臨月のおりもの、粘液栓とおしるしの違いは?

2017/3/15 記事改定日: 2019/8/1
記事改定回数:3回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

臨月が近づいてくると、陣痛が始まるのはいつ頃なのかが気になると思います。陣痛が始まるかどうかを知る目安となるのが「粘液栓」「おしるし」と呼ばれるおりものです。これらは必ずしもすべての妊婦さんに出るわけではありませんが、多くの方が出産前に気づく兆候のひとつです。この記事では、粘液栓とおしるしとともに、おしるしが出たあとの陣痛についても解説します。

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粘液栓とは

粘液栓は、妊娠中に子宮頸部にある透明なゼリー状のかたまりです。手でつまめるくらいの粘度があり、羊水と同様に、出産の準備が整うまで、外界から赤ちゃんを守る役割を担っています。出産間近になると、子宮口が広がって粘液栓が排出されます。出産の準備が整った、というサインのひとつです。

粘液栓が出てから陣痛がくるまでの時間には個人差があり、出産の数週間前に出る人もいれば、粘液栓が出てすぐ陣痛が来る人もいます。もし予定日の数週間前に粘液栓が出てきても、心配する必要はありません。子宮頸部は、子宮口を保護し、感染を予防するために粘液を作り続けているため、粘液栓がなくなっても赤ちゃんは守られています。粘液栓は無理に排出してしまうと感染症のリスクを高めますので、自然に出てくるのを待ちましょう。

おしるしとは

おしるしは、予定日が近づいたときにみられるサインです。ピンクまたは茶色の、粘り気のあるおりもので、子宮頸管の血管が破れたことを表しています。

正常なおしるしは、妊娠37週~42週未満までの正産期に表れる粘り気のあるもので、少量の出血が混じっています。個人差はあるものの、色はピンク~赤~茶色で、量も全く出なかった人から月経(生理)くらいの量が出る人までさまざまです。もし妊娠37週目以前におしるしのようなおりものが出てきた場合や、はっきりと出血していることに気づいた場合は、すぐに医師に連絡して対処法を確認してください。

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おしるしと破水・異常出血との見分け方は?

おしるしと区別しなくてはいけない症状として、破水と異常出血があります。

破水
破水すると、さらさらとした透明~白濁色の液体が出てきます。このような液体がずっと出るようでしたら、すぐ病院に連絡してください。また、下記のような症状がある場合は、前置胎盤や胎盤早期剥離の可能性が疑われますので、すぐ病院へ向かいましょう。

  • 出血量が通常の月経量よりも多い
  • 出血が繰り返し起こる
  • 腰やお腹に張りや痛みがある
異常出血
妊娠中は腟や子宮の組織がデリケートになっているため、内診の後に出血がみられることがあります。この出血はおしるしではありません。また、すぐに出血が止まった場合は問題ありませんが、しばらく続くようでしたら、念のため病院で診てもらいましょう。

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粘液栓とおしるしの違いは?

粘液栓とおしるしは、どちらも粘液であるという共通点はありますが、粘液栓は数回にわたって排出されるゼリー状のかたまりであるのに対し、おしるしは血が混じった分泌物という違いがあります。また、おしるしはお産がもうすぐであることを意味するのに対し、粘液栓はそろそろお産が近づきつつあることを意味しています。

おしるしから出産までの時間はどのくらい?

通常はおしるしがきてから1、2日以内に陣痛がくると言われています。ただ、おしるしが出てから陣痛まで数時間という人もいれば、まれに1週間以上経ってから陣痛がくる人もいます。

おしるしの色や量には個人差があるように、おしるしが現れないこともあります。一般的には、前駆陣痛のあとにおしるしがあり、その後に陣痛が始まると言われていますが、前駆陣痛やおしるしが出ない場合もあれば、前駆陣痛とおしるしが同じタイミングでくる場合もあります。

したがって、おしるしがなくても陣痛に対処できるよう準備しておくことが大切です。予定日が近づいてきたら、いつ出産してもいいように準備しておきましょう。

おしるしに備えて準備しておくものは?

おしるしが出るタイミングは人それぞれ違いますし、必ずしも出産直前に出るわけではありません。したがって、出産が近づいてきたら、おしるしがいつ出てもいいよう、以下のようなものを用意しておくのがおすすめです。

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おしるしの後にやってくる陣痛には種類があるの?

陣痛とは、子宮の筋肉が、赤ちゃんを腟口(ちつこう)に押し出そうするときに起こる子宮の収縮です。子宮内の赤ちゃんを産道に下降させ、外の世界に押し出すために必要なものです。陣痛には、以下のような種類があります。

前駆陣痛

陣痛の予行演習のようなものです。妊娠中期に入るといつでも起こる可能性がありますが、まったく起こらないこともあります。前駆陣痛は子宮頸管の熟化を促しますが、実際に陣痛の間に起こる子宮頸管の拡張は起こりません。

偽陣痛

不規則に起こり、体勢を変えると治まります。ほかの偽陣痛の徴候を伴うことがあります。

分娩陣痛

出生前の数週間は、実際の出産に至るさまざまな徴候があらわれます。分娩陣痛には、以下のような徴候がみられます。

  • 強い痛みが体勢を変えても治まらない
  • 痛みの間隔がだんだん短く、強くなっている
  • ピンクがかったり、血が混じったおしるしが出る
  • 腹痛、けいれん、下痢がみられる
  • 破水(はすい)した

陣痛の前に破水が起こるのは約15%で、ほとんどは分娩中に自然に起こるか、医師が羊膜を破って破水させます。

初期の分娩陣痛では、胃腸の不調、重い月経、けいれん、腹部圧迫のような痛みを感じます。下腹部だけに痛みを感じることもあれば、腰と下腹部の両方に感じることもあります。また、痛みが足の大腿部にまで広がることもあります。

偽陣痛でも同じ場所に痛みを感じることがあるため、痛みが起こった部位だけでは分娩陣痛か偽陣痛かはわかりません。分娩陣痛かどうかは、痛みの間隔、強さ、規則性に注意することが重要です。

後産陣痛

出産後、陣痛の強さや周期は不規則になって一時的に軽くなりますが、胎盤や卵膜の娩出させるために産後の陣痛がやってきます。

後陣痛

後産陣痛後の陣痛です。胎盤剝離(はくり)面の血管を収縮させて止血し、子宮の回復を促すために起こります。出産後3 日までは、不規則で弱い陣痛があることが多いと言われています。

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おわりに:粘液栓やおしるし、陣痛の現れ方には個人差があります

粘液栓は出産の準備が整ったサインとして現われるのに対し、おしるしは出産の時期が近づいているサインとして現れます。ただし、どちらも色や量、状態には個人差があり、また、出なくても陣痛が始まることもあります。
おしるしがこないからと油断して準備しておかないと、急に陣痛が始まったときに慌ててしまい、出産の準備もままならないままその日を迎える可能性もあります。粘液栓やおしるしがなくても、出産予定日が近づいたら陣痛にそなえておきましょう。

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