記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/8/9 記事改定日: 2019/7/4
記事改定回数:1回
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
まぶたがゴロゴロする、まばたきをするたびに痛い、目がうまく開かない、などものもらいになると不快な症状に悩まされますね。
今回の記事では、不快なものもらいについて原因や症状、治し方などをお伝えします。
ものもらいは、まぶたの内側か外側、上部か下部にできる、小さくて痛みを伴う吹き出物か腫れ物のことです。
通常まぶたの表面に生息している細菌が、マイボーム腺などの皮脂腺をふさいでしまい炎症が起こります。また、細菌と死んだ皮膚細胞がまぶたの縁に溜まってできることもあります。学術名は麦粒腫といいます。
ものもらいは通常片方の目だけに起こりますが、両目がものもらいになったり、同じ目に2つ以上ものもらいができる可能性もあります。通常、視力には影響はありません。
ものもらいは大きく分けて2種類あります。
まぶたの縁に沿って腫れが生じます。触ると痛み、膿の溜まった黄色い吹き出物のようなものに変わる可能性もあります。
まぶたの内側に腫れが生じます。外麦粒腫よりは痛みが少ないです
ものもらいは通常、皮脂腺がふさがれブドウ球菌に感染することよって起こります。黄色ブドウ球菌は常在菌であり、本来は皮膚の表面に生息していたとしても害がありません。
体は、何十億もの体に良い細菌に覆われています。ほとんどの場合、何の問題も起こりませんが、特定の条件が揃うと、細菌が過剰生成されて腫れが生じます。まぶたに生じた腫れ物がものもらいです。
ものもらいを生じる原因となる、ふさがれた皮脂腺が改善しない場合、その周りに瘢痕組織がつくられます。痛みはなくなりますが、腫れは残ります。この状態を慢性的な霰粒腫と呼びます。
ものもらいと霰粒腫は、どちらも通常害のないものです。眼球や視力に影響を与えることはほとんどありません。しかし、まれに、蜂巣炎という重度の顔の感染症を引き起こす可能性があります。
ものもらいや霰粒腫はどんな年齢でも起こる可能性があり、再発する傾向にあります。まぶたの炎症(眼瞼炎)や「酒さ」と呼ばれる皮膚の病気が進行中の人は特にそのリスクが高くなるといわれています。
まぶたの外側にできるものもらいは、次に挙げる腺に感染が起こることが原因になっている可能性があります。
皮膚には、まつ毛一本一本が生える小さな穴があり、これを毛包といいます。
この腺はまつげの毛包に付着しており、皮脂という脂を含んだ物質を生成します。皮脂はまつ毛に潤いを与えます。
アポクリン腺という汗腺はまつ毛の毛包へつながり、目が乾くことを防ぎます。
内麦粒腫は、マイボーム腺が感染すると生じる可能性があります。マイボーム腺はまぶたにあり、脂を含んだ液体を生成します。この液体が、目を覆う涙膜の一部となります。
マイボーム腺がふさがれると、嚢胞が生じ、そこから感染してしまう可能性があります。
まつ毛の毛包感染によって、眼瞼炎という合併症が引き起こされることもあります。眼瞼炎の症状には次のようなものがあります。
眼瞼炎は、「酒さ」(主に顔に影響を与える皮膚の病気)の合併症である可能性もあります。
ほとんどの場合、ものもらいはまつ毛に接した吹き出物として生じます。その後赤く、痛みを伴う腫れになり、それがつぶれて治るまでには数日かかる可能性があります。ほとんどのものもらいは一時的なもので、自然に治るものです。しかし、状態によっては眼科医の治療が必要な場合もあります。
ものもらいは、まぶたの表面にできるものと、まぶたの内側の深いところにできるものがあります。どちらのタイプも、自然と消えていきますが、液体の溜まった小さい嚢胞が残った場合は、眼科医が切開して、中の液体を出す必要があります。
ものもらいの主な症状には以下のようなものがあります。
ものもらいがつぶれて膿が出てくると、自然に良くなっていきます。
早く治したいからといって自分でつぶさないようにしましょう。
ものもらいは細菌による皮脂腺の感染症です。自然に治る病気ですが、再発しやすい特徴もあります。何度も再発を繰り返して困っている場合や、ものもらいがひどく痛む場合、ひどく腫れている場合には、眼科医の診察を受けましょう。