記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肝臓や十二指腸につながっている「胆嚢」とは、どんな働きをもつ臓器なのでしょうか。胆嚢の状態が悪化したときに起こる症状や病気など、全般的な情報をお届けしていきます。
肝臓から十二指腸に胆汁を運ぶ管を胆管と呼び、胆管の途中で枝分かれする形で胆嚢という袋状の臓器があります。
胆嚢は、肝臓で作られた胆汁を5~10倍の濃さに濃縮し、一時的に蓄える役割をしています。
十二指腸に食べ物が入ると胆嚢の収縮によって胆汁が絞り出され、脂肪の分解を助けますが、消化酵素ではありません。
食べ物の消化や体のエネルギー源の生成などに重要な働きをしていますが、病気や障害の原因になった場合、なくなってもよい臓器と考えられているため、完全に摘出されてしまうこともあります。
胆汁はコレステロール、胆汁酸、ビリルビン(胆汁色素)という代謝物でできています。ビリルビンは黄色い色素でできており、尿や便に色がついているのはビリルビンの作用によるためです。
胆汁は、とくに脂肪の多い食事をしたときに、脂肪を吸収・消化しやすい形に変化させたり、ビタミンAやビタミンDといった脂溶性のビタミンの分解を助けたりします。
胆汁の大部分は小腸で吸収され、他の栄養分と一緒に血管を通り肝臓に戻って、再び利用されます。
肝臓で生成された胆汁を蓄えておく胆嚢ですが、加齢や食生活の変化によって胆嚢や腸の働きが悪くなります。
胆嚢の働きが悪くなると、胆汁の中のコレステロールの量が増え、胆汁に細菌が感染し、胆汁の性質が変わって、胆嚢に石のようなものができることがあります。これを胆嚢結石症と呼び、女性や肥満気味の方、中高年に多い病気としてあげられます。
初期の胆嚢結石症は痛みなどの自覚症状がなく、日常生活に支障をきたさないため気づきにくいです。ただ、胆嚢の中でできた結石が胆嚢の出入り口にはまり込むと、強い痛み(胆石の疝痛発作)を感じます。結石が栓をしている状態が長く続くと、胆嚢は内部の圧力が高くなって腫れあがります。
このように結石によって炎症が起きている状態を急性胆石性胆嚢炎と呼び、みぞおちから右わき上腹部の強い痛み、背中の痛み、悪寒・発熱や吐き気などの症状があらわれます。放置しておくと細菌が増殖し、胆嚢が破裂して、腹膜炎になることがあります。
また、胆嚢がん患者の60%には、結石(胆石)があるといわれています。
結石ができると右側のみ肩がこる、背中が痛いなどの症状があらわれることがあるため、異常を感じたらすぐに医療機関を受診し、検査・治療を受けてください。
胆嚢炎は、言葉通り胆嚢に炎症が起きている状態です。胆石ができたり細菌感染したりすることによって引き起こされます。約9割は胆石によって起こると考えられていますが、近年ではタバコとの関連性も指摘されています。
また、暑さを感じる時期は脱水になりやすく、アルコールを飲んだり高脂肪の食事を摂ったりすることが増えます。こういった食生活は胆石ができやすいので、十分な注意が必要です。
なお、胆嚢炎は、急性胆嚢炎と慢性胆嚢炎の2つに分類されます。
胆嚢炎の予防は胆石を作らないことが重要となり、乱れた食生活や生活習慣は胆石の原因となります。
日々の生活を見直すことが、胆嚢炎にならない一番の予防方法なのです。
体が栄養素を、分解・吸収しやすいように消化液を蓄えている胆嚢ですが、その働きが悪くなると胆石ができ、胆石が原因でさらに重い病気を引き起こす可能性があります。胆石を作らないよう、日ごろから生活習慣を整えていきましょう。
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