妊娠初期は葉酸を十分に摂ろう!おすすめレシピをご紹介!

2017/11/7 記事改定日: 2018/3/20
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前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

妊娠中の女性は積極的な摂取が推奨される「葉酸」。葉酸とはどのような栄養素で、妊娠中のいつからいつまで、どのくらいの量を摂取するべきなのでしょうか?
おすすめレシピとあわせてご紹介します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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葉酸ってどんな栄養素?なんで必要なの?

葉酸は、水溶性ビタミンBの一種で、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜やレバー、豆類などいろいろな食品に含まれています。人間の体において代謝に関わりが深い栄養素で、タンパク質や核酸の合成に働き、細胞の生産や再生を助けたり、体の発育を促したりする役割があります。新しい細胞が作り出されるために葉酸が必要なので、健康や美容を維持するためにも必要な栄養素といえます。

葉酸は、ビタミンB12とともに赤血球の生産を助ける働きがあるため、造血ビタミンとも呼ばれています。不足すると、生活習慣病などの心血管系疾患や悪性の貧血といわれる巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)を引き起こす原因になりますが、葉酸を不足なく摂取することで、それらの疾患を予防することができます。

葉酸が妊娠中の女性に欠かせない理由は?

妊婦さんは、葉酸の積極的な摂取をすすめられています。その理由としては、胎児の細胞分裂が盛んな妊娠初期に葉酸が不足すると、先天性の疾患を招く危険性があるからです。具体的には、二分脊椎症などの神経管(※)閉鎖障害が発症するリスクが高まるといわれています(※神経管:脳や脊髄など、中枢神経系のもとになる細胞の集合体)。

また、妊娠初期は、胎児の脳や脊髄など、さまざまな神経細胞が作り出される時期でもあります。このころに葉酸が不足すると、神経組織に障害が生じ、下肢の運動障害、排せつ機能に障害が起こってしまうことがあります。そのため、妊婦に葉酸は必要な栄養素とされているのです。

鉄分や亜鉛、カルシウムも忘れずに

妊婦には葉酸だけでなく、体の変化に伴って様々な栄養素を初期の頃から気をつけて摂ることが必要です。
妊娠すると出産に備えて体の中の水分量が増加します。それによって、血液が薄まってしまい、貧血になりやすい状態となるのです。

妊婦健診でも貧血チェックは必ず行われるもので、貧血の状態が長く続くとだるさやめまいなどの症状に悩まされるだけでなく、心臓に負担がかかることもあります。貧血予防に大切な栄養素は鉄分です。鉄分は肉類や野菜に多く含まれていますから、積極的に食べるようにしましょう。

また、胎児の正常な発育には亜鉛が必要です。特に妊娠初期は胎児の奇形が起こりやすい時期ですから、妊娠初期のころから積極的に亜鉛を摂るようにしましょう。亜鉛は、レバーやうなぎ、かになどに多く含まれています。

そして、産後の体にも影響を与えるのがカルシウムです。胎児の発育には大量のカルシウムが必要であり、これらは全て妊婦の体から赤ちゃんに送られます。カルシウムが十分な量ないときには骨からカルシウムが溶け出す仕組みになっていますが、これは将来的に骨粗しょう症になる可能性が高くなります。カルシウムは海藻類、大豆製品などの低カロリーな食材にも多く含まれていますから、体重管理をしている妊婦にも手軽に摂れる栄養素です。

葉酸が摂れる!妊娠中のおすすめレシピ

葉酸を多く摂れるおススメレシピをご紹介します。つわりのときもさっぱり食べることができます。

① ひじき炒り豆腐

ニンジン、玉ねぎなどお好みの野菜を細かく刻み、ひじきとひき肉を混ぜて油で炒めます。適量の水と醤油、砂糖で味付けして豆腐を細かく千切って加え、煮詰めたら完成です。
葉酸だけでなく、カルシウムや鉄分も摂れる優れた一品です。

② 鶏肉と青梗菜の中華炒め

鶏むね肉に塩コショウで味付けをして片栗粉でまぶしたものを適当な大きさに切った青梗菜と油で炒め、火が通ったら水と中華スープの素で煮て、最後に塩コショウ、酒などで味付けをして完成です。
固形物が食べづらいつわりの時期にもスープで食が進むメニューです。

③ ほうれん草の胡麻和え

茹でたほうれん草にめんつゆとみりんを加えて味付けをし、千切った海苔とすりごまを混ぜ合わせます。
ほうれん草は葉酸と鉄分の宝庫です。海苔を加えて亜鉛をプラスし、妊婦に必要な栄養素を多く摂れるメニューです。

葉酸はいつからいつまで摂ればいいの?

胎児の細胞分裂が盛んな妊娠初期とは、4週~12週のことを指します。妊娠の兆候があらわれたり、気づいたりしたときは、すでに2か月ほど経っていることがあります。赤ちゃんができたことがわかったら、すぐにでも葉酸を摂取するようにしましょう。また、妊娠を望んでいる人なら、普段から積極的に摂取することをおすすめします。葉酸が特に必要なのは、受精してから3か月ぐらいまでの期間となるからです。

ただ、初期だけでなく、中期、後期、授乳中も不足なく摂取することで、悪性貧血や体調不良を予防したり、母乳として赤ちゃんに栄養を送り出したりすることができるので、産後の赤ちゃんの成長のためにも、妊婦さんの健康維持のためにも摂取しつづけることが推奨されます。

葉酸の必要摂取量は?摂り過ぎにも気をつけよう

妊婦さんの場合、葉酸の1日の推奨摂取量は480μgといわれ、そして1日の上限は1000μgとされています。ただ、摂取のしすぎには注意が必要です。摂取しすぎると、ビタミンB12欠乏症の診断を困難にする可能性があるからです。

また、葉酸不足とビタミンB12不足によって起こる症状には、先述の巨赤芽球性貧血がありますが、葉酸を過剰摂取していると、ビタミンB12が不足していてもこの症状があらわれず、巨赤芽球性貧血を覆い隠してしまうことがあります。葉酸はもともと水に溶けやすい性質を持つ栄養素なので、通常の食生活で過剰になることは稀なのですが、含有量の多いレバーやサプリメントを摂りすぎないよう、厚生労働省が推奨する上限を超えないようにしましょう。

おわりに:葉酸は、赤ちゃんと妊婦さんの健康を守るために重要な栄養素

赤ちゃんの先天性疾患を防ぐためにも、また妊婦さん自身の体調管理のためにも、葉酸は非常に重要な栄養素です。適量を守って、妊娠前から産後まで継続的な摂取を心がけましょう。

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