腎臓に囊胞ができる病気「腎囊胞」の原因は?治療法はあるの?

2018/10/26

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

「腎囊胞」という病気をご存知ですか?その名のとおり、腎臓に囊胞ができる病気なのですが、いったいなにが原因で発症するものなのでしょうか。治療法などと併せて解説します。

腎臓に囊胞ができる「腎囊胞」ってどんな病気?

腎嚢胞とは腎臓にできる球状の袋のことをいい、大きさが0.5~4cmの嚢胞が,1つの腎に1~3個みられる病気のことをいいます。この袋の中には液体が貯留していますが、多くの腎嚢胞は無症状であり、健康に問題はなく、先天性といって生まれつき腎嚢胞であるという人もいます。しかし、後天性の一部の腎嚢胞では、悪性腫瘍を伴ったり腎嚢胞が多発したりすることによって腎臓の機能が低下してしまいます。

また、無症状のことがほとんどですが、腎嚢胞の大きさが5cm以上となると腎嚢胞の圧迫によって腰部に鈍い痛みが出現する場合もあります。

腎囊胞ができる原因は?

腎嚢胞ができる明確な原因は、現在のところわかっていません。しかし、腎臓に嚢胞が複数できてしまう病気である多発性腎嚢胞は、遺伝が原因ということがわかっています(遺伝の場合、約50%の確率で遺伝をすることがわかっています)。

また、多発性腎嚢胞の場合は慢性腎臓病のある人や何年も透析を受けている人でもよくみられています。特に透析治療を10年以上にわたって受けている人では、50%以上の割合で腎嚢胞が認められています。

多発性腎囊胞とは?

多発性腎嚢胞とは両方の腎臓にできた多発性の嚢胞が徐々に大きくなり、進行性に腎機能が低下する病気であり、遺伝的な病気になります。30~40歳代まではほとんど無症状で経過し、中には多発性腎嚢胞の症状に気づくことなく一生を終える人もいます。

初発症状としては、体に衝撃を与えるスポーツや外傷を受けた後に血尿、腹痛・腰背部痛などが多く見られます。進行すると、腹部圧迫症状として腹部膨満感や食欲不振、高血圧などが見られます。放置していると膿胞がどんどん大きくなってネフロンを圧迫してしまい、慢性腎不全の原因となってしまいます。

根本的な治療方法はなく、腎機能障害がすでにみられている場合には、腎機能保護を目的とした保存的治療を行います。 また、体内の水分量が足りなくなると、尿を濃くするために出てくるバゾプレシンというホルモンが出るようになり、これによって嚢胞が大きくなるといわれています。そのため、尿路感染や結石など二次的な症状の予防も兼ねて、水分摂取を励行します。他にも高血圧によって多発性腎嚢胞が悪化することも指摘されており、血圧コントロールをすることも重要となります。

多発性腎嚢胞によって、持続的な出血もしくは感染症を引き起こす嚢胞であった場合には、ドレナージによって膿胞の中の水を体外に排液する治療が必要になることがあります。また、まれではあるものの、腎臓の一部や腎臓全体を切除する腎部分切除術または腎摘出術が必要になることもあります。

腎囊胞があるとどんな病気のリスクがある?

腎嚢胞そのものは無症状ではあるものの、腎嚢胞であることを知りながら放置をしてしまうと、さまざまな病気のリスクを伴います。例えば、腎嚢胞そのものに感染を起こしたり、腎嚢胞内に出血を起こしたりすることもあります。また、非常にまれではあるものの腎嚢胞が大きい場合は破裂してしまい生命への危険を伴うこともあります。

ほかにも腎嚢胞が腎臓を圧迫して尿の流出をせき止めてしまうことによって水腎症になってしまったり、腎嚢胞が増えてしまうことによって腎臓の機能が低下し、腎不全に陥ったりしてしまうこともあります。

また、高血圧や尿路結石、多臓器への嚢胞を合併することもあります。家族に脳動脈瘤の患者がいる人は、一般の人よりも10倍以上の割合で脳動脈瘤を合併する可能性もあります。

おわりに:腎嚢胞の発症リスクが高い方は腎臓の検査を

腎嚢胞の多くの場合は無症状であるものの、腎嚢胞が大きくなると腎臓を圧迫して水腎症や腎不全を引き起こしたり、腎嚢胞そのものが感染を起こしたり出血を起こすことがあります。多くは無症状で経過していくので人によっては一生気づかない場合もありますが、家族に多発性腎嚢胞の人がいる場合や、慢性腎臓病を患っている、何年も透析を受けているという方は早めに検査をされることをおすすめします。

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