逆流性食道炎の治し方 ― 食事と生活習慣の見直しがポイント!

2018/10/19 記事改定日: 2020/5/7
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

胃酸が食道に逆流してくることで、食道やのどへの炎症や痛み、吐き気や胸焼けなどの症状を起こす逆流性食道炎は、日々の習慣が発症に大きくかかわっている病気です。
このため、逆流性食道炎の治療には日々の食事・生活習慣の見直しが欠かせません。
今回は、逆流性食道炎を治すための食事・生活習慣の見直しポイントについて、解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

逆流性食道炎を治すために、食事で気をつけることは?

まずは、逆流性食道炎を治すための食事習慣の見直しのポイントから、見ていきましょう。
逆流性食道炎を治すための食生活は、以下の3点に留意しておく必要があります。

  • 消化に悪いものを避けて、消化に良く胃への負担が少ないものを積極的に食べる
  • 食事時間を規則正しくし、消化を助けるようゆっくりよく噛んで食べる
  • 消化不良と逆流を防ぐため、食べすぎにならないよう腹八分目を意識する

以下に、消化しやすく胃への負担が少ない食べ物をいくつかご紹介します。

脂質・糖質・胃への刺激が少ない、消化に良い食べ物

炭水化物・穀類
おかゆ、油を含まないうどん・そばなどの麺類、パン
タンパク質
半熟卵、脂肪の少ない豚ヒレ肉・鶏ささみ・牛やラムの赤身肉、白身魚、鮭、豆腐、納豆、高野豆腐、きな粉
野菜・果物類
ニンジン、カボチャ、大根、カブ、キャベツ、白菜、ホウレン草、小松菜、りんご、バナナ、桃、果物の缶詰
乳製品
牛乳、ヨーグルト、チーズ

なお、油の消化は胃に負担がかかるので、食材の調理法は煮込み・茹で・蒸しのいずれかが理想的といえるでしょう。

控えたほうがいい食べ物は?

逆流性食道炎のときに避けるべき、消化に悪い食べ物の例としては、以下が挙げられます。

  • 天ぷら、とんかつ、からあげなどの揚げ物・油物
  • 炭水化物のうちイモ類、赤飯、餅、玄米、ラーメン、パスタ
  • あずき、あんこ、大豆など固い豆類
  • うなぎなど脂身の多い魚や、魚卵類
  • トマトやオレンジなど、酸性の強い野菜や果物
  • 梅干し、酢の物、グレープフルーツジュースなど酸っぱいもの
  • チョコレート、コーヒー、アルコール、香辛料などの刺激物
  • ケーキやクッキーなど、たっぷりの甘みと脂肪を含んだお菓子

逆流性食道炎を治すために、生活習慣で気をつけることは?

ここからは、食事以外の日常生活において、逆流性食道炎を治すために気を付けるべきポイントをご紹介していきます。
逆流性食道炎を治すために、以下5つのポイントに留意して生活習慣を改めるようにしてください。

胃を圧迫するような服装、姿勢を避けるよう意識する
前かがみや猫背、ベルトやガードル、締め付けの強い服は身に着けない
逆流を誘発するようないきみ方や、急な前傾姿勢をとることは避ける
重いものを持ち上げたり、強く力んだり、落ちたものを前屈で拾い上げようとしない
腹圧を強め、胃酸の逆流を起こしやすくなる肥満や便秘を避ける
毎日決まった時間にトイレに行く、運動するなどを習慣づけていく
就寝中に逆流が起こらないよう、就寝前の習慣と就寝時の姿勢に注意する
寝る2時間前までに食事を終わらせ、横になる時は上半身が少し高くなるようにする
胃の機能を低下させる喫煙、飲酒の習慣やストレスの蓄積を避ける
減煙と適量の飲酒にとどめる努力をし、自分なりの方法でこまめにストレスを解消する

逆流性食道炎になってしまう原因は?

逆流性食道炎を発症する原因を再確認しておきましょう。
逆流性食道炎が起こる原因は、簡単に言うと「胃と食道を結ぶ筋肉(下部食道括約筋)のゆるみと、胃酸の分泌過多および消化不良」です。
そして、このような胃周辺の筋肉のゆるみと胃の不調は、以下のような複数の原因が重なることで起こると考えられています。

  • 加齢による、胃や食道の機能や周辺筋肉の衰え
  • 食べ過ぎ、または早食いによる消化器官の疲れや機能低下
  • 偏った食事内容による、脂肪や糖分の摂りすぎ
  • 慢性的な猫背など、悪い姿勢による長期間の胃の圧迫  など

いずれも、日ごろの食事・生活の習慣に大きくかかわる要素ばかりですよね。
だからこそ、逆流性食道炎を治すには食事と生活習慣に気を付け、改善していくことが欠かせないと理解しておいてください。

逆流性食道炎は市販薬で症状を和らげられる?

市販の胃薬は胸焼けや胃もたれなどの軽度な症状を一時的に改善することは可能です。
しかし、逆流性食道炎による胸焼けなどの症状を和らげるには、胃酸の分泌を強力に抑える必要があります。市販の胃薬の中にも胃酸を抑えたり、胃酸を中和させたりする効果のあるものはありますが、逆流性食道炎を根本的に改善する効果は得られません。辛い症状があるときは放っておかず、できるだけ早い段階で病院を受診するようにしましょう。

また、逆流性食道炎は消化のよいものを腹八分目に抑えた食事を心がける、食後はすぐに横にならない、といった生活習慣の改善も必要になるので、生活習慣を見直す必要もあるでしょう。

おわりに:逆流性食道炎は、根本原因である食事・生活習慣から治していこう

逆流性食道炎は、加齢や食事・生活の習慣によって消化器官の機能や、周辺の筋力が低下することで、胃酸が食道へ逆流してしまう病気です。このため、治療には薬の服用とあわせて、発症の根本原因である食事と生活習慣の見直しが欠かせません。この記事でご紹介した、逆流性食道炎を治すための食事・生活習慣の見直しポイントをしっかり確認し、できるところから少しずつ日常生活を変えていってください。

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