記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/3 記事改定日: 2019/5/14
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「魚や魚を使った加工食品を食べたら蕁麻疹が出た!」
そのような場合の蕁麻疹は、ヒスタミンという物質によって引き起こされた食中毒の可能性があります。
ヒスタミンによる食中毒の原因や対処法について、この記事で詳しく見ていきましょう。
ヒスタミン中毒はヒスタミンが高濃度に蓄積された食品、特に赤身魚やその加工品を食べることによって起こります。
ヒスタミンはアミノ酸の一種である「ヒスチジン」に酵素が作用することによってつくられる体内物質です。体内へ入ってきた病原体などを排除するために免疫系から放出され、毛細血管を拡張する働きがあります。
魚やその加工品の他にワインやチーズなどの発酵食品にも含まれています。
ヒスタミンは熱に強く、加熱などの調理工程で除去することができません。そのため、一度つくられると食中毒を防ぐことができなくなってしまいます。
ヒスタミンを生成する「ヒスチジン」はタンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうちの1つです。マグロ、カジキ、カツオ、サバ、イワシ、サンマ、ブリ、アジなどの赤身魚やその加工品に多く含まれています。
ヒスチジンからヒスタミンが生成されるのは、ヒスチジンが多く含まれる赤身魚や加工品を常温で放置したり、内臓やエラの処理を適切に行わなかった場合です。
ヒスタミンは熱を加えても安定しているため、一度発生すると加熱調理をしても変性しません。
従ってヒスタミンを蓄えてしまうと、焼き魚に調理してもヒスタミン中毒を発症します。
ヒスタミンを多く含む食品を摂取した場合、通常、食後数分~30分ほどで顔面や口の周り、耳たぶが赤くなる、頭痛、じんま疹、発熱などの症状があらわれますが、重症になることはほとんど無く、たいていの場合は6~10時間で回復します。
治療では抗ヒスタミン薬を使用します。
また、症状が比較的軽いことが多いため、多くの場合は病院に行かずに自宅で対処を行っても問題ありません。
水分を多く摂って排尿を促し、食中毒をもたらしているヒスタミンを体の外に出すように意識しましょう。
ヒスタミン中毒はまれに重症化することがあり、なかには生命に危険が及ぶようなケースもあります。重症なヒスタミン中毒では次のような症状が現れますので、飲食物を口にした後に突然発症した場合はなるべく早く病院を受診して治療を受けるようにしましょう。
ヒスタミン中毒を予防するには以下の点に注意が必要です。
魚を購入した際は常温に放置せずにすぐに冷蔵庫に入れてください。常温での解凍も菌が繁殖する恐れがあります。
また、調理時に加熱してもヒスタミンは分解されないため、鮮度が低下した可能性のある魚は食べないようにしましょう。
ヒスタミン生成菌は魚のエラや内臓などの消化管に多く存在するので、それらの部位はできるだけ早く取り除きましょう。
尚、処理をするときは調理場や器具の衛生面にも注意してください。
ヒスタミンを高濃度に含む食品を口に入れると、くちびるや舌先に通常と異なる刺激を感じることがあります。このような違和感を感じた場合は、飲み込まずに処分しましょう。
ヒスタミン中毒は一般的な食中毒と異なり、加熱によって原因菌を死滅させることができません。一度ヒスタミンが発生してしまうと防ぐことが難しくなってしまうため、赤身魚や魚の加工食品を保存する際は、すぐに冷蔵庫で保存すること、エラや内臓を適切に処理することに注意してください。