こわい受動喫煙~タバコの煙が人に与える影響~

2017/1/27

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

タバコの煙は、喫煙者の肺ではなく空中に漂う副流煙となって近くにいる人が吸い込むことになります。副流煙は、喫煙者が吐き出す煙だけでなくタバコを吸い終わるまでに発生する副次的な煙も含みます。
喫煙者がタバコを吸うと、まわりの人たちも副流煙を吸うことになります。これを受動喫煙といいます。受動喫煙は、子どもにとって特に危険です。愛する子どもや家族を守る最善の方法は「禁煙する」ことです。

喫煙の弊害

定期的に副流煙を吸う人は、肺がんや心臓病という喫煙者と同じような病気を発症するリスクが高くなります。
妊娠中に受動喫煙にさらされた妊婦は早産の傾向があり、低出生体重児や乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクも高くなります。煙がたちこめる家に住む子どもは、呼吸障害や喘息、アレルギー症状を発症する確率が高くなります。

喫煙者ができること

喫煙者が、副流煙をほかの人に吸わせないようにする唯一の確実な方法は、タバコのない環境をつくることです。そのためには完全に禁煙するのが一番の方法です。しかし禁煙する準備ができていない人は、子どもやほかの人からタバコの煙を遠ざけるよう屋内や車内で喫煙しない配慮が必要です。

受動喫煙のリスク

副流煙は4,000以上の刺激物、毒素および発がん性物質を含む毒性の強い物質です。ほとんどの副流煙は目に見えず無臭ですから、どんなに注意していても周辺にいる人は有毒物質を吸いこんでしまいます。窓やドアを開けたり、別室でタバコを吸っても周囲の人を守ることはできません。
タバコを吸い終えた後に窓を開けていても、吸ってから2~3時間は煙が空気中に残っています。たとえタバコを吸う部屋を1カ所に絞っても、ほかの部屋に広がる可能性は残っているのです。

子どもに与える影響

子どもにとって受動喫煙が有害な理由は、子どもは気道や肺、免疫システムが十分に発達していないからです。その結果、以下のような疾患にかかりやすくなります。
・喘息(ぜんそく)
・肺炎や気管支炎のような胸部感染症
・髄膜炎
・耳の感染症
・風邪
自家用車の中の副流煙は、子どもはとても影響を受けやすく、窓を開けていたとしても危険なレベルの濃度になることがあります。車内で喫煙すると、煙が充満した酒場の中にいるときより11倍も高い濃度の毒素を作り出すと推定されています。

電子タバコではどうか?

電子タバコはタバコの煙が発生しないので、普通のタバコで生じる受動喫煙のリスクはありません。この分野に関する研究は現在も続いていますが、電子タバコは大気中にごくわずかなニコチンを放出すると考えられています。
そして現時点で電子タバコの利用は限定的であるものの、そばにいる人への受動喫煙のリスクは普通のタバコより小さいことが明らかになっています。
しかしながら、電子タバコでもニコチンが入っているということは、受動喫煙のリスクはなくても普通のタバコのニコチンと同じ害をもっているということです。

ニコチンの害

•ニコチン依存症
•動脈硬化の促進
•血中コレステロールの酸化
•脂質異常症
女性や妊娠中または妊娠の可能性のある女性では
•女性ホルモン分泌低下
•胎児の成長異常

禁煙するには

ほんとうに禁煙を考えているなら、医師に相談してください。禁煙治療に保険が使える「禁煙外来」をもつ病院は全国にあります(参考:http://www.nosmoke55.jp/nicotine/clinic.html)。

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