書痙(しょけい)を治すことはできるのか? 原因と治療について

2017/10/25 記事改定日: 2019/9/18
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

文字を書こうとすると、手がふるえて書けなくなってしまう「書痙(しょけい)」。文筆業をされている方であれば、一度は耳にしたことのある病名ではないでしょうか。今回の記事では、この書痙の原因や治療法について解説していきます。

書痙(しょけい)とは

書痙とは、一般的な動作には問題はないのに、字を書こうとしたり書き始めたりすると持続性の筋緊張が手に生じ、こわばりやふるえが起こり、字を書くのが困難になる症状です。速記者、代書者、文筆者、教師など、文字を書くことを仕事にしている人に多いのが特徴です。特に20代から40代の男性に多いといわれています。

従来は精神的緊張によるもの、あるいは心因性の疾患と考えられてきましたが、1985年頃からの研究に基づき、大半は、脳内運動メカニズムの不調によるジストニアという病気が原因であることが判明しています。

書痙の代表的な症状は?

書痙の主な症状は手の震えやこわばりです。字を書こうとすると手が痙攣することにちなんでこの病名がつけられていますが、実際は筆やペンを手にする場面に限らず、以下のようなさまざまな症状がみられます。

主な症状
  • 人と話しているときに手や声が震えてしまう
  • 手が震えて料理ができない
  • 大勢の人の前で話すときに顔がピクピクと動いてしまう
  • ピアノの発表会で手が動かない

ちなみに、書痙を細かく分類すると、人前など緊張する場面で震えの症状が悪化するタイプと、1人でリラックスしている場面でも、震えよりもこわばりの症状が発症するタイプとに分かれます。

書痙が起こる原因

書痙を発症する原因はさまざまです。たとえば身体的な要因で発症することがあります。ハンドルを握ったまま衝突事故を起こしたために手のひらの筋肉が固まってしまうなど、強いショックが肩に及んだことが原因で、書痙を発症するケースです。

ただ、上記のような原因はまれで、多くは精神的な要因によります。あがり症、極度の緊張、文字を書くことへの極度の劣等感、神経症などが挙げられます。先ほどの分類でいうと、人前など緊張する場面で震えの症状が悪化するタイプは、この原因に基づくものと考えられています。この場合、心理療法や抗不安剤の服用が症状緩和に役立つことがあります。

なお、現在では、ジストニアという脳の障害により無意識に筋肉がこわばってしまう不随意運動も発症の原因と考えられています。ジストニアの症状は、手や足、首や体幹などさまざまなところに発症しますが、その原因は脳からの指令の異常にあります。先述の分類でいう1人でリラックスしている場面でも、震えよりもこわばりの症状が発症するタイプは、このジストニアによるものと考えられています。この場合は手術による治療が有効と考えられています。

書痙を治療するには

書痙の治療法として、薬物治療、ボツリヌス治療、精神療法、手術療法の4種類があります。ただし、手術以外は対症療法で、根本的に病気を治療する手段ではありません

薬物治療
抗コリン剤、抗精神病薬、末梢性筋弛緩薬、抗不安薬、抗うつ薬などが用いられます
ボツリヌス治療
薬剤の筋弛緩作用を利用した治療法です。前腕や手の筋肉にボツリヌス毒素を注射し、緊張した筋肉を麻痺させます
精神療法
不安を取り除くなどの効果が得られ、日常生活でのストレス軽減が期待できます。ただし、ジストニアから生じている書痙については効果が薄いと言われています
手術療法
通常、「定位脳手術」という手法が用いられます。局所麻酔で前頭部に1cmの穴を開け、太さ1mm程度の器具(凝固プローベ)を挿入して、目的の部位を70~80℃に熱し凝固させるというものです。一般的に10日程度で退院可能とされます

おわりに:まずは原因の見極めが重要!専門医に相談を

  • 書痙の原因はさまざまで、原因によって治療法が異なる
  • 治療するためには正確な見極めが重要です。専門医に相談し、適切な指示を受けることが大切

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