臨月のおりもの~「粘液栓」と「おしるし」は別のもの~

2017/3/15 記事改定日: 2018/2/9

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東大医学部卒、医学博士

三上 貴浩 先生

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

臨月が近づいてくると誰もが気になるのが「いつ陣痛が来るのか」ということです。その目安となる特徴的なおりものが「粘液栓」と「おしるし」です。この2つはまったく別のもので、必ずしも全員に起こるわけではありません。出産前に見られるこの2つのおりものの違いを理解しておきましょう。

粘液栓とは何ですか?

粘液栓は、妊娠中に子宮頸部を覆う「栓」です。粘液栓は出産の準備が整うまで、羊水と一緒に、赤ちゃんを外界から守る役割を担っています。
粘液栓が排出されるということは、満期となって子宮頸部がゆるみ、いよいよ出産の準備が整ったという徴候のひとつです。粘液栓は、透明で、ゼリー状の小さなかたまりです。手でつまめるほどの粘度があります。
粘液栓は無理やり排出する必要があるものではありません。感染症のリスクを上げないためにも、自然の成り行きにまかせましょう。

必ず排出されるものですが、数回出る人もいれば、まったく気がつかない人もいます。妊娠後期になるとおりものは増えますが、粘液栓は通常のおりものとは異なります。妊娠後期によく見られるおりものの性状を今一度確認しておきましょう。

粘液栓が排出されてからどのくらいで陣痛がきますか?

人によって異なります。出産の数週間前に粘液栓が出てくる人もいますが、粘液栓が出てきてすぐに陣痛がくる人もいます。
予定日の数週間前に排出されても心配する必要はありません。粘液栓がなくなっても、赤ちゃんは安全です。
子宮頸部は、子宮口を保護し感染を予防するために粘液を作り続けるため、赤ちゃんは密封され、守られています。だから、セックスや入浴もできますので、いつも通り過ごしてください。

おしるしとは何ですか?

おしるしは、予定日が近づいたときに見られる、出産前の通常の徴候です。ピンクまたは茶色で血が混じった粘り気のあるおりもので、子宮頸管の血管が破れることを意味します。もし妊娠37週目以前に、おしるしのようなおりものが見られた場合、または血液が混じっているのではなくはっきりとした赤色の出血を認めた場合は、すぐに医師に連絡して症状について確認してください。

正常なおしるしの色と量

おしるしは、妊娠37週~42週未満までの正産期に表れ、粘り気のある少量の出血がでるのが正常とされます。色は ピンク〜赤~茶色で個人差が大きく、量に関してもおしるしが全くない人から月経くらいの量が出る人まで様々です。

 

破水や異常出血とはどのように見分ければいいですか

おしるしと区別しなくてはいけない症状が2つあります。破水と異常出血です。

さらさらした透明〜白濁色の液体が出て行くような感じが続くようであれば、すぐに病院を受診しましょう。破水の可能性があるので、分娩に備える必要があります 。また、下記のような症状がある場合は前置胎盤や胎盤早期剥離など、何らかの異常が疑われます。

・出血量が通常の月経量よりも多い
・出血が繰り返し起こる
・腰やお腹に張りや痛みがある

このうちのどれかに当てはまった場合は、すぐに病院へ向かいましょう。
また、妊娠中は腟や子宮の組織がデリケートになっているので、内診の後に出血することがあります。この出血はおしるしではありませんが、すぐに出血が治まった場合は問題ありません。

 

おしるしから出産までの期間はどれくらいですか?

おしるしが出てから陣痛まで数時間という人もいますが、通常は、おしるしがきてから1日か2日以内に陣痛がくると言われています。だから落ち着いて準備してください。
※1週間以上かかる人もまれにいます。

おしるしは粘液栓の排出とは異なります。どちらも粘液であるという共通点はありますが、おしるしは血が混じった分泌物で、粘液栓は数回にわたって排出されるゼリー状のかたまりです。どちらかというと、おしるしはお産が間近であることを意味し、粘液栓はお産が近づいてきていることを意味します。

おしるしがないときはどうしたらいいですか

おしるしの色や量には個人差があるように、おしるしが現れない場合もあります。
一般的には、前駆陣痛のあとにおしるしがあり、その後に陣痛が始まるといわれていますが、前駆陣痛やおしるしが出ない場合もあれば、前駆陣痛とおしるしが同じタイミングでくる場合もあります。

おしるしがなくても陣痛に対処できるように準備しておくことが大切です。予定日が近づいてきたら、いつ出産してもいいように準備を整えておきましょう。

 

いよいよ出産が近づいてきたときに何を準備すればいいですか?

