記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/1 記事改定日: 2018/8/23
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2型糖尿病の治療と血糖コントロールには大切な「目標」がありますが、ご存知でしょうか?今回の記事では2型糖尿病の治療と血糖コントロールの目標と方法について詳しく解説していきます。
糖尿病とは、「血糖値が上がる」病気ですが、2型糖尿病は生活習慣や遺伝などが関与して発症するタイプの糖尿病です。
血糖値が上昇した状態が続くと、発症初期の頃は特に自覚症状はありませんが、血管内を流れる血液に過剰なブドウ糖が含まれることで、血管の内側の壁が傷つき動脈硬化を引き起こします。
糖尿病では全身の血管に動脈硬化が生じ、心筋梗塞や脳卒中などの命に危険を及ぼす合併症を引き起こしたり、目や腎臓の血管を傷つけることで最終的には失明や腎不全によって人工透析・腎移植が必要になることもあります。また、足先の神経を障害して重度な壊死を引き起こし、足を切断しなければならないことも少なくありません。
糖尿病を発症した場合は、このような重篤な合併症を予防するために血糖値を正常に保ち、動脈硬化の発症や進行を食い止める必要があります。
糖尿病の治療方法は病状によって異なりますが、初期の段階では食事療法や運動療法を行うことで血糖値の低下を図ります。これらの生活習慣の見直しをしても改善が見られない場合には、内服薬によって血糖値を下げ、さらに悪化するとインスリンの自己注射が必要となります。
糖尿病による様々な合併症の発症を防ぐための血糖コントロール目標値は、空腹時血糖130mg/gL未満、食後2時間後血糖値180mg/dL未満とされています。また、体内の血糖を示す指標として用いられるのは、血糖値だけでなくHbA1cと呼ばれる値です。HbAicは過去1か月ほどの血糖の状態を表すもので、長期的な血糖状態を把握することが可能です。
合併症予防のためにはHbA1cを7.0未満に維持することが必要であり、より厳密に血糖の正常化を目指すには6.0未満を目標とするのが一般的です。
2型糖尿病でインスリン療法が必要になるのは以下のような場合です。
このような場合には、生活習慣の改善や内服薬のみでは血糖をコントロールするのは困難であり、妊娠中は胎児に危険が及ぶため内服薬を服用することができません。このため、血糖を下げる働きを持つホルモンであるインスリンを体内に注入して血糖値をコントロールする必要があるのです。
糖尿病になったら、まずは自分の血糖値を把握することが大切です。血糖値計を使って少なくとも1日に1回は血糖値を計り、その数値を記録するようにしてください。このことは、自分の正常値の把握や、血糖値が高くなりやすいあるいは低くなりやすいなどのパターンの発見につながり、血糖値を管理しやすくなります。
また、記録した数値は医師があなたの治療プランを作るために重要な材料です。効率良くケアを行うために、正確な血糖値の計測を毎日行いましょう。
血糖値コントロールと切っても切り離せないのが食事管理です。ここでは特に食事をする上で注意すべき点について見ていきます。
肥満は体に負担をかけるだけでなく、血糖値の上昇にも関係しています。余分な体重を減らすためにも、1日に少なくとも30分間ほどは運動する時間を作りましょう。4~7kgほど落としただけでも大きな違いを実感できるはずです。
ウォーキングをする、泳ぐ、ヨガをする、ダンスをするなど・・・自身が楽しめる有酸素運動を習慣化しましょう。定期的に運動することは血糖値を下げることに役立ちます。また、適度な運動はインスリンの活性化にもつながるとされるため、運動習慣を身につけることは血糖値管理に大変効果的といえるでしょう。
糖尿病の治療の目的は、合併症などの深刻な症状への発展を防ぐことであり、そのためには正しい血糖コントロールが必要です。血糖コントロールをどのように進めていくかは、その人の状態によって変わってくるので、医師と相談しながら気長に治療に取り組診ましょう。
くれぐれも自己判断で治療内容を変えることはしないでくださいね。