HIV感染症とはどんな病気!?正しい知識で適切な対処を!

2017/1/20 記事改定日: 2018/6/11
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

HIVに感染してエイズを発症すると、免疫が低下し、命に関わる重篤な合併症を発症することになります。そのため、早期発見・早期治療、感染予防と感染拡大への対処が重要です。
この記事では、HIVの基礎知識をわかりやすく紹介していきます。HIVになったときにどうすればいいのかということにも触れているので、予防や治療に対して、適切な行動が取れるようにしましょう。

HIVとはどんなウイルス?どうやって感染するの?

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は感染者の

  • 血液
  • 精液
  • 腟分泌物
  • 嘔吐
  • 母乳

などから感染する可能性があります。針からの感染は1%未満、切り傷への接触による感染は0.1%、咬傷による感染リスクは0.1〜1%です。
一方、涙、唾液、汗、尿などの体液には、ウイルスはほぼ含まれておらず感染の危険性は極めて低いです。

症状と潜伏期間

HIVに感染後、2~4週間の時期には軽度な発熱、のどの痛み、皮疹など一般的な「風邪」のような症状が現れます。これは感染初期に体内に入り込んだHIVが一時的に急激に増加するためですが、数日で治まります。
その後、HIVは体内で徐々に増殖していきますが数年~十数年は症状を引き起こすことはなく、検査を受けない限り感染に気付くことはありません。

しかし、数年~十数年の年月をかけて体内で増殖を続けたHIVはCD4陽性リンパ球という免疫を司る細胞を徐々に減少させ、やがて免疫力が低下した状態を引き起こします。このため、風邪をひきやすくなったり、カンジダ症やカリニ肺炎など通常の免疫力がある人であれば発症しないような感染力が極めて低い真菌や細菌、ウイルスなどに感染して重症化する日和見感染を生じます。このような状態は、HIV感染症から「エイズ」を発症した状態といいます。

また、悪性リンパ腫や子宮頸がんなどのがんになりやすくなり、進行すると神経症状や全身衰弱による著しい体重減少などを引き起こすこともあります。

HIV検査を受けるにはどうすればいい?念のため受けることもできる?

HIVに感染しているかを知るには血液検査を受けるしかありません。しかし、HIVは感染してから長期間、何も症状を引き起こさないため、日和見感染が生じて初めて病院を受診するケースも少なくありません。

HIVは感染したとしても適切な治療を続ければ、エイズの発症を防ぐことが可能であり、早期発見・早期治療が重要となります。このため、HIVに感染した覚えがある人はもちろんのこと、過去のパートナーから知らずに感染していることもあるため、一度は検査を受けてみましょう。

HIV検査はお近くの保健所や保健センターなどで無料で受けることができます。また、仕事の都合などで検査機関に行けない場合には、有料にはなりますが、民間の検査会社を通して、検査キットを自宅に郵送してもらい、送り返すことで結果がわかるサービスも広く普及しています。
それぞれのライフスタイルに合わせた方法の検査を選ぶとよいでしょう。

もし陽性になってしまったら

陽性判定が出てしまっても、適切な治療を受ければ、エイズの発症は防げます。そのためにも、早期の検査が必要なのです。

HIVはどうやって治療を進めていくの?

HIVには抗ウイルス薬があり、「HARRT療法」という薬物療法が行われます。これは、3~4種類の抗HIV薬を毎日内服するという治療法で、ウイルスの耐性化を予防するために毎日欠かさず服用する必要があります。また、抗HIV薬は体内から完全にHIVを排除するわけではないため、一生涯服用する必要があり、適切な薬剤管理も重要となります。

しかし、日常生活の中では治療中でも特別な制限はなく、定期的な病院受診が必要であることを除けば、免疫が正常な状態を保っている場合には健常な人と何ら変わりない生活を送ることができます。

HIVになってしまったときは「心のケア」も大切

自分がHIVに感染していると知ったときは、恐怖感でいっぱいになると思います。
そんな恐怖と闘うには、病気についてできるだけ多くのことを学びましょう。HIVとエイズ(後天性免疫不全症候群)について信頼できる正しい情報を得ることが、一番の力になるはずです。
正しい情報は、医師やカウンセラー、官公庁の情報源から得られますので、積極的に相談するようにしてください。

HIVは早期治療によって、長く健康的な生活を送ることができます。
もしも、睡眠、食事、集中が困難になったり自殺を考えてしまう場合は、医師に相談し、必要に応じてカウンセリングを受けましょう。

HIVにかかっていることを誰かに伝えるべき?プライバシーは守られる?

過去と現在、将来の性的パートナーに伝え、彼らにも検査してもらう必要があります。
パートナーにどのように説明したらよいか、医師に相談してもいいでしょう。
かかりつけの医師や歯医者にもHIVに感染したことを知らせてください。プライバシーは尊重されますし、感染者だからといって治療を拒否することはできません。

おわりに:HIVへの対処は、正しい知識を身につけることが大切

HIVの診断を受けたり、感染の可能性があるとわかったりすると、どんな人でもきっと動揺してしまいます。しかし、そんな不安感を解消するには、正しい知識を身につけることが大切です。
感染経路や感染状況、対処法などをしっかり頭に入れ、冷静に対処してください。

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