記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/15
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
子どもから、
「赤ちゃんはどうやって生まれてくるの?」
「セックスって、何?」
といった直球な質問をされたとき、どうしていますか?
「恥ずかしいからついついはぐらかしちゃう・・・」
「この子にはまだ早い!から話さない」
なんて人に、特に読んでいただきたい記事です。
子どもから性に関する質問をされると動揺するでしょうが、子どもが自分の身体や他人に興味をもつようになるのは自然なことで、「話をするには早すぎる」ということはありません。
性の質問に真摯に答えることは、子どもの身体や気持ち、他人の気持ちを理解するのに役立つだけでなく、思春期でのオープンで誠実なセックスと恋愛関係を築くうえでの基礎にもつながります。
セックスについて話しても、子どもが「セックスをしたい」という気持ちになるわけではありません。研究によれば、保護者がセックスについてオープンに話をしている家の子どもはセックスをはじめる時期が遅く、避妊をする可能性がより高いという結果があります。
性やセックスへの知識が不十分だと、性的虐待だと自覚しないうちに被害に遭ってしまったり、避妊の方法を知らずに望まない妊娠をしてしまったり、性感染症(STI)にかかってしまったり、というケースにつながる場合があります。
そのようなトラブルを防ぐために、「どんなことが適切で、どんなことが不適切なのか」を子どもがきちんと理解できるよう、早めに性教育を始めることが大切です。
子どもによって異なりますが、あなたの答えに満足しているようで追加の質問をしてこないなら、十分な情報を与えたと判断して大丈夫です。
また、詳細を話す必要はありません。短く、簡単な答えで十分でしょう。
子どもの質問への基本的な答え方や対応の仕方は、以下を参考にしてください。
・(女の子の場合)「なぜ自分にはペニスがないの?」
「男の子にはペニスがあり、女の子には膣がある」と話してください。この子の好奇心は満たされるはずです。
・「赤ちゃんはどこから来るの?」
こういった質問では何を聞きたいのか特定し、必要以上に複雑にしないことが重要です。
まず「赤ちゃんは女性のおなかの中で成長し、準備ができたらこの世界に出てくるの」と答えてみてください。もしこの答えでは不十分な場合は、以下のような質問がくるので、その都度正確に答えてあげてください。
・「赤ちゃんはどうやっておなかに入るの?」
→「男性がそこに種を入れるのよ」
・「赤ちゃんはどうやって出てくるの?」
→「膣と呼ばれる女性の体の特別な通り道を通って出てくるのよ」
まず、子どもには性や人間関係について保護者に話しても大丈夫であること、また保護者が喜んで話をしてあげることを知ってもらいましょう。あなたの話し方と声の調子でも伝わります。性を日常的なトピックとして扱うように心がけてください。
また子どもは、以下のような性の先の重要なトピックについても知る必要があります。
子どもは、思春期になる前に思春期について知る必要があります。そうしないと、変化を怖がったり、ショックを受けたりする可能性があるからです。
女の子はおよそ10歳で生理が開始すること、男の子は12歳くらいで体に変化が起きることをそれぞれ知る必要があります。また、男の子が生理について学び、女の子は勃起について学ぶのもよいでしょう。
もし思春期が近づいても何も質問してこない場合は、日常会話に盛り込んでみてください。たとえば、テレビ番組の中で出てきた話をしたり、店でタンポンやナプキンを見かけたときに生理の話題を出してみたり、などの方法があります。
思春期は子どもの成長の印であり、誰にでも起こる変化だという点を伝え、安心させてあげましょう。
初めてセックスをする前に、子どもは妊娠、避妊、コンドームの使い方などの知識をつけ、より安全なセックスを知る必要があります。これはより安全なセックスや、やりたくないことをしないなど、何を考えるべきかを判断できるようにするためです。そうすることで時が来たら、正しい決定をすることができます。
なお、ゲイ、レズビアン、バイセクシュアルであっても、安全なセックスについて知る必要があります。女性は女性に、男性は男性にSTIをうつすことがあります。ただこのとき、「同性愛は間違いではない」などセクシュアリティの問題にふれることも大切です
性についてオープンにしていると、スーパーやバスの中などで聞かれるケースがあります。
そんなときは、「良い質問だけど、家に帰ったときにしましょう」「いい質問だけれど、2人だけのときに話しましょう」などと答えましょう。そして後で話をすることを忘れないでください。
思春期前から子どもに性教育をすることがいかに重要か、おわかりいただけたでしょうか。
「性についてオープンにしすぎると、ふしだらな子どもになってしまうのでは?」などと考える人もいるかもしれませんが、子どもを健全に育て、守っていくためには家庭での教育が欠かせません。保護者だからこそ、恥ずかしがらずに子どもの質問に向き合ってあげてください。