記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/7/6
記事監修医師
前田 裕斗 先生
女性は貧血になる人が多いといいます。特に、妊娠中は普段よりずっと貧血になるリスクがあがります。それはなぜなのでしょう?
この記事では、鉄分が欠乏して起こる鉄欠乏性貧血について2回に分けてまとめました。
1回目の今回の記事では、鉄欠乏性貧血の概要と治療方法を中心にまとめています。
体内のあらゆる器官や組織には酸素が必要です。赤血球は、肺から体のほかの部分に酸素を運びます。体に鉄分が少ないと、鉄欠乏性貧血になります。
血液中には鉄分を含むヘモグロビンというタンパク質があり、赤血球が酸素を運ぶことを助けています。酸素を運ぶことを助ける鉄分を含んだヘモグロビンが少なくなると、血液中に十分な酸素がなくなります。その結果、疲れたり、弱ったり、息切れしたりしてしまいます。
鉄分を含む食べ物を十分に摂っていない、出血して鉄分を失っている、妊娠している人は、鉄欠乏性貧血が起こりやすくなります。
必要とする鉄分量は、年齢や性別によって異なります。男性は毎日少なくとも8mg、50歳以下の女性は18mg以上必要です。
出血を起こすと、赤血球が少なくなり、鉄分を含むヘモグロビンも少なくなります。
出血の原因には下記があります。
・胃十二指腸潰瘍
・子宮筋腫
・大腸ポリープ
女性の場合、生理が重く出血が多いと、鉄分が少なくなります。また、重篤なケガによる出血でも鉄分不足になることがあります。
妊娠している場合、成長している赤ちゃんに栄養を与えるためにも鉄分が必要です。食事から十分な鉄分を得られない場合、鉄分不足になる可能性があります。
軽度の鉄欠乏性貧血は、自覚症状がないことがほとんどです。症状が重くなると、以下のような症状が表れることがあります。
・疲れやすい、体がだるい
・肌が青白く、黄色くなる
・息切れ
・めまい
・頭痛
・動悸
・胸の痛み
・手や足の冷え
・爪がもろく割れやすくなる
・脱毛
・異食症(泥、デンプン、粘土、氷といった、食べ物ではないものを欲しがる)
・舌が痛くて腫れる
・むずむず脚症候群(寝ている時に足を動かしたくなる衝動に駆られる)
これらは、ほかの病気の可能性もあるので、症状が重い場合は医師に相談しましょう。
鉄剤を服用することで、鉄欠乏性貧血を治療することができます。1日あたり100〜200mg服用しますが、症状や貧血の重症度により必要な量は異なります。
ビタミンCも摂取してください。ビタミンCは、体が鉄分を吸収するのに役立ちます。
鉄分量を正常値に戻すには、1か月以上の鉄剤内服が必要な場合もあります。
鉄剤の副作用としては、便秘、吐き気、嘔吐、下痢、胸やけ、黒っぽい便が出るといった症状が起こる可能性があります。鉄欠乏による症状は、約1週間後からよくなり始めるはずです。医師は、症状が改善したかどうか血液検査を行うでしょう。
以下のような食品には多くの鉄分が含まれています。
・牛肉、豚肉、肝臓、鶏肉、七面鳥、鴨肉、貝類
・ブロッコリー、ケールなど濃い緑色の野菜
・エンドウ豆、ササゲ、うずら豆
・鉄分を強化したシリアルや穀類など
・プルーンやレーズンなどのドライフルーツ
・ひじき
・ココア
今まで見てきたように、女性は男性より多くの鉄分が必要になり、妊娠中はさらに多くの鉄分を必要とします。
鉄剤で摂るのもいいですが、副作用もありますので、できるだけ普段の食事で摂るようにしましょう。
次回の記事では、鉄欠乏性貧血に効果のある食べ物について詳しくみていきます。
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貧血予防に効く食べ物はコレ!