記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/8/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
年齢を重ねても元気に外出できる、人と会話を楽しめる、自分のことを自分でできるといった状態は、毎日の生活の質を保つうえで大切です。「若々しさ」というと肌や髪などの外見に目が向きやすいものですが、健康面では筋力や骨、食べる力、睡眠、活動量など、体のさまざまな機能を保つことも重要になります。
特に高齢期には、加齢に伴って心身の働きが低下し、健康な状態と介護が必要な状態の間にあたるフレイルが起こることがあります。体重減少、疲れやすさ、活動量の低下、歩行速度や筋力の低下などは、フレイルに関連する変化です。一方、食事や運動などの生活習慣を整えることは、低栄養や身体機能の低下を防ぐことにつながります。
若く見えることだけを目標にするのではなく、食べる、動く、眠る、人と関わるといった日常生活を無理なく続けられる状態を目指すことが、年齢を重ねてからの健康維持の基本になります。
体重が増えることを気にして、年齢を重ねてからも食事量を減らし続けている人がいます。しかし、高齢期には肥満だけでなく、食事量の低下による低栄養にも注意が必要です。低栄養はフレイルにつながる重要な要因とされており、特に食事量が減って体重や筋肉が落ちている場合は、食生活を見直す必要があります。
毎日の食事では、ごはんやパン、麺などの主食に加えて、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など、たんぱく質を含む食品を取り入れましょう。一度に多く食べることが難しければ、朝食にヨーグルトや卵を加える、昼食の麺に豆腐を添えるなど、少量ずつ取り入れる方法があります。
特定の食品や健康食品だけで若さを保とうとする必要はありません。さまざまな食品を組み合わせ、必要なエネルギーや栄養素を取ることが基本です。腎臓病などで食事について指示を受けている場合は、一般的な方法をそのまま取り入れず、主治医や管理栄養士の指示を優先してください。
年齢とともに活動量が減ると、筋力も低下しやすくなります。筋肉は歩く、立ち上がる、買い物へ行くなどの日常動作を支えているため、健康的な生活を続けるには、無理のない範囲で体を動かすことが大切です。
厚生労働省の身体活動・運動ガイド2023では、高齢者に対して、歩行などの身体活動に加え、筋力、バランス、柔軟性など複数の要素を含む運動を行うことが勧められています。筋力トレーニングについては、成人と高齢者に週2~3日の実施が推奨されています。
筋力トレーニングは、特別な器具を使う運動だけではありません。安定した椅子からゆっくり立ち座りする、手すりなどにつかまりながらかかとを上げるといった運動もあります。さらに、買い物へ歩いて行く、掃除や庭仕事をするなど、日常生活の中で体を動かすことも活動量を保つことにつながります。
痛みや息苦しさ、めまいなどがある場合は無理に続けず、持病がある人や運動に不安がある人は医師などに相談しながら、自分に合った活動量を考えましょう。
女性では、閉経後に女性ホルモンのエストロゲンが減少することで骨量が低下しやすくなり、骨粗鬆症のリスクが高まります。日本整形外科学会でも、骨粗鬆症は特に閉経後の女性に多くみられることが示されています。
骨の健康を守るためには、カルシウムだけに注目するのではなく、たんぱく質やビタミンDなどを含めた食事と、適度な運動を組み合わせることが大切です。牛乳や乳製品、小魚、大豆製品などを利用しながら、魚、肉、卵、野菜などもバランスよく取り入れます。日本整形外科学会では、骨粗鬆症の予防としてカルシウム、ビタミンD、ビタミンK、適量のたんぱく質の摂取、運動などを挙げています。
以前より身長が低くなった、背中や腰が曲がってきた、軽い転倒で骨折したことがある場合などは、骨の状態について医療機関へ相談することも検討しましょう。骨粗鬆症は自覚症状が乏しい場合があるため、閉経後の女性では骨の健康について定期的に確認することも大切です。
健康を保つためには、食事や運動だけでなく睡眠も重要です。年齢を重ねると若いころより必要な睡眠時間が短くなる傾向があり、長く寝床にいればよいとは限りません。厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023では、高齢者では長い床上時間を避け、日中に長時間の昼寝をせず、身体活動を行うことなどが示されています。
朝はカーテンを開けて光を浴び、日中は適度に体を動かし、夜は必要以上に明るい照明やスマートフォンの画面を見続けないなど、昼と夜のメリハリをつけることが睡眠リズムを整える助けになります。
睡眠時間だけでなく、朝起きたときに休めた感覚があるか、日中に強い眠気がないかも確認しましょう。生活を整えても眠れない状態が続く、大きないびきや睡眠中の無呼吸を指摘される、日中の眠気によって生活に支障がある場合は医師への相談を検討してください。
食事を十分に取るためには、歯や口の機能が保たれていることも重要です。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、歯を失ったり、かむ力や舌、唇の働きが低下したりすると、肉や魚、野菜、果物などを避けるようになり、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどが不足しやすくなることが示されています。口の機能の低下は、栄養状態やフレイルとも関係するとされています。
硬いものを食べなくなった、食べこぼしが増えた、以前よりむせるようになった、口が乾きやすいといった小さな変化にも目を向けましょう。歯磨きなどの日々のケアに加え、歯や入れ歯の状態について定期的に歯科で確認することも、食べる力を保つうえで役立ちます。
年齢を重ねても健康的に過ごすために、特別な若返り方法を探す必要はありません。食事を極端に減らさず、筋肉と骨を意識して体を動かし、睡眠や口の状態を整えるといった基本的な生活習慣を続けることが大切です。
体重が意図せず減り続ける、急に歩きにくくなった、食事が取れない、繰り返し転倒する、強い息苦しさや意識状態の変化があるなど、普段と大きく異なる状態がみられる場合は、年齢による変化と決めつけず医療機関へ相談してください。小さな体調の変化を早めに確認しながら、自分に合った方法で健康を維持していきましょう。