自閉症の特徴にはどんなものがある? ― 自閉症を理解するために

2017/3/14 記事改定日: 2018/3/26
記事改定回数:1回

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

自閉症スペクトラム障害(ASD:Autism Spectrum Disorder)は社会的相互作用、コミュニケーション、興味、行動に影響があらわれる病気です。でも、何となく言葉ではわかるけどイメージしづらいと思っている方も多いと思います。この記事では、年齢別に自閉症スペクトラム障害の特徴についてご紹介します。

自閉症スペクトラム障害(ASD)の主な特徴

自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder;ASD)とは、3歳くらいまでにあらわれるもので、以下のような「他人と社会的関係を形成するのが難しい」「言葉の発達が遅れる」「興味や関心の幅が狭く、特定のものにこだわる」といった特徴がみられます。

他人と社会的関係を形成するのが難しい

会話中に目を合わせることが苦手です。また、環境の変化を素早くキャッチすることが苦手なので、空気を読んだり、相手の気持ちを察したりすることができません

言葉の発達が遅れる

言葉を話し始めるのが遅かったり、意味を理解することが難しかったりします。また、呼んでも反応しなかったり、反応しても相手が言った言葉をただオウム返しするだけだったりすることもあります。

興味や関心の幅が狭く、特定のものにこだわる

自分の興味や関心があることに対するこだわりがとても強く、気が済むまで徹底的に調べ続けることがあります。また、毎日同じ行動をとり続けるので、予定外の出来事や初めての出来事に対して抵抗を見せることがあります。

年齢別にみる、自閉症症状の特徴

以下に、年齢別に自閉症スペクトラム障害の症状の特徴を紹介します。

赤ちゃん~2歳頃まで

赤ちゃんが自閉症スペクトラム障害を抱えている場合、お母さんと視線を合わせようとしない傾向がみられます。また、抱っこも嫌がるので、赤ちゃんが泣きやむようにと抱っこをしてあげても、泣き止む気配がみられない、といったこともみられます。

1歳ぐらいになると、多くの赤ちゃんは表情が豊かになったり、手や声を使ってお母さんにして欲しいことを伝えようとしますが、自閉症を抱えている赤ちゃんの場合、1歳になっても表情が乏しかったり、名前を呼んでも反応しないといった様子がみられます。また、手や声を使って何かを伝えようとするのではなく、親の手を引っ張って何かを伝えようとします(この現象を「クレーン現象」と言われています)。

2歳ぐらいになると、自閉症スペクトラム障害の特徴的な症状がかなり出てきます。たとえば、周囲の子供と比べて言葉が遅れていたり、毎日同じものが食べたいと強く言い張ったり、いつもと違う行動をしようとするとパニックを起こしたりするといった症状がみられます。

幼児期

他人の感情を理解することが難しく、会話を始めたり、会話に正しく参加することが困難です。言語発達が遅れ、ジェスチャーや表情を使って、言語の欠如や言語力の遅れを補うことはありません。言語力の発達と並行して自分で言葉を組み立てることはなく、他人が話した言葉や表現を繰り返す傾向があります。他の子どもが同じごっこ遊びを繰り返し続ける一方で、ごっこ遊びをしない子どももいます。

また、同じ行動をするのが好きで、小さな変化でかんしゃくを起こすことがあります。興奮したり動揺したりしたときに、手をバタバタ動かしたり、指をねじったり、鳴らしたりする子どももいます。電気をつけたり消したり、ドアの開け閉め、物を一列に並べたりなど、繰り返しの動作をする子どももいます。

小学生

周囲に配慮できず、自分がやりたいことを好きなようにしてしまう傾向がみられます。自分の気持ちを伝えたり、人の気持ちや意図を汲み取ることや、想像することが苦手だったり、その場に応じた臨機応変な対応が苦手だったりします。

また、人と関わるときは何かしてほしいことがあるときだけで、それ以外の場面ではひとりでいることを好みます。

思春期

自閉症を抱えた子が思春期になると、抑揚がない不自然な話し方をしたり、雑談に苦手意識を感じたりします。また、自分が興味があることにのめりこむ傾向もみられます。

大人の自閉症とは

自閉症スペクトラム障害の方の中には、自分が自閉症であることに気づかないまま大人になる方もいます。大人になってから自閉症の診断を受けることに抵抗があるかもしれませんが、病院で診断を受けることで、自分自身だけでなく、家族が症状を理解することができたり、必要なアドバイスや支援を受けることができます。また、自立した生活が送れるようになったり、自分のスキルや能力に合った仕事を見つけるための訓練等を行うサービスを受けることができる、というメリットもあります。したがって、上記に挙げた特徴に当てはまるものが多いと感じる場合は、病院で診察を受けることをお勧めします。

自閉症によって起こる問題

自閉症スペクトラム障害の子供および若者は、認知(思考)、学習、感情、行動の問題が頻繁に起こります。たとえば、注意欠陥多動性障(ADHD)、不安、うつ病になることがあります。

海外の調査ではありますが、自閉症スペクトラムの子供のうち、約70%は非言語IQが70未満で、そのうち50%の子供の非言語IQは50未満だった、というデータがあります。さらに、その全体で「重度の学習障害」がある人のうち、50%が自閉症スペクトラムだった、という統計も出ています。

診断を受けるには?

自閉症スペクトラム障害の主な特徴である社会的コミュニケーションと相互作用の問題は、幼児期の初期に気づくことが多いです。特に、子供が保育園や学校に通いはじめるなど、子供を取り巻く環境が変わったときに初めて気づくことが多いです。

子供の自閉症スペクトラム障害の兆候や症状に気づいた場合、または子どもの発達について心配している場合は、医師に相談してください。懸念事項について、子どもの保育園や学校と話し合うことも助けになります。

自閉症スペクトラム障害の原因は?

自閉症スペクトラム障害の原因は、正確にはまだわかっていませんが、遺伝的および環境的要因が複合的に関与しているものと考えられています。

かつて、MMRワクチンが自閉症スペクトラム障害の原因と考えられていましたが、世界中で行われた、数多くの子供を対象にした研究の結果、MMRワクチンと自閉症との間に関連性は見つかりませんでした。

おわりに:自閉症かもしれないと思ったら、早めに医師に相談を

自閉症スペクトラム障害を抱えた子供には、主として他人とコミュニケーションを取ることに問題がみられる、といった特徴があります。また、自閉症はうつ病を引き起こしたり、社会生活に支障をきたす場合がありますので、もし、お子さんや自分自身にここでご紹介した特徴や、行動などがみられたら、病院で検査を受けることをおすすめします。

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