ストレス症状には3つの段階があるって本当?

2017/7/26 記事改定日: 2018/3/29
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ストレスにさらされ続けると、体にどんな影響が及ぶ恐れがあるのでしょうか。ひとくちに「ストレス」と言っても、人によってストレスに感じることはさまざまですし、ストレスに対する体の反応も人によって異なります。この記事では、ストレス症状の3つの段階とともに、その対処法についてご紹介します。

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ストレスとは?

ストレスとは、特定の要因や生活上の変化に対する体の反応です。健康や幸福を脅かすものは、ストレスの原因(ストレッサー)となります。

ストレッサーとは、ストレスの原因となる特定のできごとや、日常生活での変化のことです。ネガティブなものだけでなく、ポジティブなものもストレッサーになる可能性があります。たとえば、病気や身近な人や動物の死、離婚や、試験や新居、子どもの誕生や初デートなども、ストレッサーになる可能性があるのです。

また、仕事の締め切り、個人間の意見の相違、不快な音、混雑、人間関係での悩みといった、日常生活で遭遇するさまざまな問題もストレッサーとなる可能性があります。特に、日常におけるプレッシャーや困難、要求が自身の処理能力を超えたときにストレスを感じると言われています。一般的に、ストレッサーが多くなればなるほど、より多くのストレスを感じると言われています。

しかし、ある程度のストレスは、刺激を与え、やる気を起こさせることもあるため、必ずしも悪いものではありません。しかし、過度のストレスやストレス状態が長期間続くと、心身の健康に悪影響を及ぼすしたり、身体症状、感情面や行動上の症状として現れることもあります

どんなものがストレスのサインになる?

無理をしているとき、身体は何らかのサインとしてそれを伝えようとします。次に挙げた、いずれかの症状がある場合、体がストレスの影響に苦しんでいる可能性があります。

・頭痛
・睡眠障害
・不安感
・緊張
・集中力の欠如
・抑うつ症状
・食欲の増加または減退

深刻な場合は、極度の疲労や日常生活への関心がなくなる「燃え尽き症候群」になることもあります。ちなみに、ある研究では、ストレスレベルが高くなると免疫システム、ひいては健康状態全般に悪影響が及ぶという結果が出ています。

ストレス症状の3段階

ストレス症状には3つの段階があります。これらの段階を理解することは、日常のストレスを突き止めて、前向きに立ち向かうのに役立ちます。

ストレスは脳で生まれますが、脳だけではなく体全体に影響を及ぼしします。ストレス反応によって、身体は神経系、心血管系、自律神経系、免疫系、代謝系のホルモンを通じてストレスに適応して危機から立ち直るように促されます。

ストレス症状の第1段階「闘争・逃走反応」

ストレス症状の第1段階である「闘争・逃走反応」には、以下のようなものがあります。

・触ってわかるほど心臓の鼓動が速く、激しくなる
・血圧の上昇
・呼吸が速く、激しくなる
・消化に時間がかかる
・手のひらに汗をかく
・口の乾燥
・筋肉の緊張
・速いペースで血栓ができる
・体内で行われる全ての活動のエネルギー供給のため、グルコースと脂質が血液に流れ込む
・思考が押し寄せる
・理由のない恐怖や不安を感じる

攻撃者や捕食者から逃げる闘争・逃走反応は、身の安全を脅かす危機的なストレッサーから切り抜けるためのものです。ストレッサーが過ぎ去ったり、取り除かれたりした時点で、身体は正常の働きに戻ります。しかし、ストレス反応が繰り返し起こったり、長期にわたって続いたりする場合、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

ストレス症状の第2段階

ストレッサーをどう捉えるかによって、状況に対する感じ方や対処能力に違いが出ます。その人の価値観や処理能力によって、ストレスとなりうる状況の捉え方や、その状況への対応の仕方が決まります。

脅威やプレッシャー、要求を感じやすかったり、悲観的に物事を考えやすい場合は、ストレスを効率よく処理しにくい傾向にあり、集中力も低下しやすくなります。

ストレスへの反応や対処方法は人それぞれです。闘争・逃走反応が長期にわたって繰り返し起こっている場合、繰り返されるストレッサーへの反応によって身体、感情や行動に悪影響を与える可能性があります。

<身体への影響>
疲労、吐き気、高血圧、高コレステロール、潰瘍、発疹、緊張性頭痛、片頭痛、過敏性大腸

<感情への影響>
突発的な感情の爆発、不安感、怒り、物忘れ、突然泣き出す、無力感、絶望感

<行動への影響>
睡眠不足、不健康な食生活、過食、食欲不振、喫煙、過度のアルコール摂取、運動回数の減少または定期的に運動をしない、浪費、薬物乱用、引きこもり

ストレス症状の第3段階

度重なるストレス反応とそれに伴う身体、感情、行動への影響によって、以下のような疾患や生活習慣病が引き起こされる可能性があります。

・心臓病
・肥満
・不安神経症
・うつ病
・不妊症
・自己免疫疾患
・アレルギー性疾患

ストレス解消法にはどんなものがある?

ストレスを長期間にわたって抱え込まないようにするためには、ストレスにうまく対処するための方法を見つることが大切です。たとえば、健康的な食生活を心がけたり、ストレス解消につながること(運動や趣味など)のために使える時間を作ったりすることが挙げられます。

また、ストレスに感じていることを紙に書き出したり、イラストで描いてみたりすることもおすすめです。単なる落書きでも、頭の中にあることを書き出すことで、悩みや不安を客観視できるようになったり、書くことで気持ちにゆとりができて解決策のヒントを思いついたりすることができます。

そして、腹式呼吸もストレスを和らげる効果があります。不安や緊張が強くなると、呼吸が浅く、早くなりがちです。呼吸が乱れていると感じたら、まずはゆっくり、お腹をへこませながら口から息を吐き出したあと、お腹を膨らませながら鼻からゆっくり空気を吸い込みましょう。5~10分くらい続けていると、呼吸が深くなるとともに、気持ちも落ち着いてくると思います。

おわりに:ストレス症状を自覚し、コントロールすることが大切

長期間のストレスによって起こるさまざまな疾患や生活習慣病を防ぐには、健康的な食事、定期的な運動、十分な休養などを取り入れながら、ストレスをコントロールすることが重要です。残念ながら、生きている限りストレスが完全になくなることはないので、自分で工夫しながらストレスとうまく対処できる方法を見つけましょう。

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