記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
前回の記事では、ストレスが健康にどんな影響を与えているかを中心にみてきました。ストレスは確実に健康へ悪影響を与えています。今回の記事では、ストレスへの対処法を中心にみていきましょう。
ストレスへの対処方法を学ぶことで、ストレス状態からの回復力を高めることができます。
ストレスとうまく付き合うためにはたくさんの方法がありますが、近い関係(気持ちを共有できる)にある人に話すことが効果的であることが様々な研究によりわかっています。
家族や友達と一緒に過ごすことは、ストレス解消には大切なことといえるでしょう。
また、ストレスを感じたとき、健康に悪影響がある行動をとってしまう傾向があります。例えば、引きこもりがちになり社会的なかかわりを持たなくなってしまったり、ストレス解消に効果がある運動を嫌がるようになったりします。
また、健康的を保つ食生活(運動と同様にストレス解消に効果的なこと)を送るのではなく、ジャンクフードやファストフードのような体に悪い食べ物に手を出しがちになってしまいます。
ストレスによって興奮すると、カロリーが燃焼されると思うかもしれませんが、実際には逆である可能性が高いといわれています。
ある研究で、ストレスがある人は、ない人に比べて食事を食べた後に燃焼するカロリーが少なく、余った血糖を細胞内に取り込む作用のあるインスリンをより多く生成することを発見されました。
ストレスは、このような生物学的な過程を経ることによって、体重の増加や肥満につながると考えられています。
ストレスは睡眠を妨げることがありますが、それでも十分な睡眠をとることは、ストレスの耐性と軽減には大きな助けになります。
睡眠習慣の改善のため、毎日起きる時間と寝る時間を一定にしましょう。
夕方以降から寝る前までパソコンやスマートフォンのような強い光を発するデバイスの使用を制限することをオススメします。この光はメラトニンと呼ばれる睡眠リズムに関わるホルモンの産生を減らす作用があり、睡眠の質を下げます。もし難しければブルーライトをカットするフィルムやメガネをつけるなど工夫をしましょう。
運動、健康的な食事、社会的接触、十分な睡眠のほか、マインドフルネスや、その他の瞑想法や呼吸法がストレス軽減に効果的と考えられています。
マインドフルネスとは、今経験していることを自覚するということです。しばらく自分の呼吸に注意を向けるようにしましょう。
最近の研究では、少しの時間マインドフルネスを行うだけで、健康によい影響を与えられるということが報告されています。
ほかの研究でも、マインドフルネスはストレスを軽減し、脳の構造と機能を変化させ、免疫系にプラスの効果をもたらすことが示されています。
マインドフルネスは、誰でもストレスを軽減するために使用できるシンプルで効果的なツールです。コンセプトはシンプルですが、マインドフルネスを正しく行うには実践が必要になります。ヨガや瞑想教室、マインドフルネスに基づくストレス軽減プログラム、または本などから、マインドフルネスについてもっと学ぶようにしましょう。
ストレスで圧倒されているように感じる場合は、医師や専門家に相談しましょう。薬やカウンセリングなどの専門的な治療が助けになるかもしれません。長期的なストレスから開放されると、大切な人と過ごす時間をゆとりを持って楽しめるようになるでしょう。
自分のストレスをコントロールするための措置を講じましょう。
人間の体は、肉食動物や他の侵略者からの脅威のような「ストレス」から自分を守るために、生まれつき「ストレス」に反応するように設計されています。このような脅威は今日ではまれですが、だからといって人生にストレスがないということではありません。
大量の仕事を抱えたり、家計をやりくりしたり、家事や子供の世話をしたりなど、複数の要求に直面した場合、体はこれらのちょっとした煩わしさを「脅威」として扱うようになります。結果として、絶えず暴行を受けているように感じるかもしれません。しかし、ストレスは管理することができます。
ストレスに常にさらされ状態でいるとストレスへの応答システムが長期的に活性化した状態になるため、体の機能がうまく働かなくなる可能性があります。このことは、以下を含む多くの健康問題のリスクの増加につながります。
・不安神経症
・うつ病
・消化器の問題
・頭痛
・心臓病
・睡眠の問題
・体重の増加
・記憶障害、または集中力の低下
ストレスは、人生において避けがたいものであり、なくすことはできないでしょう。しかし、ストレスが体に及ぼす影響を管理することは可能です。
そのためには、ストレスの多い状況に直面した際、何にストレスを感じ、どのように肉体的かつ感情的に対処ができるのかを学ぶことが重要になります。
ストレスをコントロールするために、以下を参考にして実践してみましょう。
・健康的な食事をして、定期的な運動と十分な睡眠を取る
・ヨガを試す、深呼吸をする、マッサージをする、瞑想するなどのリラクゼーションテクニックを習得する
・趣味のために、本を読んだり、音楽を聴く
・健全な友情を育む
・ユーモアのセンスを持つ
・地域社会におけるボランティア活動
・必要に応じて専門的なカウンセリングを求める
上記のようなストレス管理の方法を学べば、心の平和と健康が得られるでしょう。
健康に大きな被害をもたらすストレスを、全て避けることはできないでしょう。しかし、ストレスへの反応を分析し、対処法を身につけることで、健康への被害を最小限に抑えることができます。
ストレスと上手に付き合いながら、徐々に回復力を高めていきましょう。