記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
喘息を持っている人の場合、運動することは簡単ではないと思っているかもしれません。しかし、喘息患者でも運動することは可能です。今回は喘息患者に優しい運動やスポーツをご紹介します。
如何なる運動計画も、始める前にかかりつけで喘息を治療している医師にすることをお勧めします。喘息持ちに優しいスポーツを選び、徐々に運動量を増やし、時間をかけて身体を運動に慣らしていってください。また、友人と一緒に行うとよいでしょう。そうすることで怪我の防止や、モチベーションを高く保てるというメリットがあります。
喘息症状に優しい運動やスポーツは、患者の一連の要求を満たすものでなければなりません。最適なスポーツかどうか判断する際、以下のことを参考にしてみましょう。
・そのスポーツをする際、呼吸の速度と深度をコントロールできるか。
・鼻を通して呼吸をすることができるか。
・咳や呼吸困難、気道の乾燥を促進するものか。
・必要な時に休憩を取って、水を飲むことができるか。
・短時間において爆発的な運動量を必要とし、持久力がさほど必要ないか。
・患者の安全のために、第三者が傍観・監視することができるか。
水泳は喘息症状に最も優しい種目です。水泳以外にも以下のスポーツがおすすめです。
・サイクリング
・カヌー
・釣り
・セイリング(ヨット)
・ウォーキング
これまで、喘息患者はスキューバ・ダイビングに従事できないと考えられてきました。しかし、近年今まで考えられてきたように、喘息そのものがダイビングを不可能にする絶対的な要因はない、という判断が下されました。喘息症状が上手くコントロールできているのであれば、海中探索も夢ではありません。
ただし、以下に該当する人はダイビングを行うにはリスクが高すぎるとされています。
・運動あるいは寒冷誘導喘息を持つ患者
・慢性的な薬物の服用を要する喘息患者
・軽度~普通の喘息症状を持つ患者で、一秒率が85%以下である
できるだけ深い場所まで潜りたいと思うでしょうが、常識の範囲内に留めておく事が重要です。自分自身や仲間のダイバーを守るためにも、発作が訪れたときには気道の機能が元通りになるまではそれ以上潜り続けてはいけません。
運動誘発性喘息(Exercise induced asthma: EIA)でも、定量吸入器を用いることによってパフォーマンスを最高の状態に保つことが可能です。そして、薬の効果を最大限に利用するためには、できるだけ多くの薬剤を肺の奥深くに辿り着かせる必要があります。そのためには、吸入器の開口部を口から数センチ離し、マウスピースを唇でくわえない方法で吸ってみましょう。こうすることで大きな(薬物)粒子がより小さな粒子へと分解する余地が生まれ、肺の細い管内へと入り込む可能性が高くなります。吸入器のピストンを押し込んで薬物を噴霧し、ゆっくりと吸い込んでいきます。3~5秒間吸い込んだら、最大10秒間呼吸を止めましょう。
また、スペーサーを使用しても良いでしょう。これはプラスチック製の小さな容器で、赤ちゃんや子供が喘息用のポンプを使用しやすくするためのものです。 吸入器の正しい使用法と薬物の服用頻度を知るためには、必ず医師のアドバイスを受けましょう。
喘息があるからといって運動やスポーツができないわけではありません。スキューバー・ダイビングでさえ、発作をコントロールすることができれば参加可能と考えられています。運動することを諦めず、挑戦してみましょう。ただし、どのように運動に取り組むかについては、必ず担当医師に相談してから計画をたてるようにしてください。