出産に向けて、今までにない体調の変化にとまどいながら過ごした日々ももう少しでゴールラインです。粘液栓が出た場合は、慌てず医師や看護師に伝えましょう。
お産のイメージトレーニングをしてみるのもいいでしょう。無痛分娩の人は、実際のお産の流れを確認してみるのもオススメです。おしるしがきた場合や陣痛がきた場合は、荷物を準備して病院に連絡してください。

おしるしが出たら準備しておくもの

おしるしは、出産直前に必ず出るというわけではありません。人それぞれタイミングは違いますし、おしるしが出ない人もいます。おしるしがいつ出てもいいように準備をしておくことが大切です。
下記のものをおしるしに備えて用意しておきましょう。

・生理用ナプキンやおりものシート
・外出の際、替えの下着を持ち歩く
・母子手帳
・入院するための道具や書類

 

陣痛にはどんな種類があります?

子宮の筋肉が赤ちゃんを腟口(ちつこう)に押し出そうとするために起こる子宮の収縮を陣痛(じんつう)といいます。陣痛は、子宮内の赤ちゃんを産道に下降させ、誕生させるのに必要なものです。
陣痛には、以下のような種類があります。

前駆陣痛

いわば陣痛の予行演習です。妊娠中期からいつでも起こることがあり、まったく起こらないこともあります。前駆陣痛は、子宮頸管の熟化を促しますが、実際に陣痛の間に起こる子宮頸管の拡張は起こりません。

陣痛

不規則に起こり、体勢を変えると治まります。ほかの偽陣痛の徴候を伴うことがあります。

分娩陣痛

出生前の数週間は、実際の出産に至る多くの徴候があらわれます。
分娩陣痛には、以下のような徴候がみられます。

・痛みが強くなり、体勢を変えても治まらない
・だんだん間隔が短くなって、痛みが強くなる

その間隔は、はじめは短く弱く(約10~20秒)、次に長く(約10~20分程度),分娩の進行とともに次第に長くなり(約30~90秒)、最後は短く(約1~2 分)なります。

・ピンクがかったり、血が混じったおしるし
・腹痛、けいれん、下痢
・破水(はすい)

陣痛の前に破水が起こるのは約15%で、ほとんどは分娩中に自然に起こるか、医師が羊膜を破って破水させます。

初期の分娩陣痛では、胃腸の不調、重い月経、けいれん、腹部圧迫のような痛みを感じ、下腹部だけに痛みを感じることもあれば、腰と下腹部の両方に感じることもあります。また、痛みが足の大腿部にまで広がることもあります。

痛みが起こった部位で、分娩陣痛と判断することはできません。偽陣痛でも同じ場所に痛みを感じることがあります。分娩陣痛かどうかを判断するには、痛みの間隔、強さ、規則性に注意するこが重要です。

後産陣痛

赤ちゃんを娩出後、陣痛の強さや周期は不規則になって一時的に軽くなりますが、胎盤や卵膜の娩出させるために再び発来する陣痛です。

陣痛

後産陣痛後の陣痛です。胎盤剝離(はくり)面の血管を収縮させて止血し、子宮の回復を促すために起こります。出産後3 日までは、不規則で弱い陣痛があることが多いといわれています。

 

おわりに:粘液栓やおしるし陣痛の出方には個人差がある。予定日が近づいたら、速やかに出産の準備を

粘液栓は出産の準備が整ったサインとして現われ、おしるしは出産が近づいたサインとして現れます。ただし、どちらも色や状態には個人差があり出ないこともあります。おしるしがこないからと油断して準備をしておかないと、急に陣痛が始まったときに慌ててしまし、出産の準備がおろそかになってしまうかもしれません。粘液栓やおしるしがなくても、出産予定日が近づいたら陣痛の準備をしておきましょう。


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