記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
甲状腺ホルモンの分泌が増えすぎることで発症するバセドウ病ですが、根本的な原因はまだわかっていません。そのためどのようなことを食事で気をつければよいか、はっきりしたことがわからず心配になることもあるようです。何に気をつければよいのでしょうか。
バセドウ病になったら、海藻類は食べないほうがよいという話はよく聞きます。その理由としては、海藻類に含まれているヨードという成分が、病気の悪化を招いたり、薬の効きを悪くすると言われているからでしょう。
ヨード(ヨウ素)は 人間の生存や成長には欠かせない必須ミネラルのひとつです。海藻や魚介類に多く含まれているため、日本に住む私たちは日常生活の中で摂取することができています。
ちなみに、文部科学省によると 成人のヨード必要量は0.13mg/日ですが、とくにヨードを多く含有すると言われる昆布5gあたりには、ヨード10~15mgが含まれます。また、わかめ5gには0.5mgを含みます。
バセドウ病は、甲状腺ホルモンが体内に増えすぎることによって起こります。その甲状腺ホルモンの材料となるのがヨードのため、ヨードをたくさん含有する海藻類(とくに昆布)の摂取を制限したくなる気持ちはわかります。
しかし、ヨードをたくさん摂ったから甲状腺ホルモンもたくさん作られるというわけではありません。
また日本では、海藻を摂っても薬の効きに変わりないという報告もあります。
つまり、バセドウ病だからといって、必ずしもヨードを制限するは必要ないといえるでしょう。ただし、過剰摂取は避ける必要がありますし、内服薬を飲んでいる人はヨードの摂取量について必ず医師に相談しましょう。
バセドウ病を患うと、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることにより、興奮状態が続いたり脈が速くなったりなど、いつも運動をしているような感覚になります。
それを落ち着かせ、1日の終わりに質のよい睡眠をとるために、寝る前にハーブティーやカモミールティーを飲むのがよいでしょう。
また、亜鉛は甲状腺の働きを正常にする働きがあるため、バセドウ病の改善に役立つと考えられています。
とくに豊富に含むのは牡蠣、他には小麦ふすま、牛肉、鶏肉、豚肉、レバー、卵、チーズ、ごま、油揚げ、アーモンド、ココアなどが亜鉛摂るのに適しています。
なお、すでにバセドウ病にかかっていて、医師との相談により甲状腺ホルモンの産生をある程度抑制する必要があるとなった場合には、ヨードの摂取を制限することもあります。
ヨードを抑制できるメニューには、カレーライスやオムライス、八宝菜や麻婆豆腐、チャーハンなどがあります。
アルコールやとうがらし、コーヒーなどの刺激物の摂りすぎは、バセドウ病の症状としてすでに上がっている代謝スピードを、さらに上げてしまう可能性があるため注意が必要です。
また、脂肪分の摂り過ぎは免疫系に影響する可能性があります。自己免疫疾患のひとつであるバセドウ病が悪化する恐れがあるので注意しましょう。その他、バセドウ病の人は汗をかきやすくなるため、水分補給には十分、留意してください。
なお、治療が終わり、甲状腺ホルモンの濃度が正常になった後は、普通の食生活を楽しむことができます。
ヨードの摂取に関しては、摂りすぎない限りは、ほとんど気にする必要はないとされています。基本的には、1日3食、バランスのとれた食事をとるように心がけていれば大丈夫ですが、もし気になることがあれば、医師に相談しましょう。