「女性は痛風になりにくい」は過去の話!? 尿酸値がいくつだと危険?

2017/8/22 記事改定日: 2018/3/16
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「女性は痛風になりにくい」「痛風=男性がかかる」というイメージをお持ちの方は多いかと思いますが、実は近年、女性の痛風患者は増加傾向にあり、若い女性でも発症することがあります。今回の記事では、女性が痛風になる原因や基準となる尿酸値などを解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

女性の尿酸値の基準は?

血液検査などの結果用紙では、痛風の原因である尿酸の血中濃度は、「尿酸値」や「血清尿酸値」と表記されます。男性も女性も、この尿酸値の数値が7.0mg/dLであれば基準値内です。なお、用紙などによく表記される基準値は、男性で3.8~7.5mg/dL、女性で2.4~5.8mg/dLですが、こちらは参考程度に考えてください。

女性が痛風になる確率は?

基本的に、痛風になる確率は男性が圧倒的に高いです。かつての国内の統計では、痛風患者のうち男性がほぼ95%を占め、女性は5%程度しか見られませんでした。しかし、近年では食の欧米化や生活習慣の乱れによって、女性患者も増加傾向にあります。

女性は痛風になりにくいはずでは?

本来、女性は痛風になりにくいです。そもそも痛風は、プリン体(尿酸へ変換されます)の過剰摂取、あるいは尿酸の排泄障害により体内の尿酸量が増えすぎたことが原因で引き起こされます。尿酸の材料であるプリン体は、ビールなどのアルコール飲料やモツ・干物・白子・うに・レバーなどの食品に多く含まれます。これらの食べ物を摂取することで代謝の際に産出された尿酸は、結晶となって関節に蓄積され、炎症を起こし、痛風発作につながるようになります。

しかし女性は、分泌される女性ホルモンに腎臓からの尿酸の排出を促す作用があるため、痛風を起こす確率は低いのです。

20代〜30代の若い女性でも痛風に!?原因は?

女性は女性ホルモンの作用によって痛風になりにくいですが、現代のライフスタイルによって、暴飲暴食や運動不足など不摂生な女性が増えてきているため、20代〜30代の若い女性にも痛風患者が増加傾向にあります。また、女性ホルモンの分泌が低下する閉経後の女性も、発症リスクが高いので注意が必要です。

女性の痛風の症状は?

痛風になると、初期症状として足の親指の付け根の関節に激痛が走り、患部が赤く腫れます。早朝や明け方に痛くなる傾向にあります。2週間程度で痛みは治まりますが、放置していると1年後くらいに再発することが多いです。なお、男性も女性も症状に差はありません。

痛風の症状を改善するにはどうすればいい?

痛風の症状に対処するには、病院で抗炎症薬などを処方してもらう必要があります。ただ、投薬治療のみで症状が緩和するわけではありません。痛風はプリン体の過剰摂取という食生活の乱れによって引き起こされる病気なので、根本的にはその食生活を改善することが欠かせません。事実、食生活の改善には腫れや痛みを軽減させる効果があるといわれています。

痛風を予防・再発防止のためにできることは?

痛風を予防するには、食事の量とともにすべての種類のアルコールの摂取量を減らし、脂肪分の多い食事やプリン体の多い食事(タマゴ・魚卵・肉・魚・塩辛など)を控える、水分と野菜を多く摂る、軽い有酸素運動を行う、といった生活改善が効果的と考えられています。

おわりに:ライフスタイルの変化で、女性も痛風になるリスクが。健診では尿酸値をチェックしよう

痛風はプリン体の過剰摂取によって引き起こされる病気なので、特にお酒やおつまみが好きな方であれば、若い女性でも痛風を発症する可能性があります。健康診断の血液検査の尿酸値を参考にしつつ、激痛で苦しむ前にお酒はほどほどにセーブするなど、日頃からの食生活に配慮することが大切です。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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