膵嚢胞(すいのうほう)とは、どんな病気?がん化することがある?

2017/12/6 記事改定日: 2018/10/11
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

CT検査などの画像検査を受けた際、偶然発見される病変のひとつに「膵嚢胞(すいのうほう)」があります。今回はこの膵嚢胞について、症状や原因、治療法などを解説していきます。

膵嚢胞(すいのうほう)とは?

膵嚢胞(すいのうほう)とは、膵臓の内部や膵臓の周辺に出来る嚢胞と呼ばれる袋のことをいいます。袋の大きさは、数mm程度の小さなものから10cmを超える大きさのものまでさまざまです。また一つだけのものもあれば多発するものもあり、発生する個数も人によって異なります。袋の中には液体が溜まっています。

膵嚢胞はCT検査やMRI検査などを受けた際に偶然発見されるケースが多く、近年では画像診断の技術向上とともに、発見されるケースが増えてきています。

膵嚢胞には、真性嚢胞と仮性嚢胞の2種類があり、このうち真性嚢胞には、遺伝などによって生じる先天性のものと腫瘍性のものがあります。腫瘍性のものの中には、がん化する恐れのあるものもあります。

がん化しやすい嚢胞

膵嚢胞は、膵炎などの炎症性疾患によって形成されるものと、炎症とは関係なく形成されるタイプのものがあります。炎症に伴ってできる膵嚢胞はがん化の可能性はほとんどありません。しかし、炎症とは関係なく形成されるタイプの膵嚢胞はがん化することもあるので注意が必要です。
がん化しやすい膵嚢胞は、「腫瘍性嚢胞」と呼ばれますが、膵管内乳頭粘液性腫瘍・粘液性嚢胞腫瘍・漿液性嚢胞腫瘍などが代表的です。
最も患者数が多いのは膵管内乳頭粘液性腫瘍ですが、年に1%ほどががん化するとされており、嚢胞部以外に膵臓内にがんが発生することがあります。また、粘液性嚢胞腫瘍と漿液性嚢胞腫瘍は中年以降の女性に多く見られ、特に粘液性嚢胞腫瘍はがん化する可能性が高いので手術による切除が勧められます。一方、漿液性嚢胞腫瘍は粘液性よりもがん化する可能性は低いですが、サイズが大きくなる場合などは手術をすることもあります。

膵嚢胞にができると、どんな症状が現れる?

膵嚢胞ができても、症状はほとんどありません。そのため検査画像で偶然発見されるケースがほとんどです。ただし、吐き気や嘔吐、腹痛などの症状が現れることもあり、また膵嚢胞が破裂してしまった際は、緊急に医療処置を受ける必要があります。

膵嚢胞が破裂することによって、腹部に細菌感染が起こり、大量出血してしまうことがあるからです。その場合には、吐血・失神・意識の低下・重い腹痛などの症状が現れます。

膵嚢胞の種類と原因の違い

膵嚢胞には仮性嚢胞と真性嚢胞があり、それぞれで原因は異なります。

まず、仮性嚢胞は急性膵炎や慢性膵炎、あるいは外傷を受けたことによって発生するとされています。
一方の真性嚢胞には、遺伝的な要因が関係している先天性のものと腫瘍性のものがあります。腫瘍性のものが発生する原因は詳しく分かっていませんが、良性の膵嚢胞が何らかの原因によって悪性に変化したことで発生したと考えられています。

悪性のものに変わる要因としては、タバコやアルコールといった生活習慣が影響を与えることが分かっています。また良性と判断された嚢胞でも、時間の経過とともに悪性化することもあります。そのため悪性化しないようにするには、定期的に経過観察を行うことが重要になります。なお、悪性の腫瘍はがん化することが多いので、治療が必要です。

膵嚢胞はどうやって治療するの?

膵嚢胞は良性のものであれば、自然に治ることも多いので特に治療を行う必要はありません。ただし、良性の膵嚢胞でも悪性化することがあるので、定期的な検査を行って経過観察する必要があります。

なお、膵臓の周辺にできた膵嚢胞が他の器官を圧迫している場合には、他の器官を圧迫しないように小さくする必要があります。その際には手術によって、袋の中に溜まっている液体を排出する治療方法がとられます。また袋が大きくなりすぎた場合にも破裂してしまう恐れがあるので、袋の中の液体を排出する治療法がとられます。手術は全身麻酔をかけて行なわれ、皮膚を少しだけ切開し、そこから針を使って排出します。

なお、膵嚢胞が悪性の場合には、手術によって切除していきます。

食事療法で治る?

膵嚢胞の中でも、慢性膵炎などが原因となって生じるタイプのものは食事に注意する事で治ることもあります。食事療法としては、膵臓に負担をかけないよう、脂肪分の少ない食事を心がけ、アルコールを控えることが大切です。
しかし、腫瘍性嚢胞の場合には食事療法を行っても嚢胞が消退することはありません。膵嚢胞の中にはがん化するタイプのものもあるため、自己判断で食事療法を続けず、定期的な経過観察を受けるようにして下さい。

おわりに:良性の膵嚢胞でも、欠かさず経過観察を

膵嚢胞は破裂しない限り、症状が出ることはほとんどありませんが、最初は良性のものでも悪性化することがあります。もし膵嚢胞ができた場合は、定期的に経過観察を続けていきましょう。

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