睡眠障害の治療は症状の種類によって違うの?

2017/9/25 記事改定日: 2019/1/28
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

睡眠障害の症状は、夜眠れない以外にもあることを知っていますか?
この記事では、睡眠障害の症状の種類と種類別の治療方法を紹介していきます。
睡眠障害は間違った治療をしてしまうと悪化するばかりか思わぬトラブルを引き起こしてしまうおそれがあります。この機会に正しい知識を身につけておきましょう。

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睡眠障害の症状の種類

睡眠障害の症状を分類すると

  • 眠れない(不眠)
  • 昼間にがまんできないほどの眠気におそわれる(ナルコレプシー)
  • 睡眠中の異常感覚や異常な行動・動作
  • 眠りに落ちにくい、早くに目覚めてしまう

に大きく分けら、具体的な症状として下記が挙げられます。

睡眠時無呼吸症候群
いびき、眠っているときに息が止まる、突然息が詰まったようにいびきが途切れるなどの症状があります。
過眠
十分睡眠をとっているのに日中眠くてしかたない、実際にがまんできなくて居眠りをしてしまう
むずむず脚症候群
就寝時に脚がむずむずする、火照る、脚をじっとさせていられないなどの感覚に陥り、その感覚が邪魔して眠れない
睡眠時随伴症
睡眠時の異常行動、寝ぼけ行動、寝言、睡眠中の大声・叫び声などを起こすこと
入眠や目覚めのリズムの乱れ
眠らなければいけない時間に眠りに陥ることができなかったり、起きなければいけない時間に起きられなかったり、予定の時間よりもかなり早い時間に目覚めてしまうなど。

睡眠障害の症状別の治療方法とは

睡眠障害の治療法は症状によって異なります。以下を参考にしてください。

睡眠時無呼吸症候群

重症度によって治療法が異なります。経鼻的持続陽圧呼吸療法(CRAP療法)や口腔内装置などが使用されます。また、肥満の人は気道が狭くなりやすく睡眠時無呼吸症候群を発症しやすいです。肥満気味、肥満といわれた人は減量に取り組みましょう。

そのほか、飲酒や睡眠薬の使用が症状を悪化させることがありますので控えてください。
睡眠薬を飲まなければ眠れないという人は、必ず医師に相談し自分にあう薬を処方してもらいましょう。

過眠症

過眠症の治療は薬物療法が主体となります。薬物は、精神活動を高める中枢神経刺激剤である「メチルフェニデート」が含まれているリタリン®やコンサータ®がメインで使用され、特発性過眠症には神経を活性化して精神活動を高めるベタナミン®が使用されます。
これらの薬剤の服用を開始したり、増量した直後には精神活動が過度に高まって攻撃性が高まったり、ヒステリー発作を引き起こすこともあります。また、薬の飲み合わせによっては思わぬ副作用が生じることもありますので、注意が必要です。
そのほか、規則正しい睡眠サイクルを促す行動療法などが行われることがありますが、いずれも治療に難渋するケースが多いのが特徴です。

むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害

むずむず脚症候群や周期性四肢運動障害は脳内の神経伝達物質である「ドーパミン」が少ないことが原因と考えられており、治療にはドーパミンの働きを補うドーパミン受容体作動薬が使用されます。
しかし、確実に効果が期待できる治療法は確立されておらず、抗てんかん薬や抗うつ薬などが併用されることがあります。

また、ストレスや飲酒、喫煙などによって症状が悪化することが知られており、治療のためには生活習慣を改善することも大切です。

睡眠時随伴症

睡眠時随伴症にはストレスなどが関与している場合があるので、ストレスをなるべく避けるように工夫しましょう。
睡眠中の寝ぼけ行動が原因でケガをする、ケガをさせてしまうなどのリスクがあるので、危ないものがないかチェックして寝室の環境を整えてください。

薬物療法として、睡眠薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、抗パーキンソン病薬などが使用されることがあります。

概日リズム睡眠障害

乱れた概日リズムを正常なリズムに戻すために、朝に強い光を浴びて体内時計をリセットしましょう。
また、休日だからと遅い時間まで寝ていることも体内リズムの乱れにつながります。「休日くらいはゆっくり眠りたい」気持ちはわかりますが、休日も平日と同じ時刻に起床して日の光を浴びるようにしましょう。

メラトニンやトリプトファンなどのサプリを個人輸入する人も見受けられますが、メラトニンは無認可ですし、トリプトファンには過剰摂取のリスクがありますのでおすすめできません。
薬やサプリメントは必ず医師に処方してもらいましょう。

睡眠薬を飲むときの注意点

睡眠障害の治療には、しばしば睡眠薬(睡眠導入剤も含む)が使用されます。
寝つきが悪い、途中で起きてしまう、早くに目が覚めてしまうなどの「眠れない」という悩みが長く続く人は一時的に頼ってもいいでしょう。
ただし、睡眠薬を使用するときは

  • お酒を飲んだときは睡眠薬を飲まない
  • 睡眠薬の服用後、30分以内に寝床につく
  • 自己判断で睡眠薬の服用を中止しない。薬があわないと感じたときは必ず医師に相談を

おわりに:睡眠障害は症状によって治療方法が違う。安易なセルフケアは止めよう

睡眠障害は症状によって治療法が異なります。適切な治療のためには、自分がどの睡眠障害などかを把握する必要があります。
睡眠時の異常行動や睡眠時無呼吸症候群など自分で把握できない場合はパートナーなどに状態をチェックしてもらい、その状況を正しく医師に伝えられるようにメモを書き記していくことをおすすめします。
また、睡眠薬は医師に相談してから使用するようにしましょう。

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