腎臓が機能低下するとどんな症状が出てくる?機能低下の原因は?

2018/10/23

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

血液をろ過して尿を作ったり、体内の水分濃度を調節して血圧を保ったり…腎臓は、身体の健康維持に重要な役割を果たしている臓器です。
今回は、腎臓の機能低下が起こった場合に現れる症状や重症化するとどうなるのかについて、その原因と改善策とあわせて解説していきます。

腎臓の機能が低下すると、どんな症状が出てくる?

腎臓機能が低下したときに現れる代表的な症状には、以下のパターンが挙げられます。

目で見てわかる尿の異常
濁りや泡立ち、褐色のような濃い色など、尿の見た目に変化が起きたときは、腎臓の機能が低下して本来は排出されないはずの成分が混入している可能性が高いです。
本来は澄んだ黄色である尿が、タンパク質が混入すると濁りや泡立ちを、赤血球が混入すると褐色になるケースがあるので、尿の変化は腎機能を表すバロメーターになります。
尿の回数の変化
1日あたりの尿の回数は3~10回程度なら正常とされますが、これよりも極端に回数が多かったり、ある時期から急に回数が増えた場合は要注意です。
腎機能の低下によって、排出される尿の量が増えている可能性があります。
身体のむくみ
腎機能が低下すると、身体から十分に水分が排出されなかったり、血中の水分が血管外に染み出すことでむくみが起こりやすくなります。
このところ靴がきつい、指輪が入らなくなった、身体についたゴムなどの跡が消えなくなった、急に太ったという方は、腎機能が低下しているかもしれません。
貧血、だるさ
腎機能が低下すると尿による毒素の排出がうまくいかなくなり、赤血球の生成を促進するエリスロポエチンというホルモンの分泌量が低下します。
すると、身体に毒素が蓄積されやすくなり、赤血球も足りなくなってしまうため、慢性的なだるさと貧血症状が起こることがあります。
皮膚疾患ではないかゆみ
腎臓機能が低下し、うまく排出されなくなった老廃物や毒素は血中や皮膚に蓄積され、皮膚のかゆみ受容体ミュー・ペプチドと結合してかゆみを発症します。
皮膚に何の異常もないのに肌が猛烈にかゆい、という人は腎臓の機能低下のサインかもしれません。

腎臓の機能が低下してしまうのはどうして?

腎機能が低下してしまう2大原因として、「食生活」と「生活習慣病」が挙げられます。

腎臓は、タンパク質の消費によって生成される尿素窒素や尿酸などといった有害物質の処理と、塩分の排出を一手に引き受けている臓器です。このため、タンパク質や塩分過多の食生活を送っていると腎臓に負担が蓄積していき、疲れから腎臓の機能が低下していく可能性があります。

一方、大量の血液をろ過する腎臓は、血液・血管状態の影響を受けやすい臓器でもあります。このため、糖尿病・高血圧・脂質異常症など、血液や血管に異常をきたす生活習慣病を発症すると、腎機能が低下する可能性も高くなるのです。

特に高血圧と糖尿病は、以下の理由から腎機能の低下と密接にかかわっているとされます。

高血圧
一因である塩分の排出と、血圧を調整するホルモン分泌を腎臓が担っている
糖尿病
腎臓では血中の糖分ろ過も行っているため、血糖値上昇は腎臓にも負担となる

腎臓の機能が低下していくとどうなるの…?

腎臓の機能低下は一旦始まるとどんどん進行し、その機能は少しずつ失われていきます。

腎機能が本来の30%程度してなくなると、先述した尿の異常やむくみ、貧血、だるさ、高血圧などさまざまな症状が現れます。この段階まで来ると、食生活を見直しても完全に腎臓の機能を回復することは難しくなり、今ある30%の機能を維持するための治療を行っていくことになります。

さらに進行して、腎機能が本来の30%を下回るまで極度に低下する「末期腎不全」の状態になると、人工的に腎機能を代替する治療の必要が出てきます。
具体的には、健康な人から2つある腎臓のうち1つを提供してもある「生体腎移植」と、人工腎臓または自分の腹膜を使った「透析療法」を行います。

ただし、日本で生体腎移植が行われたケースは少なく、ほとんどの人が人工腎臓を使った人工透析を受けることで、腎機能を補っているのが現状です。

どんなことに気をつければ、腎臓の機能を回復できる?

自覚症状がほとんどない軽度の段階で腎臓の機能低下がわかった場合は、食生活に気を付けることで、腎機能を回復できます。
以下に、腎臓の機能回復に有効な食事療法のポイントを紹介しますので、健康診断で腎臓の機能低下を指摘された人は、必ず実践してください。

摂取エネルギーと体重の管理

腎機能低下の一因となる生活習慣病のリスクを減らすため、1日の摂取エネルギー量が適正になるよう、管理しましょう。

1日の適切な摂取エネルギー量は「標準体重×30~35(kcal)」、標準体重は「22×身長(m)×身長(m)」で算出できます。
なお、検診で肥満も指摘されている場合は、1日の摂取エネルギーを「標準体重×25(kcal)」以下になるよう調整してください。

塩分摂取量の管理

塩分の摂取量を減らすことも、腎臓の負担を減らし機能を回復するのにとても効果的です。1日当たりの塩分摂取量は、以下を参考に6gまでになるよう工夫しましょう。

醤油
小さじ1杯が約1gであるため、1日小さじ6杯程度まで
味噌
大さじ1杯が約2gであるため、1日大さじ3杯程度まで

ラーメンやうどんの汁は飲み干さない、漬物など塩分の高い食品を控える、減塩の醤油や味噌を使うことを習慣づけるだけでも、かなり違ってきます。

タンパク質摂取量の管理

腎機能回復のためにタンパク質摂取量を制限するなら、1日あたりの摂取量が「標準体重×0.6~0.8g」になるようにすると良いでしょう。ただし、タンパク質が不足すると体調不良に陥る可能性もありますので、医師や栄養士に相談のうえ、制限することをおすすめします。

おわりに:腎機能が低下すると尿の見た目や回数のほか、全身に症状が現れる!

腎臓は、血液から老廃物や余分な水分・塩分を取り除いて尿として排出したり、血圧を調整するホルモンなどを分泌しています。腎臓の機能が低下すると尿の見た目や回数の変化をはじめ、全身のむくみや倦怠感、貧血症状などが出ます。腎機能は、腎臓に負担が大きい食習慣や生活習慣病によって低下し、放っておくと進行して人工透析などの治療が必要になります。検診で腎機能の低下を指摘されたら、早めに食習慣を変えて治療していきましょう。

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