記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/21 記事改定日: 2018/11/8
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胆嚢ポリープはそのほとんどが良性で症状がないため発見されにくいポリープですが、もし悪性だった場合はどのような治療が必要でしょうか? 今回の記事では、胆嚢ポリープについて解説します。
胆嚢は、肝臓の下付近にあり、肝臓から分泌された消化液(胆汁)を一時的に保管し、小出しに十二指腸に送り出して腸内の消化を助ける働きをしています。この胆嚢の内側にできる粘膜が隆起したものを胆嚢ポリープといいます。
胆嚢ポリープのほとんどが良性で、放置していても問題ないとされていますが、ポリープが肥大化した場合は悪性の可能性が高まるため注意が必要です。もし、胆嚢ポリープが見つかった場合は専門施設での検査が推奨されています。
胆嚢ポリープだけであれば症状が現れることはほとんどありませんが、胆嚢炎や胆石症を合併している場合、みぞおちに痛みや不快感が現れる場合があります。ポリープが良性の場合でもこの症状があります。
胆嚢ポリープに症状がないため、ほとんどが検診や人間ドックによる腹部超音波検査でポリープが発見されます。その後の精密検査で悪性のポリープであることが判明した場合やがん化して肥大した場合には、以下の症状が現れます。
胆嚢ポリープの90%程度は良性のコレステロールポリープであり、その他も基本的に良性のものが多いです。ただし、中には胆嚢がんにつながるポリープもあるため注意が必要です。
腺腫性ポリープ(基本的には良性と考えられていますが、一部に胆嚢がんの発生源になる関係性が報告されています)、過形成ポリープ(粘膜細胞が過剰に増殖したもの)、炎症性ポリープ(慢性的に炎症が起きることで生じるもの)、胆嚢がん(早期であればポリープと間違われます)がコレステロールポリープ以外に考えられる疾患です。
胆嚢ポリープは腹部超音波によって検査することができます。腹部超音波検査は放射線被ばくもなく体に負担なく簡便に行うことのできる検査です。超音波検査は空気や脂肪などがあると見えづらい臓器や病変もありますが、胆嚢は比較的よく描出できるため、胆嚢ポリープを発見することが可能です。
しかし、腹部超音波検査は病変の有無や大まかな大きさなどを測定することはできますが、詳細な観察をする場合にはCT検査を行う必要があります。CT検査は体の断面を撮影する検査であり、ポリープの位置や大きさなども詳細に観察することが可能です。
ほとんどが良性の胆嚢ポリープですが、以下の場合には手術が必要な可能性があります。
胆嚢ポリープの手術をするためには、胆嚢を摘出する必要があります。
堪能ポリープの大きさによる経過観察の期間を以下に示します。
胆嚢ポリープの手術は多くの場合、腹腔鏡を用いて行われます。腹腔鏡手術は、腹部に数か所の穴を開けて専用器具を腹腔内に挿入し、カメラで確認しながら胆嚢を摘出します。傷口が小さく、体への負担が少ない検査です。
一方、術前のCT検査などで胆嚢と周辺臓器の癒着などが疑われる場合やがんが疑われる場合には開腹手術によって胆嚢が摘出されます。当然ながら、開腹手術は腹腔鏡手術よりも体への負担が大きく、術中の血管損傷による出血、術後には感染症や傷口の縫合不全などの合併症のリスクが高くなります。
しかし、腹腔鏡手術でも同様の合併症は一定数生じるため、手術の必要性については担当医とよく話し合ってメリット・デメリットを考慮して決めるようにしましょう。
胆嚢ポリープが発見されたら精密検査を受け、ポリープの状態を確認しましょう。発見されたポリープが悪性でない場合でも、ポリープが肥大していないか、形性状変化がないか、定期的に胆嚢ポリープの大きさをチェックすることが重要です。もし、経過観察中に手術に該当する基準となった場合は、すぐに手術を行うことをすすめられます。
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