胆嚢を摘出しなきゃいけない病気にはどんなものがある?手術法は?

2018/12/4

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

胆嚢の摘出が必要になる病気には、どんなものがあるでしょうか。摘出が必要になったときに行われる手術の方法、術後の経過なども解説していきます。

胆嚢摘出が必要な病気は?

「胆嚢(たんのう)」は、みぞおちと右のわき腹を結んだ線の中心近くの奥にある、肝臓と十二指腸をつなぐ胆管から枝分かれし一部が肝臓にくっついて固定されている臓器です。西洋梨のような形をした長さ約8cm、容積30~50mL程度の袋状で、肝臓でつくられた胆汁を一時的に貯蔵して濃縮しています。

胆汁には脂肪を水に溶けやすくする働きがありますが、十二指腸に脂肪分の多い食物が流れてきたときには胆嚢がホルモンの働きにより収縮して貯蔵している濃縮した胆汁を出し、分解・吸収されやすいものに変えています。胆嚢を摘出しなければならなくなる病気でもっとも多いのが「胆嚢結石」です。

無症状で経過する場合も多いですが、胆石発作や胆嚢炎を併発し上腹痛・背部痛や発熱・吐き気などの症状を起こしたり、胆管に落下して胆管炎、膵炎を併発することもあります。また、石がなくても胆嚢炎を起こす「無石胆嚢炎」、「胆嚢がん」の疑いがある胆嚢ポリープでも胆嚢摘出手術が行われます。

胆嚢の摘出手術はどんなふうに行われるの?

主流となっている方法は「腹腔鏡下胆嚢摘出術」で、通常、へその下と右上腹部に計3~4個の穴を開け、内視鏡や手術器具を腹腔内に挿入して、テレビモニターに映った画像を見ながら胆嚢を摘出します。
全身麻酔が必要で、開腹して行う胆嚢摘出術より手術時間はかかりますが、痛みが軽度で回復も早く、傷もほとんど目立ちません。合併症がなければ、術後4~7日程度で退院が可能です。

ただし、状況により途中から開腹術に移行する場合もあります。炎症や周囲の臓器との癒着がひどい場合やがんを合併している疑いが強い場合、多くのあるいは大きな胆管結石がある場合には、10~15cmほど切開する「開腹胆嚢摘出術」となります。病気の種類によっては胆管の合併切除なども行われますが、胆嚢の摘出のみであれば術後7~14日ほどで退院可能です。

摘出手術後の経過は

胆嚢を摘出しても胆汁は肝臓で作られ続けるので、胆汁が出なくなるような障害はなく、欠損症状はほとんどありません。術後の食生活も、よほど脂肪分の高い食事をとらない限り術前と同じで問題ないでしょう。
退院後は状態が落ち着くまで1~2回の外来通院をすることになりますが、定期的な通院は必要ありません。

なお、術後に下痢が多くなることがまれにありますが、この原因は術後の腸内細菌の変化などにあると考えられています。消化吸収障害ではありませんが、気になるようであれば、多少脂肪分が多い食事を避けたほうが良いといわれています。なお、結石ができる原因には胆嚢収縮機能の低下が関係しているため、結石だけ摘出しても再発してしまうことから、その後の生活に変化のない胆嚢摘出が行われることになります。

おわりに:胆嚢結石、無石胆嚢炎、胆嚢がんなどでは摘出の必要が

胆嚢の摘出が必要となる代表的な病気は胆嚢結石で、そのほか無石胆嚢炎、胆嚢がんの疑いのある胆嚢ポリープがあります。手術は、内視鏡や手術器具を腹腔内に挿入して行う腹腔鏡下胆嚢摘出術が主流ですが、炎症や癒着、がんを合併している疑いが強い場合などには、開腹胆嚢摘出術が行われます。

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