寝る子は育つはホント~子どもと睡眠~

2017/2/20

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

睡眠は、子どもの成長にとって健康的な食事や運動と同じくらい重要です。十分な睡眠を取らない子どもは、集中力が低下し、肥満になる可能性が高くなっています。最近ではスマートフォンの普及から液晶画面を見続ける思春期の子どもたちが、十分な睡眠を取っていないことも明らかになっています。ここでは「子どもと睡眠」について考えてみたいと思います。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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子どもに睡眠が必要なわけ

睡眠不足を専門に研究している著名大学睡眠研究センターの教授によると、思春期や青年期の子どもが「もっと長く、もっと深く眠る必要がある」理由を次のように述べています。
「(子どもは)脳が大きく変化している時期です。脳には大規模な再構築と再学習をする時間があります。睡眠は脳が回復するために重要なのです。質の悪い睡眠は、翌日の行動に影響が及ぶ可能性があります。思春期の子どもはもともと環境の変化に戸惑い、反抗することが多いのですが、これは睡眠不足が起因していることが多々あります」

子どもに必要な睡眠時間とは?

11~17歳の子どもが学業に集中して健康で快適な生活を送るためには、少なくとも8時間の睡眠が必要だといわれています。実際にこの年代の半数以上が8時間以上睡眠を取っていることがわかっています。

特定の年齢の子どもが必要とする一定の睡眠量はありませんが、ここでは米国のミルポンド子ども睡眠クリニックが推奨する理想的な睡眠時間の目安をご紹介します。
生後1週間 日中8時間、夜間8時間30分
生後4週間 日中6~7時間、夜間8~9時間
生後3カ月  日中4~5時間、夜間10~11時間
生後6カ月  日中3時間、夜間11時間
生後9カ月  日中2時間30分、夜間11時間
生後12カ月    日中2時間30分、夜間11時間
2歳              日中:1時間30分、夜間11時間30分
3歳              日中:0〜45分夜間11時間30分から12時間
4歳              夜間11時間30分
5歳              夜間11時間
6歳              夜間10時間45分
7歳              夜間10時間30分
8歳             夜間10時間15分
9歳             夜間10時間
10歳           夜間9時間45分
11歳            夜間9時間30分
12歳           夜間9時間15分
13歳            夜間9時間15分
14歳~16歳   夜間9時間

快適な睡眠を妨害するもの

専門家によると、電子機器などの画面は「睡眠を阻害する」もので、夜間に子どもが寝室でテレビや携帯電話やPCを使うことを厳しく制限したほうがよいと警告しています。
画面からの光は、子どもの入眠に影響を及ぼすだけでなく子どもの気を散らし睡眠を妨げます。昨今の寝室は、休息と静けさの場所からPCやテレビなど子どもの目を覚まさせるものがたくさんある場所に変わり、子どもはいつも携帯電話をベッドに持ち込み、親が知らない間にメッセージのやり取りをするという誘惑にかられています。これは「良質な睡眠」をとっていない状態をあらわしており、学習能力に影響を与える可能性があります。

睡眠不足が及ぼす影響

夜間の睡眠は、子どもの成長にとって健康的な食事や運動と同じくらい重要であるということが明らかになっています。十分な睡眠を取らない子どもは、日中目を覚ました状態で過ごすために糖分やでんぷん質が多い食べ物を必要以上に欲してしまう傾向があり、肥満になる可能性が高くなります。
十分な睡眠がとれているかの目安になるのは、朝すぐに起きられるか、1日を通して目がさめていて、気難しくなっていないかどうかです。特に幼い子どもでは、常に睡眠不足状態にさらされていると、イライラしていて落ち着きがなく、常に刺激を求めたり、あまり集中できなくなります。このような症状は、軽度の注意欠陥・多動性障害(ADHD)と誤認されることがあります。

快適な睡眠のためにできること

快適に眠るために、以下の方法を試してみてください。

定期的な運動

睡眠をよりスムースにするだけでなく体調そのものを改善することにも役立ちます。特に思春期の子どもは、ウォーキングやランニングなどで少なくとも毎日60分は運動することを目指すべきです。

カフェインレスで不眠症に打ち勝つ

コーラ、紅茶、コーヒーなどに含まれるカフェインを摂りすぎると、眠気をとめたり、眠りを妨げたりします。

寝る前に暴飲暴食しない

寝る前に食べすぎたり、食べ足りなさを感じると眠りを妨げることになります。
腹部膨満感や空腹は、一晩中、不快感を感じる原因にもなります。

寝る前の日課は素晴らしい睡眠補助となる

子どもに寝る前の日課をもたせましょう。寝る1~2時間前に同じことを、同じ順番で行うと眠りやすくなります。

眠りやすい寝室

子どもの寝室が、よい睡眠環境にあるかを確認してください。風通しがよく、静かな部屋が理想です。夏場は、夜明けが早く日没も遅いので、光をさえぎるカーテンかブラインドを取り付けるのも効果があります。

寝室に液晶画面のある機器を持ち込まない

できれば寝室には、携帯電話やタブレット端末、テレビ、PCを持ち込まないでください。液晶画面からの光が睡眠を妨げます。液晶画面を見るより、音楽を聞くほうが効果的です。

寝やすい寝具

枕や寝具は、快適な眠りの必須アイテムです。洗濯して清潔を保ち、適度に新しいものに取り替えてください。

おわりに

「寝る子は育つ」子どもの健康には、睡眠が不可欠です。よい睡眠習慣は一生涯続きます。子どものころからよい睡眠習慣を身につけ、心とからだの健康を保っていきたいですね。

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