ストレスで腰痛!? ~ 座っている時間に悪化する腰痛(背部痛)とは

2017/7/6

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腰痛の原因は様々ありますが、仕事や家庭の問題からくるストレスもその大きな原因となっているといわれています。この記事では、腰痛とストレスの関係についてまとめています。なかなか改善しない腰痛を持っている人は参考にしてください。

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ストレスから腰痛(背部痛)が起こる?

腰痛の要因には様々なものがあります。

椎間板ヘルニアや変形性関節症、脊柱管狭窄症のような整形外科的な疾患で腰痛が起こることはご存知かもしれませんが、長時間物を持ち続けたり、座り続けたりするといった物理的要因がストレスと結びつくことで、胸部X線(レントゲン)検査やMRIでは病変を確認できない状態でも痛みが現れることもあるといわれています。

しかし、心理的ストレス自体が腰痛の要因となっているかどうかについては、専門家の間でも意見は分かれていて、現在のところ答えはでていません。

「ストレスから腰痛(背部痛)が起こる」ことについてのある研究者の考察

腰痛、背中の痛み、首の痛み、頭痛など、身体のどの部位であってもストレスによって痛みが発生する可能性があるといわれています。背中や首に問題がある人は、ストレスによって痛みが悪化する可能性があると主張する専門家もいるようです。

 

脳は、ストレスにより「何か異常が起こっている」と判断し、腰痛のような「身体的な現象(この場合は痛み)」を利用して、危険信号を発している可能性が示唆されています。このとき脳は、筋肉、神経、腱への血流量を抑えることで、痛みを生み出していると考えられています。

もともと腰痛を持っている人であっても、ストレスを感じたときに現れる腰痛は、長時間立ったり座ったりしているような物理的な負担が直接の原因にならず、脳は危険信号を発するために、もともとあった痛みを利用しているのではないかと推測されています。

「ストレスから腰痛(背部痛)が起こらない」ということについてのある研究者の意見

「人は心理的ストレスだけで筋肉の緊張や痙攣を起こすことはありますが、イブプロフェンを服用してストレッチをすれば、緊張や痙攣が和らぐでしょう」と主張する研究者もいるように、ストレスは筋肉の緊張や痙攣を引き起こすことはあっても、「腰痛」という痛み自体と作りだすことはないと考える人も多いようです。

ストレスと腰痛(背部痛)の研究

ストレスと背中の負傷を発症するリスクとの関係を具体的に調べている専門家もいます。25人の男女に個人的なアンケートを記入してもらい、その後ストレスがかかっている状況(つまり、上司に怒鳴られている状況)と、そうでない状況で箱を持ち上げてもらいました。怒鳴られながら仕事をした参加者の中には、背中に負担をかけるような持ち上げ方をしたほうが箱を持ち上げやすいという結果が見られました。

この調査で明らかになったことは、心理社会的ストレスを受けながら仕事を進めると、自分で望んで身体に負担がかかる状態を作り出してしまう可能性があるということです。つまり、ストレスは脊椎への負担を増やし、腰痛のリスクが高める可能性があることが予想できるということになります。もちろん、この研究だけでストレスが腰痛の原因になっていると断言することはできませんが、今後の研究に活かされる可能性はあるでしょう。

腰痛(背部痛)を防ぐには?

腰痛を防ぎたい人は、日常生活をどのように過ごせばよいのでしょうか?

まず基本的なこととして、腰に物理的な負担をかけないことが重要です。長時間仕事で座らなければならない人は、両足を床につけるようにし、膝を臀部より少しだけ高くするようにしましょう。足を椅子やレッグレストの上に乗せるなどの対策をとってみてください。問題ありません。腰をサポートする機能がある椅子、もしくは特別なサポートクッションつきの椅子もおすすめです。

座っているときは、立っている、歩いている、または横になっているときよりも背中に11倍の圧力がかかっているといわれています。職場で長時間立っていなければならない場合は、低い椅子や脚を上げることができるようなものに脚をのせたりしながら、姿勢やポジションを頻繁に変えましょう。また、1時間に1、2回は立ち上がったり、動き回ったり、ストレッチすることも大切です。
ただし、ストレッチのときに過度に腰を曲げたりねじったりするのは控えましょう。特に、ねじる動きは椎間板にかかる負担が大きくなります。

重い物を持ち上げる必要がある場合は、背中をまっすぐにして、膝を曲げてから持ち上げましょう。持ち上げている間は、できるだけ体に物を近づけてください。

おわりに:ストレスから腰痛(背部痛)を起こさないために

ストレスが直接腰痛を作り出しているかどうかは医学的な確証がありません。しかし、腰痛の発現と何らかの関係性があることは否定できないのではないでしょうか。ストレスは様々な「不調」を引き起こすことは明らかになっています。ストレスは溜め込まずこまめに解消するように心がけ、健康的な生活習慣を送りストレスに強い身体を作りましょう。また、腰への物理的な負担を減らすことも重要です。長時間同じ姿勢を続けないように注意し、腰を支える筋肉を鍛えるために定期的に運動をするようにしましょう。

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