記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/19
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
アスピリン喘息という病気をご存知ですか?アスピリンは頭痛薬や生理痛の薬として広く使われていますが、人によっては過剰に反応し喘息を起こすこともあります。もともと喘息を持っている人は発症すると重篤な問題に発展することもあるので、特に注意が必要です。この記事ではそんなアスピリン喘息について解説していきます。
アスピリンは頭痛薬や解熱剤として一般的な薬で、ほとんどの人が問題なく服用できます。しかし、一部の人はアスピリンに対して過剰に反応することがあり、「喘息」「鼻ポリープ」「アレルギー性の過敏症状」などの症状が現れることがあります。これらの症状の中でも、気管支喘息(以下喘息)は特に代表的とされる反応であり「アスピリン喘息」とも呼ばれています。もともと喘息をお持ちの患者さんの中にはアスピリン喘息の方が含まれており、そのような方はアスピリンの内服によって喘息発作が起きることがあります。その他、アレルギー性の過敏症状に関しては以下のような例があります。
・じんましん
・発疹
・口や喉の腫れ
・頭痛
・鼻のかゆみや鼻水
・喘鳴、息切れ
・吐き気
・お腹の痙攣
アスピリンは非ステロイド系抗炎症薬と呼ばれるグループに含まれており、同じグループのイブプロフェンやナプロキセンといった薬の服用でも同様の反応が起こる場合があります。また、アスピリン喘息は女性が発症することが比較的多く、 30代ごろに症状が始まることが多いといわれています。
もともと喘息を患っている人はアスピリンに過剰に反応することも多く、その場合喘息の発作が重症化する傾向があります。喘息が重症化すると命の危険もあるため、喘息患者がアスピリンを服用する際には必ず医師に相談しましょう。
医師から代替薬としてタイレノールなどのアセトアミノフェンを含む薬をすすめられるかもしれません(ただし、アスピリン喘息の中にはアセトアミノフェンでも喘息を起こす人がいますので注意が必要です)。
また、風邪、インフルエンザ、咳、胃に関連した疾患の治療にはアスピリンや非ステロイド抗炎症薬が使われることが多いため、喘息患者がそれらの治療を受けるときには、医師に喘息を患っていることを伝える必要があります。
呼吸困難などの深刻な症状の場合は救急車を呼びましょう。アスピリン喘息が重症化すると、生命を脅かす危険があります。
深刻な症状でなくても、アスピリン喘息の兆候を感じたら医師に相談しましょう。アスピリン喘息は脱感作という治療法で症状を改善できるかもしれません。少量のアスピリンを服用し、徐々に量を増やし服用し続けるという治療法ですが、効果が出れば問題なくアスピリンを服用できるようになるとされています。この治療法は喘息や洞調律の症状を緩和する効果も期待できます。
喘息をすでに患っている人は特にアスピリンの内服に注意する必要があります。症状が悪化し呼吸困難になる危険もあるからです。そのため、アスピリン喘息の兆候を感じたら医師に相談し、医師の指導のもと治療を続けるようにしてください。