妊娠中に発熱したらどのように対処すれば良いの?

2017/4/10 記事改定日: 2019/10/11
記事改定回数:3回

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

普段は市販の風邪薬の服用などで対処できる発熱ですが、妊娠中には胎児への影響を考えなければならないため、風邪薬に頼ることはできるだけ避けたいものと考えられています。では、妊娠中に熱が出たらどのように対処すれば良いのでしょうか。

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妊娠中の発熱で注意するポイントは?

個人差はありますが、妊娠中は基本的に免疫力が低下していることが多いので、普段よりも風邪をひきやすい状態です。ただ、もし妊娠中に風邪をひいても風邪のウイルス自体が羊水や胎児へ影響を及ぼすことはほとんどないと言われています。

とはいえ、風邪で咳が続いてお腹が張ったり、高熱が出て胎児の脈が速くなったりする(頻脈)という形で胎児に負担がかかってしまうリスクがあるので注意が必要です。

高熱時にはとくに注意!

38~40℃以上の高熱が持続する場合、風邪以外の病気に罹っている可能性があります。

そのなかには、

  • 風疹
  • 伝染性紅斑(りんご病)
  • 水痘(水ぼうそう)

など、妊娠中に感染すると胎児に影響する病気(先天異常には、神経管欠損、心室中隔欠損などの先天性心疾患などが該当します)もあるので、38℃を超える高熱が出ているときは早めに病院で診察を受けてください。

さらに、妊娠中にインフルエンザにかかると早産となったり、入院治療しなければならなくなることがあるので、インフルエンザが流行する前(10月頃)にインフルエンザ予防注射を受けておく必要があります。

38℃に満たない微熱の場合や発熱を伴わない咳や鼻水、のどの痛みなどの症状であっても、長く続いて辛いようであれば、無理に我慢せずに病院で診てもらいましょう。

熱以外で注意する症状は?

妊娠中は発熱以外にも様々な身体の変化に注意する必要があります。
まず、切迫流産・早産のサインでもある下腹部痛や不正出血が見られる場合は速やかに病院に相談し、受診するようにしましょう。

子宮内の感染が原因でこれらの症状が現れる場合は発熱も伴うことがあります。発熱と腹痛が同時に起こると、お腹の風邪と思われがちですが妊娠中は軽く考えてはいけません。
また、その他にも長引く咳などはお腹に力が入って子宮収縮を促すことがありますので注意しましょう。

病院を受診する際の注意点

風邪とは異なる病気が疑われる妊婦の発熱に関して、日本産婦人科学会は「かかりつけ産婦人科医を直接受診することは極力避け、地域の一般病院にあらかじめ電話をして受診すること」がすすめられています。

とは言っても、いつも診てもらっている医師(産科医)に診てもらいたいという方も多いでしょう。その場合は、他の患者や妊婦への感染を防ぐために事前にかかりつけ医に連絡しておきましょう。

自宅ではどんな方法で熱を下げれば良い?

妊娠中に風邪をひいた場合の対処法は、妊娠していないときと基本的には同じです。しっかりと休養と栄養をとりましょう。

のどの痛みや熱などで食事を摂ることが難しいときは、ゼリー、バナナ、おかゆなど、のどごしが良く刺激の少ない食べ物を食べるようにしてください。
また、熱を早く下げたい場合にはわきの下などの太い血管が通っている場所を保冷剤などで冷やしてみてください。

発熱時は水分の補給が大切

妊娠中は代謝が上がっているため汗をかきやすいので、普段よりも体内の水分が失われやすくなっています。そのため、とくに熱が出ている場合は水分補給が重要です。

失われた汗(水分+電解質)を補えるよう、ある程度食事を摂れている場合なら水分に電解質をバランスよく含んだ糖分の少ない経口補水液がおすすめです。飲料を飲みにくいという場合は喉に負担をかけないゼリータイプを利用するのも良いでしょう。

妊娠中は痛常時でも1日約2リットルの水分が必要と言われています。一回にひと口ずつでも良いので、こまめに水分を摂るように意識してください。

風邪薬は飲まない方がいいの?

市販の風邪薬の有効成分は処方薬よりも効き目が弱く、胎児や妊婦へ影響を及ぼす可能性は低いと考えられていますが、一般的に妊婦が自己判断で市販薬を服用することはおすすめできません。
特に、アスピリンやイブプロフェンは妊娠中には医師の処方がない限り服用しないでください。

また、病院では妊婦に対しても解熱の目的でアセトアミノフェンが処方されることもありますが、どんなときもアセトアミノフェン配合の市販薬を服用してもいいとは限りません。

妊娠2~4カ月頃は胎児の重要な器官が形成される時期にあたり、胎児が最も薬の影響を受けやすいと言われています。
市販薬でも内服できるものもありますから、まずはかかりつけ医に相談してから使用しましょう。

おわりに:妊娠中の発熱対策は休養と栄養補給が基本。それでも高熱が続いたら病院へ

妊娠中はお腹の中に赤ちゃんがいるため、熱が出る、具合が悪いなどの場合にも妊娠前と異なる対処法を取る必要があります。妊娠中の薬の服用は赤ちゃんに何らかの影響を及ぼす可能性があるため、医師に処方された薬剤以外を服用する際は医師・看護師に相談してください。

基本的にはしっかりと栄養・水分補給をし、休養をとって熱が下がるのを待ちましょう。ただし、38℃以上の高熱や咳や鼻水などの症状が続く場合は、妊娠中であることを連絡した上で近くの病院やかかりつけの病院で診察を受けましょう。

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