オノ・ヨーコが認知症!?―幻覚型認知症(レビー小体型認知症)とは

2017/5/15

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

オノ・ヨーコさんが「幻覚型認知症」にかかっている、という衝撃的なニュースがありました。認知症はすでに社会的にも大きな問題になっている深刻な脳の症状ですが、「幻覚型認知症」という言葉を始めて聞く方も意外と多いのでは?ここでは幻覚型認知症(レビー小体型認知症)についてご紹介します。

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レビー小体型認知症の症状


よく「幻覚型認知症」と巷で呼ばれる病気の正式な名前は「レビー小体型認知症」です。認知症のタイプの一つです。この認知症は、アルツハイマー型認知症と同じく、思考スピードや判断力、理解力、視覚認識力、言語機能、記憶力などに影響を及ぼします。

ただ、レビー小体型認知症特有の症状として、以下のようなものがあります。これらの症状が、レビー小体型認知症と他のタイプの認知症とを見分ける目安となります。

意識の変化

意識がはっきりしているときと、意識が混乱したり眠ったりしているときで波があります。これは頻繁に起こる症状で、日〜週の単位で変化します。

幻覚・幻聴

実在しないものを見たり(幻覚)、時には幻聴が聞こえると訴えることがあります。このときに見たり聞いたりするものは、楽しいものから悲惨なものまでさまざまあります。

特に「家に知らない人がいる」、「小さな虫がうごめいている」といった幻覚が多く、本人にとってはとても現実的であることが特徴的です。

睡眠障害

これには眠っているときに話をする、夢を身振り手振りであらわす、日中に眠くなるといった症状があります。

動作の変化

ゆっくりとした動作、手足のこわばり、振戦(しんせん、と呼びます。自分ではコントロールできない小刻みな震えのことです。)、歩行時に足を引きずるといった症状がみられます。これらはパーキンソン病に似た症状です。

そのほか、失神やふらつき、転倒、嚥下困難、抑うつといった症状もみられます。これらの症状は長く現れることもありますが、短期間で出現したり消えたりを繰り返すのが一般的です。

レビー小体型認知症の原因

レビー小体型認知症は、脳細胞内にタンパク質のかたまり(レビー小体)が蓄積することによって引き起こされます。

このレビー小体がなぜ発生し、どのようにして脳にダメージを与えるのかはまだわかっていません。ただ、このタンパク質が脳細胞間に送られるシグナルを妨害することが脳の正常な機能に影響を及ぼしているのではないかと考えられています。

レビー小体型認知症の検査


レビー小体型認知症に関する単一の検査はなく、以下のような検査を行うことがあります。

・症状の評価(レビー小体型認知症の典型的な症状があるかどうか)
・精神能力の評価(多くの課題や質問がある)
・血液検査(類似の症状を除外するために行う)
・MRI、CTスキャン、または単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)、ドーパミントランスポータスシンチなどの多数の画像検査があります。

レビー小体型認知症の治療

現在のところ、レビー小体型認知症を完治させたり症状の進行をゆるやかにしたりする治療方法はありません。ただ、数年にわたっていくつかの症状をコントロールするのに役立つ治療法はあります。

治療法の一例として、以下のようなものがあります。
・治療薬(幻覚、混乱、眠気、動作の問題と睡眠障害を軽減する)
・作業療法(服を着るといった、日常生活で支障のある動作を特定し、解決策を導く)
・言語治療(コミュニケーションや嚥下の問題を改善する)
・マッサージ、音楽、ダンスセラピーなどのリラクゼーション

おわりに:レビー小体型認知症には家族の支えが欠かせません

報道を見る限り、オノ・ヨーコさんには幻覚や睡眠障害などが現れているため、レビー小体型認知症を発症していると思われます。安全に日常を送るためには、家族や専門スタッフによる支援を受けることが欠かせません。世界的に活躍したオノ・ヨーコさんが病にかかっていることはショックですが、家族の支えを受けながら、少しでも穏やかな日々を過ごせることを願うばかりですね。

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