日焼けや皮膚ガンを予防するためにービタミンDの摂り過ぎに要注意!

2017/3/15

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

骨と筋肉を強化し、成長を促進させる成分・ビタミンD。
今、最近の研究で、
アンチエイジング、生活習慣病の予防、免疫力UP、
そして、自閉症にもいい効果をもたらすことがわかってきました。

体内で活躍する、頼れる存在がビタミンDです。

基本的には体内で生成されないビタミンの中で、ビタミンDは特別な存在。ビタミンDだけが人間の体内で生成されるからです。
しかし、紫外線を浴びることで生成されるため、
“摂りすぎ”には注意しなければなりません。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

ビタミンDについて

ビタミンDは、カルシウムのバランスを整え、骨・歯・筋肉を健康に保つために必要な栄養素です。日光から最も摂取できるビタミンで、最近では、免疫力を高める効果や生活習慣病、自閉症にも有効という研究結果が出ています。
ビタミンDが欠乏すると、骨がもろくなり、子どもは骨が変形する「くる病」、大人は骨粗鬆症になります。

ビタミンDの摂取方法

ビタミンDを摂取する方法は2つあります。日光を浴びて紫外線からビタミンDをつくってもらう方法と食べ物から摂る方法です。

日光に当たることによって、皮膚でつくられたビタミンDは、肝臓や腎臓と関わりながら、骨や筋肉を健康にする活性型ビタミンDに変化します。

ビタミンDを含む食べ物は、サーモン、サバ、ニシン、イワシなどの魚や、レバー、卵、シイタケ、きのこ、海藻類で、サプリメントからも摂取することができます。
また、乳児用のミルク、シリアルにも成長を促す配慮から、ビタミンDが含まれています。

どれくらい太陽の下で過ごしたらいいですか?

ベストタイミングは、春から秋にかけての4月上旬~9月下旬の11~15時の間ですが、どれくらいの時間日光を浴びるのがおすすめかは、個人差があります。
ただ、少しの時間でも、普段から日光に当たっていれば、十分な量のビタミンDが体内で生成されます。

日焼けしてしまうと肌に悪影響があるため、日焼け止めを塗るのを忘れないでください。
また、日のあたる室内にいるだけでは、ビタミンDは生成されません。ビタミンDをつくる紫外線B波は、窓を通過しないからです。

しかし、太陽の光を浴びている時間は、長ければ長いほど、皮膚ガンのリスクも高まります。
・日焼け止めを塗る
・露出を抑える
・サングラスをかける
などの対策をとってください。

冬場の日光浴は?

紫外線は季節によって皮膚に届く量が異なります。結果として、体内でつくられるビタミンDの量も、季節で異なります。
冬場は、オゾン層で紫外線が吸収されてしまうため、夏の太陽ほど、体がビタミンDを生成するのに必要な紫外線Bが届かないからです。
そのため、冬に夏と同じ時間だけ日光を浴びても、ビタミンDは生成できません。
10~3月の秋から春までは、食べ物やサプリメントでビタミンDを摂取してください。

赤ちゃんや子どもは?

ビタミンDは、カルシウムとリンの吸収を助け、骨や筋肉を丈夫にしたり、遺伝子の働きを調節するため、赤ちゃんや子どもの成長に欠かせません。
しかし、6ヶ月未満の赤ちゃんは、直射日光を浴びないように注意してください。また、日差しが強烈な夏場は、以下のことに注意してください。

・必ず帽子を被らせる
・肌を露出させないようにする
・11~15時の昼にあたる時間帯はなるべく日陰にいる
・日焼け止めクリームをきちんと塗る

ビタミンDを摂取させるために、子ども用のサプリメントを飲ませたり、ビタミンDが豊富なシリアルを食べさせるのもおすすめです。

ビタミンDの摂りすぎに注意

5歳以上の人のほとんどは、日光を浴びるだけで、ビタミンDが十分に生成できるので、食べ物にこだわったり、サプリメントを飲む必要はありません。冬の間だけ、サプリメントで補給してください。

また、ビタミンDのサプリメントは、1日10ミクログラム程度の摂取で十分です。日本の食事摂取基準2010年版のビタミンD耐容上限量は成人で1日50ミクログラムとなっており、、100ミクログラム以上のビタミンDを摂取した場合、健康状態に影響が出る場合があります。
ビタミンDの過剰摂取を続けた場合、血液中のカルシウム濃度が上昇し、血管や心臓、腎臓などに、カルシウムが沈着しやすくなります。

特に、腎臓にカルシウムが大量に沈着した場合、尿毒症を起こし、体調が悪化し、最悪の場合、命に関わります。ビタミンDの摂りすぎは要注意です。
これは妊娠中、授乳中の女性を含む大人とお年寄り、11歳~17歳までの子どもも同様です。

おわりに

ビタミンDは、
・歯や骨を強くする
・心臓機能を改善する
・血管の機能を高める
・免疫力アップ
・抗がん作用
などをもたらす作用があり、細胞の成長を促進してくれます。
その結果、
・肌荒れの改善
・くすみの解消
といった美容効果もあります。

また、心をリラックスさせる物質であるセロトニンの生成に作用するため、うつ病の治療にも日光浴がすすめられています。
筋力を高め転倒も防ぐことにもつながるというビタミンDの摂取。高齢社会の今だからこそ、日光浴に出かけましょう。
ただ、過剰摂取には注意してください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

効果(67) 皮膚ガン(8) 日焼け(25) 食品(8) 日光(4) 過剰摂取(7) ビタミンd(31)