胆石が原因で発症する病気、「胆嚢炎」とは?

2017/11/22

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

胆嚢炎はみぞおちや背中などに痛みが起こる病気で、胆石が主な原因になります。胆嚢炎はどのように症状が変化し、どんな治療が必要なのでしょうか?胆嚢炎の原因や治療、症状などを紹介していきます。

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胆嚢炎とは

胆嚢は肝臓から分泌される胆汁を一時的に濃縮して貯蔵しておく臓器です。
胆汁は消化を助ける役目があり、食事の内容によって胆汁の量が調節されます。生活が不規則になり、食事を取らない時間があったり、脂肪分の多い食事などが増えるなど、食生活のバランスが崩れると胆石などの病気になりやすくなります。

胆嚢炎は胆石が原因になることが多いですが、無石のものや気腫性のものなど原因は様々あります。

胆石で胆嚢管が閉塞してしまい胆嚢の壁の粘膜が炎症を起こす急性胆嚢炎と、炎症を繰り返し起こして胆嚢の壁が厚くなり胆嚢自体は収縮してしまう慢性胆嚢炎があります。急性の場合、炎症している時に細菌感染が加わると重症化する危険があります。

胆嚢炎の症状

胆嚢炎を発症すると、食事をした後にみぞおち(右上腹部)や背中などに激しい痛みが起こります。また、皮膚や白目の部分が黄色味を帯びる黄疸や、吐き気や嘔吐などが現れることもあります。

急性胆嚢炎の方がはっきりとした症状を感じ取れる傾向にあり、胆嚢の一時的な閉塞では軽いみぞおち(右上腹部)の痛みや吐き気が起こり、閉塞が持続的になると右上腹部の痛みが著しく強くなります。
さらに、発熱や右肩周辺部の痛みなどが起こります。これらの発作は、2日から3日で治まることが典型的です。治まらない場合は合併症が疑われるため、早期に専門医に診てもらいましょう。高熱や白血球の増加・悪寒を伴う症状がある場合、外科手術が必要な場合もあります。

胆嚢炎の治療法

胆嚢炎の治療では、炎症が軽ければ絶食や輸液などの内科的な治療で治癒可能です。細菌感染に対しては抗菌薬の投与し、原因となっている細菌を抑える処置を行います。

炎症が強い場合は経皮経管胆嚢ドレナージ術という外科的治療が行われます。これは腹部に針を刺して、胆嚢に溜まった胆汁を身体の外に出す処置で。炎症が治まったところで胆嚢を摘出します。

他にも、内視鏡を使って胆管の出口を広げる方法や、小切開を加えて胆管内に詰まった結石を取り出す治療などが行われることもあります。大きな胆石や石の数が多い場合などは、胆嚢の全摘出が検討されます。胆嚢壁が化膿して破れていたり胆嚢の周囲に腫瘍がある場合、腹膜炎を起こしている場合も手術が必要となります。

胆嚢炎を予防するには

胆嚢炎の予防には、まず胆石が出来ないように食生活を改善する必要があります。動物性の脂肪や糖分を摂り過ぎることは避け、高タンパクでコレステロールの少ない大豆製品や魚などを食べるようにしてください。
食事の時間が不規則になると胆汁の分泌も不規則になりやすく、胆汁が使われずに溜まったままになってしまいます。そのため、食事内容だけでなく食事の時間が規則正しくなるように気をつけましょう。

さらに、ストレスやタバコは消化器系の働きを鈍くします。禁煙を開始し、ストレスはこまめに発散するようにしてください。

おわりに:胆嚢炎の予防は胆石ができないような生活習慣

胆嚢炎の原因のほとんどは胆石によるものといわれています。そのため、胆嚢炎の予防は胆石にならないように気をつけることが大切です。脂肪や糖分を摂り過ぎないように注意して、バランスのいい食事をとるようにしましょう。
また、食事の時間が不規則なことも胆石の原因になるので、食事はなるべく決まった時間に摂るようにしてください。

 

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