記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/27 記事改定日: 2018/3/27
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
デスクワークや立ち仕事などの影響で、すっかり癖になってしまっている人も多い「腰痛」。この辛い腰痛を改善するには、どうすればいいのでしょうか?ストレッチや筋トレなど、おすすめの方法をご紹介していきます。
腰痛を改善する方法としてまずおすすめなのが、ストレッチです。ストレッチは筋肉の柔軟性を高める効果があるため、腰の負担の軽減につながり、腰痛の改善効果があると考えられています。
おすすめのストレッチを、いくつかご紹介します。
1.足を腰くらいの幅に広げて椅子に座り、足は正面に向けたまま上半身を右へひねる
2.左手で右の太ももの外側をつかみ、さらに上半身を右へひねる
3.左の腰付近が伸びていることを実感したら、そのまま20〜30秒止め、ゆっくり戻す
(左右交互に行ってください)
1.腰の幅に開脚し、腰に手を当てる
2.頭から上半身を軸にし、腰だけ大きく回す
1.仰向けになり、両膝を三角形の形に立てる
2.なるべく足裏を床につけるようにして、足を床につけた状態で右にゆっくり倒す。気持ちいいところで5〜10秒止める
3.ゆっくりと1の姿勢に戻り、次は左へ倒す
(上記を1セット5回ほど、1日2セットを目標に行ってください)
腰痛の原因にはさまざまなものがありますが、運動不足や筋力の低下も主要因の一つと考えられています。このため、筋トレは腰痛を改善するのに非常に効果的です。下記の筋トレを実践してみましょう。
実は、腹筋が衰えると正しい姿勢が維持できず、腰痛が誘発されることがあります。
1.仰向けに寝て、腰くらいの幅に足を開き、膝を立てる
2.腰の下にタオルを敷き、腰が反らないようにする
3.腹部にタオルを乗せ、腕全体を床につけ(上半身の横に来るように)、手のひらを天井に向ける
4.息をゆっくり吐きながらお腹を凹ませ、ゆっくりと戻す
(1日に5回、2〜3セット行ってください)
1.立った状態で腰の幅よりやや広めに足を開き、膝を軽く緩める。まっすぐ前を見て姿勢良く立ち、肩は耳の下に来るようにする。膝とつま先は少し外側を向くようにする
2.そのまま息を吸いながらお尻を後方へ引き、腰掛けるような形で膝を90°に曲げる。体勢を戻すときは息を吐きながら行う
(1日10セットを2〜3回行うようにしてください)
ヨガは凝り固まった筋肉をほぐし、血行を良くする効果があるため、デスクワークや立ち仕事などによる腰痛を改善する効果があるとされます。チャイルドポーズや橋のポーズ、座った状態でのねじりのポーズなどが特に有効と言われています。
この治療法は、炎症を起こしている場合に効果的です。痛みがでたらすぐに保冷剤を最大20分間まであてて冷しましょう。痙攣や急な痛みがやわらいだら、今度は患部を最大20分間温めましょう。このことで、緊張した筋肉を緩めることができます。
鎮痛薬は、痛みのコントロールに役立つ場合があり、特に非ステロイド系抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs: NSAIDs)は筋肉や関節の炎症による痛みの軽減を目的に使われます。ただし、高血圧、心臓病または腎臓疾患または消化性潰瘍の既往歴がある場合には、市販薬、特にNSAIDsは医師に相談してから服用するようにしましょう。
コルセット、ベルトなどの補助具の役目は、炎症や障害が起こっている部位をこれ以上悪化させないように動きを固定することです。筋肉や関節などの損傷部位を保護する目的で使われます。損傷部位の負担が減るので痛みが起こりくく、早期回復も見込めます。ただし長期間使用すると筋力が低下する可能性があるので、これらの補助具の使用は短期間に制限することをおすすめします。薬局や医療用品店で簡単に購入できるほか、病院などで処方してもらえる場合もあります。
うつ伏せや仰向けでの寝方は、腰を圧迫し腰痛を悪化させる要因の一つであり、また良質な睡眠は腰痛からの回復を早めるのに効果的です。腰痛を改善したいのであれば、エビのように横向きの寝方で、足の間に薄めのクッションを挟み、腰の負担を減らしましょう。仰向けでしか眠れない場合は、タオルや薄めのクッションで、腰と敷布団の隙間を埋めるようにしてください。
腰痛が発症してすぐの間は、痛みができる限り少なくなる体勢で横たわり(多くの場合は横向き)、休息をとるようにしてください。すぐ腰を動かすと、余計腰痛が悪化する恐れがあります。
また、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの特定の病変が原因の腰痛の場合、自己判断でストレッチや筋トレを行うとかえって危険です。必ず医師に相談してから行うようにしてください。
ただし、ベッドなどでの安静状態が3日以上続くと、筋力が低下し、腰の痛みが悪化するなど、さらなる障害を引き起こす可能性があります。腰痛が引いてきたらなるべく早めに体を動かすようにすることが大切です。
病院で行われる腰痛治療は以下の通りです。
病院では、軽度から中等度の腰痛、または筋痙攣などを和らげるために、非ステロイド性抗炎症薬や筋弛緩剤を処方されることがあります。理学療法には以下が含まれます。
・患部を暖める、または冷やす
・理学療法士によるマッサージ
・水治療
水治療とは特別なプールで行われるエクササイズです。温水に入ることで損傷した組織をサポートし、エクササイズに抵抗力を与えます。
痛みが治まると、医師、理学療法士などに筋力、柔軟性、姿勢を改善するための運動療法を相談してみてください。
リラクゼーションで緊張した筋肉を緩めることは、痛みを和らげたり、慢性的な痛みにうまく対処する方法を学ぶのに役立つでしょう。
患部近くに皮膚に電極をあて、穏やかな電流が流す「経皮的末梢神経電気刺激(transcutaneous electrical nerve stimulation: TENS)」は、痛み信号の伝達を妨害することで痛みを緩和できるとされています。ただし、TENSは坐骨神経痛の痛みを和らげますが、通常、慢性的な背痛の軽減効果はほとんどないといわれています。
ほとんどの腰痛の場合、手術は不要です。保守的治療に反応しない特定の症状としては、神経圧迫による痛みや筋肉の衰弱、膀胱や腸の障害などがあります。
軽度の腰痛であれば、ご紹介したセルフケアでの改善が見込める場合が多いです。腰痛持ちの方は、早速実践してみてください。なお、腰痛のほとんどは筋骨格系の痛みですが、中には内臓疾患が原因など危険な腰痛も存在します。痛みが強すぎる、または他の症状を伴うことがあれば病院で診察を受けることをおすすめします。