記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/11/19
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
立ちっぱなしや座りっぱなし、歩きっぱなしなど、長時間同じ姿勢を取り続けていると足がむくむ、ということは経験則的に知っている人も多いでしょう。こうしたむくみは加齢とともに起こりやすくなるものですが、高齢者の足のむくみはどうして起こるのでしょうか?
また、こうしたむくみを改善するにはどうしたら良いのでしょうか?むくみの原因を知り、原因に合わせた改善を行いましょう。
むくみ(浮腫)は、細胞組織の液体(細胞間質液)と血液の圧力バランスが崩れて細胞組織に水分が余分に溜まり、腫れてしまった状態です。よく、足やすねを指で圧迫し、押したあとがへこんだままなかなか戻らないと、むくんでいる状態だと判断することがあります。
むくみは下肢に現れやすいのは、重力によって水分が身体の下の方に溜まりやすくなるためです。したがって、寝たきりの人にむくみが生じる場合、背中や顔がむくみやすくなります。これは、ずっと同じ姿勢でパソコン作業をする会社員の人が夕方ごろには足がむくんでしまうのと同じで、寝たきりの人もずっと同じ姿勢でいることが多いからです。
むくみは、加齢によって血液のめぐりが悪くなることが原因で起こると考えられています。通常、身体の不要な水分は細胞から静脈やリンパ管に戻され、最終的には尿として排出されます。しかし、加齢によって血液のめぐりが悪くなると、細胞に溜まった水分を静脈やリンパ管に戻しきれなくなり、不要な水分が身体にたまってむくんでしまうのです。
加齢以外の原因として、長時間同じ姿勢で居続けることや塩分や水分の摂り過ぎ、お酒の飲み過ぎ、過労やストレスなどが挙げられます。
足のむくみが生じる疾患として、以下の3つが挙げられます。
これらはいずれも命に関わる疾患ですから、高齢者が足のむくみで病院を訪れたときは、まずこれらの疾患を発症していないかどうか複数の診療科で全身を検査します。
ただ、このような特定の疾患がなくても、高齢者特有の生活習慣によって起こる「慢性下肢浮腫」が生じている可能性もあります。
慢性下肢浮腫は、以下のような生活習慣が原因で起こります。
慢性下肢浮腫は、日々の生活習慣の見直しで予防・解消できます。主にふくらはぎの筋肉を十分に動かすことが大切です。家族やヘルパー、介護福祉士などがきちんと知識を持ち、きちんとふくらはぎを動かしてあげられるよう、少しずつこれらの生活習慣改善を手助けしてあげましょう。
塩分や水分の摂り過ぎやお酒の飲み過ぎ、長時間同じ姿勢でいることが原因のむくみは、毎日の心がけで改善できます。加齢によるむくみの場合には、原因別に以下の方法で対処することができます。
心臓の機能が低下している高齢者の場合、急に足を上げたり横になったりすると、足にたまっていた水分が一気に上半身に戻って心臓や肺に大きな負担がかかることがあります。このような場合、起きた状態から段階的にゆっくり寝る姿勢、または足を上げる姿勢に変えていきましょう。介護ベッドにギャッチアップ機能がついていれば、それを使うと便利です。
このほか、以下のようなこともむくみ改善に有効です。
高齢者に起こりやすい足のむくみは「慢性下肢浮腫」という生活習慣によるものが多く、心不全や腎不全など、重大な疾患を発症したわけではないことも多いです。慢性下肢浮腫の原因は、下肢に余分な血液が溜まってしまうことですから、長時間座りっぱなし、または長時間立ちっぱなしのような同じ姿勢を続けてしまわないよう気をつけましょう。また、歩くときもふくらはぎの筋肉をしっかり動かすことを意識してみてください。ひどくないむくみなら、機能性靴下などで緩和することもあります。