記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
百日咳は、特有の咳と喘息のような発作が出る気管支の感染症です。子供がかかりやすい病気ですが、近年では大人の感染増加も報告されています。
今回は年齢を問わず感染・発症のリスクがある百日咳について、代表的な症状や治療内容を詳しく解説していきます。
百日咳は、百日咳菌の感染から平均で7日、長ければ20日程度の潜伏期間を経て発症し、以下の3つの段階でそれぞれの症状が出ます。
発症から1~2週間までの期間で、咳・鼻水・微熱など風邪のような症状が出ます。
咳だけがだんだん酷くなってきますが、この段階の症状のみで百日咳を疑うのは難しいとされています。
発症から2週間以上経過しカタル期が終わると、百日咳特有の短い連続的な咳や、息を吸い込むときに「ヒュー」という音が出る状態が2~3週間続きます。発熱などはなく、咳の発作が起きているとき以外は元気ですが、乳児や幼児では無呼吸や咳からの嘔吐などが起こりやすいため、重症化しやすい時期です。
発作のような短く、激しい咳が続いて3週間程度経つと、咳が治まって回復期に入ります。
咳が出ることは徐々に少なくなりますが長引く傾向があり、完全に咳が出なくなるまでには2~3か月ほどかかるといわれています。
百日咳は細菌感染によって起こるので、初期の治療には、細菌の増殖を抑える効果のある抗生物質が使われるのが一般的です。
生後6か月以上の患者にはエリスロマイシンやクラリスロマイシンなどマクロライド系の抗生物質が積極的に使われます。マクロライド系の抗生物質は、特に発症から2週間以内のカタル期の治療に有効です。
カタル期の抗生物質の投与によって、通常は3週間程度かかるといわれる菌の排出が促進され、服用開始から約5日後には細菌が少なくなるというデータもあります。ただし、謦咳期に入っている場合は抗生物質の効果があまり期待できないため、鎮咳去痰剤や気管支拡張剤を使って症状の緩和をはかっていきます。
百日咳の治療は投薬がメインですが、服用する薬の内容は、治療を開始する時期によって変わってきます。発症から2週間以内の初期・カタル期であれば、抗生物質を使って原因細菌を減らすための治療法が取られます。一方、発症から3週間以上が経過して特徴的な咳が出る謦咳期に入っている場合は、鎮咳去痰剤や気管支拡張剤を使って治療します。これらは百日咳治療の基本ですので、覚えておいてください。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。