訪問看護で受けられるサービスはどんなものがある?

2021/3/23

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

在宅介護をしているとき、このやり方で良いのかと疑問に思うことはありませんか。また、被介護者の状態や要介護度が変化したとき、介護の方法について戸惑うことも増えるでしょう。医療的な措置が必要になる場合もあるかもしれません。

訪問看護では、そうした介護の疑問点を解消したり、家族では行えない医療措置を行ってもらえます。具体的にどんなことをしてもらえるのかや、利用する保険の種類について詳しく見ていきましょう。

訪問看護とは

訪問看護とは、主治医の指示に基づいて看護師・保健師・理学療法士などが利用者の自宅に訪問し、疾患や障害の状態に応じた看護を行うサービスです。病状の確認や点滴その他医療機器の管理を行うことも含め、健康上の問題や生活上の障害がある人に対して専門的なケアを行い、健康状態の悪化防止や回復に向けてのサポートをします。

サービスを提供する事業所は、病院や診療所内にある場合と、訪問看護ステーションがある場合の2つがあります。いずれの場合でも基本的に受けられるケアは同じで、自宅で最期を迎えたいという人に対してはその希望に沿った看護も行います。

近年では医療機器や技術の発達により、食事が摂れない人が胃に直接管を通してそこから食事の代わりとなる栄養を補給したり、点滴を受けたりしながら自宅で生活することもできるようになってきました。一方で、こうした医療機器を在宅で使う場合、利用者本人や家族だけでは正しく使えるか、管理できるか不安がある人も多いことでしょう。

そんなとき、訪問看護を利用して自宅での医療機器の使い方を指導してもらったり、本人や家族では判断がつかない専門的な内容のアドバイスを受けたりするのがおすすめです。とくに、病院から退院したときなどにしばらく利用すると、自宅でも安定した生活を送り、かつそれを維持しやすく、主治医とのコミュニケーションもスムーズに保ちやすいです。

訪問看護で利用する事業所は利用者が選択できますので、たとえば状態の急変など何かが起こる可能性が高いと判断される場合、とくに夜間に発生する可能性が高い場合などには24時間対応の訪問看護ステーションを選ぶのが良いでしょう。ただし、夜間・深夜・早朝などに利用する場合、時間外加算がされる分少し高くなります。

また、医療的な管理・処置だけではなく、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などによって身体機能の向上や拘縮の予防、嚥下訓練などのリハビリテーションを受けられる事業所もあります。このようなケアを受けたいと希望される場合や、どんなサービスがあるのか知りたい場合は、担当のケアマネジャーに相談してみましょう。

訪問看護では、どんなサービスが受けられる?

訪問看護では、具体的に以下のようなサービスが受けられます。

  • 身体の清拭や洗髪、入浴・食事・排泄などの介助や指導
  • 疾患や障害の状態確認、血圧・体温・脈拍などの健康チェック
  • 主治医の指示を受けての医療処置
  • 在宅酸素・人工呼吸器・点滴など、医療機器の管理
  • 床ずれ防止の工夫や指導、床ずれの処置
  • 認知症による事故防止など、認知症介護に対する相談や工夫をアドバイスする
  • 家族や介護者への介護指導や相談を受ける
  • 低栄養や運動機能低下など、介護予防のアドバイスをする
  • 拘縮予防や身体機能の回復、嚥下機能訓練等の在宅リハビリテーション
  • がんの末期や終末期などにも、自宅で過ごせるような適切なターミナルケア

これらのサービスは、必要に応じて地域の訪問看護ステーションや医療機関から派遣される看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが行います。多くは地域のケアマネジャーから依頼を受け、利用者(患者)の主治医から「訪問看護指示書」が発行されてからスタートします。

疾患や障害がありながらも在宅療養する人は、介護保険や医療保険を利用して訪問看護を利用できます。高齢者の場合だと、たとえば内服管理が必要な認知症の人、日常生活能力(ADL)が低下して一人で入浴できない人、入浴時に病状の観察が必要な人などが利用するケースが多いです。

また、高齢者本人は寝たきりの状態で家族が介護をしているという家庭に訪問し、床ずれ(褥瘡)の処置や医療機器の管理、在宅でのリハビリテーション、排泄のケア、療養上の指導や栄養相談などを行う場合もあります。そのほか、がん末期や老衰・疾患などによる終末期にも自宅で過ごせるよう、適切なターミナルケア(医療ケアを含む)を提供することもあります。

利用者によって医療保険か介護保険か変わる?

訪問看護は高齢者に限らず、疾患や障害を持っていながら在宅療養しているすべての人が対象となります。そのため、利用する人の疾患や年齢などにより介護保険と医療保険のどちらを利用するかが異なります。ただ、いずれの場合も必ず主治医の「訪問看護指示書」が必要となりますので、「介護保険だからいらない」と誤解しないよう気をつけましょう。

介護保険と医療保険のどちらを利用するかは、以下のように決まっています。

介護保険の対象となる人
65歳以上で、要支援または要介護認定を受けた人(第1号被保険者)
40〜64歳で、介護保険上「特定疾病」とされる疾患で要支援または要介護認定を受けた人(第2号被保険者)
医療保険の対象となる人
介護保険の対象者にならないすべての人(年齢による制限はなし)
厚生労働省が指定した難病を発症している人
その他、がん末期や人工呼吸器、毎日の処置が必要な深い床ずれがある人

介護保険の方が利用できる年齢や疾病に制限が多いですから、基本的には介護保険を利用できる人は介護保険を利用し、そのほかの人は医療保険を利用する、と考えて構いません。ただし、厚生労働省が指定した難病を発症している、がん末期や人工呼吸器である、など特殊なケースの場合は介護保険でなく、医療保険が適用になる場合もあります。

そのため、介護保険の対象者ではあるものの、医療保険が適用になるかどうかわからない場合は、ケアマネジャーに一度確認してみましょう。また、最初は医療保険の適用とならず、介護保険でサービスを受けていたものの、病状が変化してがんの末期になった、という場合は医療保険に切り替わります。

おわりに:訪問看護は主治医の指示の下、自宅療養が行えるサービスです

訪問看護は高齢者だけでなく、疾患や障害を持ちながら自宅で療養するすべての人が利用できるサービスです。病状の確認や点滴などの医療機器を管理したり、医療的なケアを行ったり、介護や栄養面の指導を受けられます。訪問看護は利用者本人の年齢や疾患の状態によって、介護保険の適用となるか医療保険の適用となるかが異なります。基本的には介護保険の対象外となる年齢や疾患で訪問介護を利用する場合、医療保険が適用されます。

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