記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
2017/8/21 記事改定日: 2019/8/8
記事改定回数:1回
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
バセドウ病を治療しながら仕事を続けることは可能ですが、仕事内容によっては継続が難しい場合があることも事実です。
バセドウ病治療と仕事の両立は可能なのか、この記事で詳しく見ていきましょう。
バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気で、男性1人に対して女性4人ほどと、圧倒的に女性の発症率が多いです。
バセドウ病になると甲状腺ホルモンが増加することで代謝が必要以上に活発になってしまい、体の様々な部分で支障をきたします。
バセドウ病を発症した場合でも、すぐに仕事を休んだり辞めないといけないというわけではありません。
実際に治療を行ないながら仕事を続けている方もたくさんいます。
ただし、バセドウ病は甲状腺ホルモンの分泌量が多いので体力の消耗が通常よりも激しく、しばしば「常にマラソンをしているような状態」と例えられるほどです。
絶えず運動をしているような状態になるため、暑いと感じることが増えて汗をたくさんかくようになります。
とくに体を使うことが中心の仕事内容の場合は、以前と同じ調子で働いてしまうと危険な状況に陥ることもあります。
また、甲状腺ホルモンの数値が高いと寝ている間も体力がかなり消費されるので、起床後は体が重く感じ、思うようなリズムで生活することが難しくなることも多いです。
加えて、イライラしやすくなる、感情の波が激しくなる、注意力や集中力を欠く・・・など気持ちの面でも変化が現われるため、デスクワークなど内勤の仕事でも影響が出る可能性があります。
また、機械操作や自動車の運転などでもミスをするリスクが高まることを知っておきましょう。
バセドウ病の治療は大きく分けると、
があります。症状の重さ、甲状腺ホルモンの多さ、妊娠希望などによって、それぞれの治療が使い分けられます。
まずは飲み薬である抗甲状腺薬から始めることが多いため、外来で治療ができます。仕事との両立も可能です。しかしバセドウ病の治療は数年単位でかかるため、あまり無理をせず、辛いときは休みながら治療を進めていきましょう。
上記のようなバセドウ病の治療にはさまざまな副作用が生じます。
このように、バセドウ病の治療にはそれぞれ副作用があり、その都度適切な治療や薬の調節などを行う必要があります。
定期的な通院が必要になり、突然の体調不良などで受診を余儀なくされることもありますので、治療と両立させるためにも、職場の理解を得ておくようにしましょう。
また、このような副作用を少しでも減らすため、医師の指示通りに治療を続け、薬の飲み忘れなどがないようにしてください。
バセドウ病の症状はストレスに左右されやすく、どんなに仕事にやる気・やりがいを感じていても、仕事によって生まれたストレスでバセドウ病が悪化してしまうことがあります。
職種や職場環境によっては、フルタイムからパートタイムや短時間勤務に切り替えるなどの調整が必要になるでしょう。
また、甲状腺ホルモン数値が安定するまでは、しばらく仕事を休んで治療に専念したほうが良い場合もあります。
治療と仕事の両立には職場の上司や同僚の理解が欠かせません。
バセドウ病の影響で勤務中に体調が崩れる恐れがあることを説明し、症状によって仕事の内容を変更してもらうなど、自身が無理のない範囲で働ける環境を整えておくことが大切です。
また、バセドウ病は見た目では判別しにくいため一見元気なように見えていることも少なくありません。
自分の意思とは関係なく疲労感や眠気が襲ってくるといった、バセドウ病のせいだとわかりにくい症状についても周囲の人に説明しておくと良いでしょう。