毒を持って毒を制す? ホメオパシー治療の効果の実際

2017/3/23

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

ホメオパシーという言葉をご存知でしょうか? ホメオパシーは症状を起こす物質が、それらの症状を治す効果があるという考えに基づいた治療であり、身体を癒すことができると主張されているものです。しかし、このホメオパシーの原則は「科学的には信じられない」と言っている研究もあります。
果たして、このホメオパシーとはどんなものなのか、本当に効果があるのかをみていきましょう。

ホメオパシー治療の実際

アメリカなどでは、ホメオパシーは補完医療であり代替医療として位置づけられています。これは、一般的な治療とは異なることを意味しています。

ホメオパシーとは?

ホメオパシーの原則は、ある症状を起こす物質が、その症状を治すのにも役立つという、「毒をもって毒を制す」という理論です。第2の原理は、「振盪(しんとう)聴診法」と呼ばれる希釈と振盪のプロセスに基づいています。
物質がこのように希釈されるほど、症状を治療する力が大きくなると考えています。多くのホメオパシー治療薬は、元の物質が残っていない、もしくはほとんど存在しなくなるまで何度も水で希釈された物質で構成されています。
ホメオパシーは、喘息のような身体的な症状や、うつ病などの症状を治療するために使用されることがあります。

効果はある?

ホメオパシーの有効性に関しては、さまざまな調査が行われていますが、現在はホメオパシーが有効であるという証拠はありません。

どのように治療が行われる?

ホメオパシーを行う場合は、最初に健康状態だけでなく、一般的な幸福、感情状態、生活習慣、食事についても尋ねられます。これに基づいて、医師は治療の方向性を決めます。錠剤、カプセル、液状のホメオパシー薬が投与されることが多いです。ホメオパシーを行う医師は、治療の効果を経過観察します。

ホメオパシー治療はどんな症状に使う?

ホメオパシー治療の対象としては、以下の症状が一般的です。 
・喘息 
・耳感染症 
・花粉症 
・うつ病、ストレス、不安などの精神的健康状態 
・アレルギー、例えば食物アレルギー 
・皮膚炎(アレルギー性皮膚疾患) 
・関節炎 
・高血圧 
ですが、ホメオパシーが、これらや他の健康状態のための効果的な治療であるという証拠はありません。医師のなかには、ホメオパシーがマラリアや他の病気を予防できると主張する人もいますが、これを裏付ける証拠もまだ示されていません。 

安全ですか?

ホメオパシーの治療は安全で、治療に伴う重大かつ有害な副作用のリスクは小さいと考えられています。
しかし、ホメオパシーの治療法には、安全でない物質やほかの医薬品の作用を妨げる物質が含まれているものがあります。治療をうける場合には、十分に医師に相談しましょう。

ホメオパシー治療は信用できる?

特定の症状を誘発する可能性のある物質がそれらを治療するのに役立つという考え方の証拠はありませんし、さらに、水中の物質を希釈して振り混ぜると、それらの物質が医薬品に変わるということも証明されていません。 ホメオパシーの「毒をもって毒を制す」という原理は、理論的に弱いとする見方もあります。 
たとえば、多くのホメオパシー治療では、最終治療薬には元の物質がほとんど残っていない可能性があるほど希釈されることに注意してください。このような場合、ホメオパシーの治療薬は水だけで構成されていることになります。
ですが、ホメオパシーを行う医師には、振盪聴診法のために、水中に元の物質の痕跡があると信じている人もいます。しかし、機械を使っても、これが生じるかはわかりません。超希釈液に、以前溶解していた物質の痕跡があるという考えは科学的に信憑性がないという調査報告もあります。 
ホメオパシーを受けた患者の中には、プラシーボ効果による現象で健康状態が改善したという人がいます。しかし、プラシーボ効果での治療を選んでしまうと、別の効果的な治療法を見逃す可能性があります。

おわりに:ホメオパシー治療は不透明な部分も多い

ここまでみてきたように、ホメオパシー治療の有効性は完全に証明されてはいません。そして、ほかの医薬品の効果を妨げるといった副作用のリスクもあります。まだまだ、解明されていないことが多く、この治療を受ける場合は十分に医師と話し合い、リスクを確認してからうけるようにしてください。

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