足底筋膜炎の原因とは!?つらい痛みはどうしたら緩和できる?

2017/8/16 記事改定日: 2018/6/18
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

歩くたびに足の裏が痛い、朝起きて、最初の一歩目を踏み出したときに激痛が走る…。これらの症状は足底筋膜炎の可能性が高いです。ここでは、足底筋膜炎の原因と、痛みを緩和する対処法について説明しています。
足の裏の痛みに悩まされている人は、ぜひ参考にしてください。

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足底筋膜炎を発症する原因にはどんなものがある?

足底筋膜(筋肉を包んでいる組織)は、かかとから足指の付け根にあり、足の裏のクッションの役割をしている「アーチ構造」を支える線維が集まった膜状の腱組織のことを言います。
足底筋膜炎とは、足底筋膜が硬くなることで、歩いたり走ったりした際に柔軟に伸び縮みすることができなくなり、ところどころに発生した断裂から痛みが出ることです。
発症の原因として、以下のことが挙げられます。

運動

足の裏に強い衝撃を常に与えているランナーやサッカーなどに従事するスポーツ選手は、足底筋膜炎になりやすいと言えるでしょう。実際、長時間走り続けるマラソンランナーやサッカー選手は、足底筋膜炎を発症しやすいといわれています。

仕事の影響

潜在的に発症しやすい人として、長時間歩き続ける営業マンやブティックの店員などの立ち仕事をしている人も挙げられるでしょう。立ち続けているため、足底筋膜が常に緊張しており、足底筋膜に断裂が発生しやすくなるのです。

ピンヒールなどの踵高い靴は、「土踏まず」と靴との間に必要以上の隙間ができることで、足の接地面積が減少し、足底筋膜に過度の負担がかります。このため、長期にわたって安定性の悪いヒールの靴を着用すると慢性的な足底筋膜炎を発症する可能性があります。

肥満

私たちは、歩行などの動作のたびに足に全体重がかかるため、特に肥満の人では足底に過度な負担が生じます。肥満の人は、足底の衝撃を和らげるためのクッション構造である「土踏まず」のアーチ構造に歩行のたびに強い衝撃が加わり、その構造を支える足底筋膜にも負担がかかり、炎症の原因となることがあります。

筋肉の柔軟性

足底筋膜は「土踏まず」のアーチ構造を支えており、歩行のたびに伸縮します。このため、足底筋膜の伸縮性が低下した状態になると、足底筋膜への負荷が炎症を誘発することがあります。
また、ふくらはぎの筋肉など、踵と下肢を支える筋肉の柔軟性が低下すると、足のアーチ構造を維持するのに過度な負担が生じ、結果として足底筋膜炎を引き起こすことがあります。

足底筋膜炎になると、どんな症状が出てくる?

基本的には、「歩行時に足の裏、とくにかかと部分が痛くなる。走ったり、跳ねたり、何かをふいに踏みつけたりした時にはさらに痛くなる」のが足底筋膜炎です。

痛みが起こる場所としては、かかと(とくに前方部分)、土踏まず、かかとから遠い足底筋膜の順に痛みが出やすいとは言われていますが、個人差が大きく、場所、そして痛み方ともにさまざまな種類があります。

歩行時に痛みが起こることが最も多いとされ、止まっていた状態からの一歩目が痛いという患者さんは特に多いようです。このような状態が長く続くと、足の裏をつけるのが怖くなり、イライラが収まらないなど精神状態が悪くなっていくこともあります。

また、以下のように患者さんが訴える痛みの種類はさまざまです。

  • 日によって痛さの度合いが変わる
  • 日によってほとんど痛くない日がある
  • 長時間の歩行時に痛みが出る、歩き終わった後に痛みが出る
  • 階段を使うときだけ痛い
  • 履いている靴によっては痛い
  • 足を着くときに痛い、地面から離れるときに痛い

さらに、他の症状として、「痛い」だけではなく、足の裏がしびれている感じがする、立っているときに何かを踏んでいる感覚があるという人もいます。

足底筋膜炎の痛み、どうすれば緩和する?

まず、炎症を和らげるために、なるべく足を使わないようにして安静を保ち、市販の鎮痛消炎効果のある湿布や塗り薬を塗りましょう。また、飲み薬の消炎鎮痛薬(ロキソニン®など)でも、痛みの緩和が期待できます。

病院を受診したときは、鎮痛薬の処方のほかに、ステロイドの局所注射を足底筋膜部分に打つ場こともあります。
そのような処置や治療をしても、症状が芳しくなく、日常生活に支障がある場合は、手術をすすめられることもあるでしょう。

普段のセルフケア

普段取り入れるべきセルフケアとしては、お風呂で足を温めるという方法があります。足底筋膜炎の主な原因は、筋肉が固くなったからであり、温めることによって筋肉もやわらかくして、血流を改善することで、症状の緩和や予防効果が期待できます。
その他、靴のアウトソールやインソールの素材を、状況に合ったものにすることで、痛みが緩和できることもあります。

足裏の痛みはどのくらいで消える?

足底筋膜炎の痛みが消えていく期間には大きく個人差がありますが、安静にし、自然治癒に任せていた場合、3ヵ月から3年程度の期間がかかるといわれています。
しかし、治療してもなかなか治癒せず、8年以上も痛みを抱えていた人もいます。
このように回復に必要な期間は人それぞれですが、平均的には治療を始めてからおおよそ3ヵ月間(10回の治療)が目安になるといわれています。

おわりに:痛みが出たら早めにケアして、慢性化しないように気をつけよう

足底筋膜炎の痛みは慢性化します。前述のように、数年間も痛みに悩む人もいるくらいです。我慢できるからといって放置するのは一番よくありません。なかには、足底筋膜炎を放置したことで歩けなくなってしまったという症例もあるほどです。なるべく早く医師に相談し、治療に取りかかりましょう。

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