記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/10/27 記事改定日: 2020/3/11
記事改定回数:2回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
赤ちゃんが生まれるのは、とても楽しみなことですよね。それでも、いきなり出産するわけではありません。出産には様々な段階があり、一般的にはおしるしの後に陣痛がやってきます。今回は、おしるしの陣痛の流れとこれらが現れたときの準備や注意点について解説していきます。
おしるしは医学用語でいう産徴のことで、血が混じったおりものが出てくることです。これは異常な反応ではなく、出産の準備が始まったことをお知らせしてくれる徴(しるし)であり、赤ちゃんが徐々に下りてきているサインになります。
おしるしは、出産のときに赤ちゃんが通れるように子宮の入り口が広がっていくことで起こります。なぜ血が出るのかというと、もともとくっついている子宮の壁と卵膜(胎児を包んでいる膜)が、子宮の入り口が広がる際に剥がれるためです。また、子宮口の蓋になっていた粘液栓(ゼリー状の塊)も、このとき一緒に出てきます。
一般的には、おしるしが来てから数日から一週間で陣痛がやって来ます。おしるしが来ているときにも、前駆陣痛といって不規則な痛みが伴うことがあります。しかし、これは分娩のための陣痛とは異なります。
1時間に6回以上規則的に起こるものが陣痛であり、これが始まると分娩開始となります。陣痛の方が前駆陣痛より強いことも目安になります。
おしるしは陣痛の始まりに向けて準備が始まったサインです。おしるしが始まったからといってすぐに陣痛が始まるわけではありませんので、基本的には普段通りの生活をして問題ありません。むしろ軽い運動は陣痛を促すともされています。スクワットや階段の上り下りなどを行うとよいでしょう。
ただし、突然破水したりする可能性もゼロではありませんので、遠出は控え、お産に向けて入院の準備や産院までの移動手段を確認しておきましょう。
陣痛が始まった場合は、まず何分間隔でどれくらいの時間陣痛が続くのか確認しましょう。陣痛が始まったからといってすぐに産院へ向かう必要はなく、一般的には10~15分間隔の陣痛が安定して起こるようになったタイミングでの受診を指示されます。それまでの間は自宅で様子を見ながら思い思いの時間を過ごしましょう。
子宮の中で赤ちゃんは「卵膜」という薄い膜に包まれています。この卵膜のなかは羊水で満たされていますが、分娩時には赤ちゃんが出てくるために卵膜が破れるため、分娩時に羊水が排出されるのです。
「破水」とは、このように卵膜が破れて羊水が流出することです。
対しておしるしは、分娩が近づくにつれて子宮口が開いてきたり、収縮が始まることで子宮に付着している卵膜の一部が剥がれて生じる出血のことです。多くは子宮頸管から分泌される粘液とともに排出されるため、粘り気が強い薄紅~茶色の出血となります。
通常の分娩では、まずおしるしが見られ、続いて陣痛が生じ、子宮口が全開になるころに破水が起こります。ただし、これらの順序は人によって違いますので、おしるしがないまま陣痛が起きる場合や、おしるし・陣痛が起きていない段階で破水が起きる人もいます。
破水が先に生じるケースは、そのまま陣痛が始まらずに分娩に至らないと子宮内に細菌が侵入してしまうおそれがあるため、陣痛促進剤を使用して分娩を誘発することが多いです。
おしるしの後にどれくらいで陣痛が来るかは、人によって異なります。おしるしがないままに陣痛が来る方もいますし、おしるしが来てから一週間以上経ってから陣痛が来る方もいます。
おしるしが来る時期は、妊娠37週から42週未満の正産期が一般的です。ここから外れると、いずれの時期でも注意が必要です。
もし「37週未満」でおしるしが来た場合は、すぐに産婦人科へ向かいましょう。早産へ繋がる可能性があります。お腹の中で十分に成長しないままに生まれてしまうと、様々な弊害があります。とくに「34週未満」だと合併症のリスクが高まります。
また、42週以上経っているのにおしるしも陣痛も来ない場合は過期産となります。過期産となっても無事に生まれて来ることが多いですが、合併症のリスクは高くなります。担当医と経過を見ましょう。
おしるしは、色や量などに個人差があるので、正常かどうかの判断が難しいかもしれません。また、おしるしから陣痛までの期間やおしるしが来る時期も人によって違います。妊娠37週から42週未満であれば正常とされていますが、これよりも早かったり遅かったりする場合は注意が必要です。特に37週未満でおしるしが来た場合は早産などのリスクがあるので、すぐに産婦人科を受診してください。その他、何かしら不安に思うことがあった場合は、担当医に相談しましょう。