記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2020/8/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
熱中症対策として、水分だけでなく塩分も一緒に摂ることが推奨されていますよね。
今回は、夏の塩分摂取に役立つ塩飴の使い方のポイントを、摂取量の目安とともに解説していきます。
熱中症は、汗をたくさんかき、体内の水分が足りなくなることで発症します。
汗をかいたときには、水分と一緒にミネラルも失われてしまうため、熱中症の予防にはミネラルの補給も大切になってきます。
ミネラルが一定量以上失われているにもかかわらず水だけしか飲まず、ミネラルを補給しない状態が続くと「低ナトリウム血症」を引き起こすことがあります。
低ナトリウム血症とは、血液中のナトリウム濃度が低下することで以下の症状を引き起こす状態です。大量発汗によるナトリウム不足が原因のひとつであり、失ったナトリウムを補給せずに水ばかり補給していると発症リスクが高まります。
不足したナトリウムは、塩分(食塩:塩化ナトリウム)で補給できます。熱中症予防のために塩分や塩気の多い食べものが推奨されるのは、この低ナトリウム血症を予防するためです。
熱中症予防の塩分補給には、以下の食べものや飲みものが手軽で取り入れやすいでしょう。
真夏に屋外に出るとき、炎天下のもとで運動や作業をするときなど、たくさん汗をかくことが予想される状況では、水や麦茶と一緒に、塩飴や塩分配合のタブレット、ビスケット、梅干しなどを用意しておきましょう。
また、長時間スポーツをするときは、エネルギー・水分・塩分を一緒に摂取できるスポーツドリンクがおすすめです。
万が一、熱中症になってしまった、なりかけたときのために、経口補水液を備えておくと、なお良いでしょう。
塩飴には塩、砂糖だけでなく、カリウム、カルシウムなど他のミネラル成分や炭水化物、クエン酸、ビタミン類なども含まれているので、活動のためのエネルギー補給や疲労回復にも役立ちます。持ち運びしやすいので、アウトドアレジャーや長距離移動、ランニングのときにも使いやすいです。
含まれている成分に大きな違いはないので、味の好みや食べやすさなど、好みで選んでもかまわないでしょう。
なお、塩飴を食べるときは、できるだけ水分補給も同時に行うようにしてください。水分と塩分を一緒に摂ることで、汗をかいた体に必要な成分を効率的に吸収できるようになります。
多少の違いはありますが、塩飴1粒には約20㎎の塩分が含まれているといわれています。
成人した日本人に推奨される1日当たりの塩分摂取量は6.5~7.5g程度とされているので、食事から摂取する塩分量も考えると塩飴は1日に10個までにしたほうが良いでしょう。
「1回の休憩につき500mlの水を飲み、塩飴を1個ずつ食べる」という休憩を、1日の運動や食事の間に数回はさむイメージで水分・塩分を補給すると考えるとわかりやすいかもしれません。
なお、梅干しには1個あたりに2~3gの塩分が含まれているので、熱中症対策として梅干しを食べる場合は、1日2~3個までと考えましょう。
塩分は熱中症対策に欠かせないミネラルではありますが、過剰摂取すると高血圧、糖尿病や肥満など生活習慣病のリスクを高めてしまいます。塩分の過剰摂取と高血圧は関連性が高いのでとくに注意が必要です。
塩分と糖分を含むスポーツドリンクと一緒に一緒に塩飴を食べると、塩分過多になり思わぬ体調不良を引き起こすことがあります。健康な人はあまり心配しすぎる必要はないでしょうが、高血圧や腎臓病気などの持病がある人は、事前に医師に確認し、自分にあった熱中症対策をとるようにしてください。
大量に汗が失われて起こる熱中症や脱水を予防するには、汗で失われる水分と塩分の両方を一緒に補給する必要があります。水やお茶で水分補給をするときは、塩飴や塩タブレット、梅干しなどで塩分も補給しましょう。ただし、塩分の摂りすぎは生活習慣病のリスクを高めますので、1日の摂取量への配慮を忘れないようにし、すでに持病がある人は必ず医師に確認をとってください。