる、コミュニケーションが取れる子になる、優しい子に育つなどなど…
しかし残念ながらこうした胎教の効果について、人間の胎児で科学的に証明されているものは一切ありません。

科学的裏付けのある部分

それでは胎教には意味がないと言えるのでしょうか。実は必ずしもそうとは言い切れません。科学的に証明がされていなくとも、胎教の効果がある可能性を示す事実は幾つか存在します。特に研究の進んでいる音楽の分野から幾つかご紹介しましょう。

お母さんが落ち着けば、赤ちゃんも落ち着く

分娩中にお母さんがリラックスできる音楽をかけることで、胎児の一過性頻脈(活動性を示す指標のひとつ)が増えることが知られており、これはお母さんの不安が軽減されることによるものと考えられています。

胎児の聴覚は早くて妊娠20週から

胎児の内耳器官(音を聞く部分)は妊娠12週頃に形成され、20週頃には機能していると言われています。実際複数の研究で音楽に反応して心拍数や動き、表情が変わることが報告されています。

胎児は子宮内で学習している?

胎児は分娩前に聴かせた音楽を記憶しているという研究もあります。分娩の72時間前から胎児にお腹の上から音楽を聴かせ、その間に記録した心拍数の変化と、分娩後に同じ音楽を聴かせた時の心拍数変化を比較したところ同様の変化を示し、その変化は音楽を聴かせなかった群とは異なっていたというのです。このほかにも胎児は母親と他人の声や、男女の声で異なる反応を示すという研究もあります。こうした研究は胎児が子宮内で幾つかの音を学び、聞き分けられる可能性を示唆しています。

科学的裏付けのない部分

実際の効果は?

胎内で音楽を聴かせることで脳組織や、産後の行動が変化した!という論文はラットやヒヨコなどの動物実験がほとんどで、人間での科学的な裏付けは今のところほぼありません。

モーツァルトを聴かせるといい?

特定の音楽を胎児に聴かせることでよりよい効果があるとする科学的な裏付けは今のところありません。

おわりに

現時点では胎教を行うことでより赤ちゃんの能力を高めることができるという科学的証拠はありません。一方で赤ちゃんには胎内で多くの音を聞きわけ、学ぶことができる可能性があります。巷にあふれる教材に踊らされることなく、お母さん自身がリラックスできる音楽を聴いたり、赤ちゃんに話しかけて愛着を形成することから始めてはいかがでしょうか。

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