記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/8/12
記事監修医師
前田 裕斗 先生
一般的に産後は生理痛が軽くなると言われていますが、反対に出産前より症状が悪化してしまうこともあります。この記事で産後に生理痛が悪化する原因や対処法について知り、辛い症状の緩和に役立ててください。
赤ちゃんを出産すると女性ホルモンのバランスが変わったり、子宮の出口が広がることで、一般的に生理痛が改善しやすい状態になります。
では、産後に生理痛がひどくなるのはなぜでしょうか?
原因として以下のような理由が考えられています。
帝王切開手術後に子宮切開創部に腸などの内臓がくっついてしまうことが原因です。(医学的には癒着と呼ばれます)
子宮の動きに合わせて内臓が引っ張られてしまうこともあり、痛みが強くなることがあります。
自然分娩だった方の場合、生理痛悪化の原因は出産や育児によって生じた骨盤の歪みやズレです。
骨盤が歪むと血行が悪くなるため、痛みが強くなってしまうと考えられます。
特に育児中は赤ちゃんの授乳や抱っこなどの骨盤に負担がかかる姿勢をとる機会が多いため、歪みが治りにくい状態なのです。さらに骨盤だけでなく、骨盤を支える筋肉や腱のバランスが崩れることで骨盤底筋の「コリ」ができてしまうことで痛みを生じる機序も最近は提唱されています。
出産を終えると体内のホルモンバランスが急激に変わります。
この変化は一般的には痛みが改善する方に働くことが多いのですが、人によってはむしろ生理痛がひどくなることもあります。ただしこの変化は一時的なもので、ホルモンバランスが整うにつれて痛みが和らいでいく可能性が高いです。
ただし、元々子宮内膜症(本来は子宮の内側にある子宮内膜が子宮外に発生してしまう状態)をお持ちの方や、月経時痛がひどく月経困難症のある方で出産後ある程度の期間が経っても改善しないときは子宮内膜症が再燃していることも考えられるため、一度医師の診断を受けた方がよいでしょう。
(子宮内膜症は妊娠中はプロゲステロンというホルモンが増えることで症状が抑えられています。そのため産後プロゲステロンが急激に低下することで再び症状が悪くなることがあります。)
産後の生理痛を軽減するには、骨盤のケア、食事内容の改善、冷えを防ぐことが特に効果的です。
骨盤のケアとしては、整体に通って骨盤の位置を元に戻すことや、コルセットで腰への負担を軽くすると良いでしょう。
また、冷えを防ぐために体を温めることもおすすめです。
特に下腹部や仙骨の周りをカイロなどで温めると痛みが和らぎやすいと言われています。
産後の生理痛に耐えながらの育児はストレスを増やす原因になりかねません。
痛みがひどい場合には我慢せずに薬を処方してもらいましょう。
低用量ピル(OC)を飲むと、排卵が一時的に止まって生理痛を引き起こす女性ホルモンの分泌が抑えられます。
服用すると生理痛が軽減する他、月経血の量が少なくなってナプキンの使用量が減る、月経期間が短くなるといった利点があります。
ピル以外の選択肢としては、アセトアミノフェンやイブプロフェンが主成分の鎮痛剤があります。
これらは母乳に影響しないため、授乳中でも安心して服用することができます。
成分には注意が必要なので、服用する場合は必ず事前に医師に相談してください。
「産後に生理痛がひどくなり、その状態が長く続いている・・・」
そのような場合は子宮内膜症になっている可能性があるため、早めに医師の診断を受けましょう。
また、痛みが強い場合は我慢せずに鎮痛剤や経口避妊薬を処方してもらいましょう。