記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/7/26 記事改定日: 2018/4/4
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
気管支喘息(以下、喘息と表記します)が食べ物によって治ることは基本的にはありませんが、特定の食べ物による「食物アレルギー」が原因で発作が引き起こされることもあります。
今回は、そんな喘息と食べ物の関係についてお伝えします。
喘息の症状を改善する効果が期待されるのは、大きく分けて「免疫力向上効果が期待できる食べ物」と「咳を抑える効果がある食べ物」です。ただし、下記の食材は多量に摂取することで「喘息が治る」というものではないので、特定の食品を食べ過ぎないよう注意してください。
レンコンや大根、ジャガイモなどの根菜類やキノコは食物繊維やビタミンCが豊富で体の調子を整えて免疫力を高めてくれる効果が期待されています。
黒豆、ユリ根は、昔から咳止めの効果があることから喘息の改善に良いといわれています。ユリ根はゆでてつぶしてスープにして、黒豆は黒豆煮のように甘く炊くと子どもでも食べやすくなります。
喘息のときに避けたほうが良い食べ物とは?
喘息の症状を緩和すると期待される食材がある一方で、食べるのを控えたほうが良いとされる食べ物もあります。
その代表例は、メロン、キウイ、グレープフルーツなどの一部の果物で、これらはアレルゲン食品であるために喘息発作を悪化させる作用があるといわれています。
喘息の患者さんは生の果物だけでなく、ジュースなどでも摂らないように注意が必要です。
胡椒や唐辛子などの香辛料は、健康な方でも一度に食べると咳が止まらなくなることもあります。つまり、気管支を刺激しやすい食べ物なのです。喘息を持っている方は、なおさら控えたほうがよいでしょう。
下記のような食品防腐剤もまた、喘息発作を誘発する可能性があります。
特に以下にあげる食べ物には防腐剤が含まれていることが多いので、喘息を患っている場合にはできるだけ控えるようにしましょう。
食物アレルギーによって喘息症状が起こることあまりありませんが、食物アレルギーは一部の人にとって生命の危険に繋がるような重篤な症状を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
以下のような、アレルギー症状を引き起こしやすい食べ物に注意しましょう。
食物アレルギーは喘息発作と同時に皮膚症状がみられることが多いため、もしも食事中や食後すぐに喘息発作や皮膚症状があらわれたら、病院でアレルゲンを特定する検査を受けましょう。
特に子どもの場合はアレルギーによって重い症状が出て命に関わることがあるので、早めに検査を受けるようにしましょう。
アルコールは体内に入ると肝臓で分解され、「アセトアルデヒド」という有害物質になります。
アセトアルデヒドは酵素によってさらに分解され、尿や汗などと一緒に体の外に排出されますが、日本人の約半数はアセトアルデヒドを分解する酵素が活発に働かないため、アセトアルデヒドの影響を受けやすいです。
アセトアルデヒドは顔面紅潮や吐き気、頭痛のなどの症状の他、ヒスタミンが放出されるために気道粘膜を収縮させる作用があるため、喘息の発作が起こりやすくなります。
また、冷たいビールなどを一気に飲むと気道粘膜を刺激する可能性があるので、喘息患者さんは原則として飲酒を控えるようにしましょう。
気管支喘息(以下、喘息と表記します)が食べ物によって治ることは基本的にはありませんが、特定の食べ物による「食物アレルギー」や気管支えの刺激が原因で発作が引き起こされることもあります。
喘息患者さんは、一般的にアレルギーが起こりやすい食べ物や気道の粘膜を刺激する食べ物をできるだけ避けるようにしましょう。
また、食物アレルギーが疑われる場合は重篤な症状を引き起こす可能性があるので、早めにアレルゲンの特定を行いましょう。