レズビアンの乳癌発症のリスクが高いワケ

2017/6/23 記事改定日: 2017/9/7
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

“レズビアンの女性のほうがストレートの女性よりも乳癌になりやすい”という話を聞いたことがありますか? 乳癌はセックスの相手が異性か同性かに関わらず、女性の誰もがかかる可能性がある病気です。それでは何故、レズビアンの乳癌発症率が高い傾向にあるのでしょうか。この記事でその理由や対処法などを見ていきましょう。

レズビアンの乳癌発症率が高い理由

アメリカでの研究によると、レズビアンはストレートの女性よりも乳癌になりやすい傾向が示唆されています。
考えられる要因としては、レズビアンはストレートの女性よりも子供を産むことが少なく、太っていることが多く、飲酒する傾向が高いことなどが挙げられます。

つまりレズビアンだから乳癌を発症するわけではなく、レズビアンの方々の生活背景、社会背景、社会的偏見やそれに伴うストレスが関係して、乳癌のリスクが高まるということです。

この調査では50歳から70歳までの女性のうち乳癌と診断された女性は全体では20人に1人ですが、レズビアンとバイセクシャルの女性間では12人に1人という結果が出ました。

レズビアンやバイセクシャルの女性は定期的に乳癌検診を受けない?!

こちらもアメリカの研究ですが、レズビアンやバイセクシャルの女性は乳癌発症のリスクが高いにも関わらず、定期的に乳癌検診を受けない傾向にあります。
その理由のひとつが、セクシャルマイノリティーに対する差別や偏見です

社会が変わり同性愛への偏見が以前よりも少なくなってきたといっても、ほとんどのレズビアンやゲイ、バイセクシャルの人は生きづらさを感じています。
以下のようなこともメンタル面での問題の原因として数えることができます。

・家族や親、友人に反感をもたれる、拒絶される
・学校でいじめられる、悪口を言われる
・ほとんどの主流宗教で拒絶される
・公共の場で暴力を振るわれる可能性がある
・近所の人から嫌がらせを受ける
・会話の中で同性愛嫌悪的な発言を日常的に聞く
・主治医など専門家にカミングアウトすると困惑される(ときに偏見を持たれることもある)
・職場で差別を受けても保護されない
・メディアが同性愛者について否定的な描写をする

研究によると、レズビアンやゲイ、バイセクシャルの人は異性愛者の人よりも不安感や鬱、自殺願望に悩まされることが多く、薬物乱用やアルコール依存の割合も高いとされています。

これらの問題の解消には第三者や医療・社会機関などに助けを求めることが重要ですが、多くの患者が性的指向を明かしたくないと思っており、また医療従事者も積極的に訊ねたがらないため解決が難しいのが実情です。

発見は早ければ早いほど良し!

乳癌は発見が早いほど生存率も高まり、乳腺切除術(乳房の摘出)や化学療法の必要性も低くなります
そのため、早期発見につながるという点において乳癌検診は効果的とされています。

一方で、乳癌検診にはリスクもあります。
それは、乳癌の症状でないものや命に別状のない腫瘍も検知してしまうことです。
その場合は、不要な検査や治療を受けることになってしまう可能性があります。

検診ではどんなことをするの?

乳癌検診は特別なクリニックや、検診設備の整った病院で行われていますし、マンモグラフィー(乳房を片方ずつX線でスキャンする)を女性のスタッフが行う病院も増えてきています。
検査のときは、乳房をX線の機械にのせて透明な板で上下からしっかりと加圧し、片方の乳房につき2回ほど、異なる角度からスキャンします。
検診後およそ2週間でマンモグラムが医師のもとに送られ、結果が伝えられます。

結果によって25人に1人の割合でより詳しい検査が必要になりますが、再検査になったからといって“乳癌を発症している”と決まったわけではありません。

おわりに:早め&定期的な検診で早期発見を

性的指向を問わず、女性は乳癌にかかる可能性があります。
乳癌は発見が早いほど治療の負担も少なく、生存率も高くなります
思い立ったら早めに、そしてそこで問題がなくてもその後も定期的に検診を受けるようにしましょう。

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