記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
夏は特に食中毒が多くなりますが、衛生や調理に十分に注意していても食中毒にかかってしまったらどのように対処すればよいのでしょうか。ひと言に食中毒といっても、原因によって治療の方法は異なりますが、ここでは一般的な対処の仕方を紹介していきます。
食中毒と一般に言われるものは、多くは細菌やウイルス、寄生虫などが出す毒素によって引き起こされるものです。下痢、嘔吐、腹痛などの症状がみられ原因微生物は多岐にわたります。
よくしられた食中毒の原因菌です。一般的に牡蠣などの摂取が原因となることが多いです。感染性が非常につよいので、食品を扱う人や食事を作る人、同居人などがノロウイルスの保菌者だと、食事を介した二次感染のおそれがあります。
生や加熱が不十分の肉類、卵、酪農製品、鶏肉などに見られます。
肉類やその汁などに見られ、冷蔵されずに長時間放置すると菌が繁殖します。
生や加熱が不十分の肉類(特に鶏)や低温殺菌されていない牛乳などに見られます。
海草や生のくだもの、野菜に見られるほか、食品を扱うときの汚染された水が原因で感染が広がります。便に血が混じることがあります。
加熱が不十分の牛肉(特に挽肉)や低温殺菌されていない牛乳などに見られます。
日本では一般的ではないものの、この寄生虫は河川の水など不衛生な都市環境が原因で発生します。
他の食中毒菌と同様、加熱によって死滅しますが、低温や食塩濃度下でも増殖するという特徴を持ちます。生ハムなどの食肉加工品や、加熱工程を経ない乳製品などに見られます。
明らかに原因となりうるような生ものなどの摂取歴があり、下痢や嘔吐などの症状が比較的軽い場合は、病院を受診せずに自然治癒を待ってもかまいません。通常は一週間程度で回復しますが、脱水症状に注意しましょう。市販の下痢止めはかえって症状を悪化させる恐れがあります(病原体が体内から出ていくのが遅くなるため)ので、使用は控えたほうがよいかもしれません。
・食後の胃が落ちつくまでの数時間は、飲食を控えましょう。
・水やだし汁、電解質溶液(いわゆる経口補水液)などを飲みましょう。下痢や嘔吐で失ったミネラルを補充できます。
・十分な休息をとりましょう。
・酪農製品、カフェイン、アルコール、炭酸飲料、刺激の強い食物や脂肪分の多い食物は病態を悪化させてしまうので控えましょう。
数日が経過しても症状が改善しない場合や食中毒の原因が特定できない場合、水や食事がとれない状態が続くときは、すぐに医師に詳しく診てもらってください。特に抵抗力の弱い高齢者や乳幼児は脱水症状に陥りやすく、早めの適切な治療が重要になります。
・口内の乾燥や喉の極度の渇き
・尿量が少ない、暗色の濃縮した尿が出る
・激しい動悸や低血圧
・衰弱、めまい、意識が朦朧とする(特に寝た状態から立ち上がったとき)
・意識障害
・吐瀉物や排泄物に血液が混入している
・視界のぼやけ
・下痢が三日以上続く
・便に血液の混じる
・激しい腹痛や腹部の痙攣
・39度以上の発熱
・嘔吐が止まらない(液体を飲み込むことすらできない)
・腕に刺すような痛みがある
・慢性の病気を抱えている人や免疫不全の人
・他の感染症が原因で、患者の免疫系に欠陥がある
食中毒は予防が肝心です。身のまわりの衛生や、調理の加熱には十分注意してください。生肉は食べないようにしましょう。もし食中毒になってしまっても、適切に処置を行えばおそれることはありませんが、重度化すると命取りにもなりかねません。不安があれば、すぐに医師に助けをもとめるのが一番かもしれません。くれぐれもこの時期の食中毒には気をつけましょう。