耳鳴りとは!?どんな症状が出て、どうやって治療するの?

2018/4/16 記事改定日: 2019/3/28
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

耳鳴りとは、自分にしかわからない音が聞こえてくる状態のことです。高温や低温、単音や騒音など音の種類も様々で、原因もたくさんあるため特定が難しいといわれています。
この記事では、耳鳴りの症状の特徴や原因、治療法について説明しています。耳鳴りは誰にでも起こり得る症状なので、いざ起こったときの参考にしてください。

耳鳴りとはどんな状態?どんな音がするの?

耳鳴りは、片耳または両耳で雑音や単音、騒音のような音が聞こえる状態のことです。
キーンという音やリンリンという音、、虫の羽音やゴーという低音、クリック音など、音の種類は様々なものがあります。

耳鳴りの症状 ― 自覚的耳鳴と他覚的耳鳴

耳鳴りを患っている人の大半は、周りで音がしない静かなときに耳鳴りが聞こえてきます。 このタイプの耳鳴りは「自覚(じかく)的(てき)耳鳴(じめい)」と呼ばれ、何らかの神経が正常に機能していない場合や、耳の一部に問題があるために起こります。

また、非常にまれにではありますが、耳の近くの血管などからの「実際の音」によって引き起こされていることもあり、 このタイプの耳鳴りは「他覚(たかく)的耳鳴」と呼ばれています。

自覚的耳鳴の特徴

自覚的耳鳴は、聴覚を司る内耳や脳に何らかの障害があることが原因です。
音は私たちの耳に入ると、耳の奥にある内耳でその情報を処理して、脳の側頭葉にある音を認識する部位に伝えられます。

しかし、この経路の一部に異常が生じると、音を敏感に感知しようとする力が働き、音を感じる神経が過剰に働くようになります。すると、空気の流れやほんの少しの物音にも敏感に反応し、耳鳴りとして感知されると考えられています。

自覚的耳鳴は、聴覚の経路のどこかに異常が生じる病気で高頻度に引き起こされる症状の一つです。
大きな音に晒されたときや加齢によって生じることもありますが、メニエール病や脳腫瘍で発症することもあります。

また、中には、聴覚路の異常だけではなく、耳垢や異物が耳に詰まったり、中耳炎によって音の伝達が妨げられたときに生じることもあります。

自覚的耳鳴の原因

自覚的耳鳴を引き起こす原因には以下のようなものが挙げられます。

  • ストレスや睡眠不足の蓄積
  • ヘッドホンなどで大きな音を聞き続ける
  • 耳垢の蓄積
  • 加齢
  • 突発性難聴
  • メニエール病
  • 脳腫瘍
  • 脳卒中
  • 慢性中耳炎

他覚的耳鳴の特徴

他覚的耳鳴は、中耳付近で動脈硬化や血管奇形などが生じ、血液の流れが乱れることで生じる雑音が原因となることが多く、断続的に生じるため患った人は精神的に大きな負担を感じる傾向があります。

一方、耳の周囲の筋肉のけいれんが起こる病気では、筋肉が痙攣している時のみに、コッツコッツ、プツプツといった音が、耳鳴りとして感じることがあります。

耳鳴りはどうやって治療するの?

耳鳴りの治療は、はっきりとした原因が分かっている場合にはそれらに対する治療が優先して行われます。耳鳴りの原因として多い突発性難聴にはステロイド、メニエール病には利尿薬、中耳炎には抗菌薬などの薬物療法が行われ、脳腫瘍や脳卒中が原因の場合には手術が検討されることもあります。

また、原因がはっきり分からない場合には、生活習慣の改善を行うと同時に、内耳の血流を改善するビタミン剤などが使用されることもありますが効果には個人差があります。

さらに、精神的な要因が関与していると考えられる場合には、抗うつ薬や抗不安薬などが使用されることも多く、場合によっては心理療法が併用されることがあります。

しかし、耳鳴りは治療が難しく、これらの治療を行っても症状が改善しないことは多々あります。長く続く耳鳴りのために精神的にも大きな支障を来たしているような場合には、補聴器などを用いて常に何らかの音を聞いている状態を作り出すことで耳鳴りが気にならなくなるようにする「音響療法」を行う医療機関もあります。

自身の症状に合わせて適切な治療が行えるよう、医師とよく話し合いながら治療を進めていきましょう。

おわりに:耳鳴りは原因の特定が難しく、症状も人それぞれ、早めに病院で検査して適切な治療を受けよう!

耳鳴りの多くは突発性難聴が原因とされ、難聴の治療で改善することもありますが、治療のタイミングが遅くなると回復が遅れることも少なくありません。耳鳴りは種類に限らず、早めに病院で治療してもらいましょう。
また、原因がわからない耳鳴りも、対症療法で気にならない程度まで症状が抑えられるケースもあるので、あきらめずに医師と相談しながら気長に治療を続けてください。

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