記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/5/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
耳の痛みは、快適な日常生活や仕事のパフォーマンスを阻害する要因となります。特に耳の後ろあたりがズキズキと痛む場合には、どのような原因疾患が考えられるのでしょうか。今回は、耳の後ろがズキズキ痛くなる場合に考えられる4つの原因疾患について、解説していきます。
後頭神経痛は、首から後頭部、耳の後ろ、側頭部にかけて広がっている太い神経(「大後頭神経」「小後頭神経」「大耳介神経」の3つ)が圧迫されることで発症します。
耳の後ろ側の痛みと一緒に、以下のような頭痛を伴うのが特徴的です。
後頭神経痛を引き起こす首から頭にかけての太い神経の圧迫は、以下のような理由から、周囲の筋肉が緊張により硬化したり、頸椎が変形することで生じると考えられています。
長時間同じ姿勢でスマホやパソコンを使うことや、慢性的なストレスによって筋肉が緊張することは、耳の後ろの痛みや頭痛の原因になりやすいので気をつけましょう。
耳の後ろのズキズキとした痛みが、風邪を引いた後から発症して治らないという場合は、リンパ節炎を発症している可能性が高いと考えられます。
リンパ節は、体内でリンパ液を循環させている免疫器官の一種です。首や耳の後ろ、太ももなどには大きなリンパ節が存在していますが、これらのリンパ節のうち1つ、または複数が炎症を起こした状態をリンパ節炎と言います。
リンパ節炎を起こすと、耳の後ろの痛み以外に以下のような症状が出るのが特徴です。
リンパ節炎は、風邪やケガにより細菌やウイルス、カビ、寄生虫などが血液を介してリンパ節にまで到達することが原因で発症します。このような病原体が全身に広がって悪影響を及ぼさないように食い止め、殺傷するための免疫反応なのです。
耳の後ろが痛み、さらに耳下腺(じかせん)と呼ばれる組織のある耳の下あたりが腫れているときには、流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)の発症が疑われます。
流行性耳下腺炎とは、いわゆる「おたふく風邪」のことで、感染・発症すると片側もしくは両側の耳下腺が腫れる感染症の一種です。
代表的な耳下腺の腫れや痛みに加えて、以下のような症状が出ることがあります。
おたふく風邪発症の原因は、ムンプスと呼ばれるウイルスへの感染です。感染すると2~3週間の潜伏期間を経て発症し、通常1~2週間ほどの対症療法と療養を続けると回復していきます。
耳の後ろの痛みとあわせて、耳たぶや耳の後ろあたりに赤みを伴う小さな水膨れがあるときは、ラムゼイ・ハント症候群の可能性が考えられます。
ラムゼイ・ハント症候群は「耳性帯状疱疹(じせいたいじょうほうしん)」とも呼ばれる感染症で、以下のような症状を引き起こします。
ラムゼイ・ハント症候群の原因は、水ぼうそうやヘルペスを引き起こす水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルスへの感染です。
水痘帯状疱疹ウイルスは、一度感染して水ぼうそうやヘルペスを発症した後、症状がなくなっても体内にとどまり、潜伏していると考えられています。
ストレスや体調不良などで免疫機能が低下すると、潜伏していたウイルスが再活性化し、脳から耳にかけてのびる神経に作用してラムゼイ・ハント症候群を引き起こすのです。
耳の後ろがズキズキ痛む場合に考えられる原因疾患として、後頭神経痛、リンパ節炎、流行性耳下腺炎、ラムゼイ・ハント症候群の4つをご紹介しました。それぞれ耳の後ろの痛みとあわせて特徴的な症状がみられます。こうした症状を少しでも早く改善するためには、耳鼻咽喉科で診てもらうことが大切です。痛みや腫れを長引かせないよう、早めの対策を心がけましょう。