カフェインの効果を最大限活かすための方法とは!?

2017/8/23 記事改定日: 2018/5/24
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

カフェインには気分をシャキッとさせるといった覚醒作用の他にもメリットがあり、糖尿病や心臓病のリスクを下げるなどの効果が期待されています。
この記事では期待されるカフェインの効果と、その効率的な摂り方を紹介します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

カフェインの効果にはどんなものがある?

カフェインには様々な効果がありますが、中でも覚醒作用、鎮痛作用、利尿作用が有名です。それぞれの特徴は以下の通りです。

  1. 覚醒作用人の脳の中にはアデノシンという物質があり、これは脳の働きを抑制してリラックスさせたり、眠気の誘発作用があります。カフェインはこのアデノシンが作用するために必要な受容体をブロックするため、アデノシンのリラックス効果がうまく働かなくなり、常に興奮して覚醒した状態になるのです。
  2. 鎮痛作用カフェインは血管を収縮させる作用があります。このため、血管が拡張して周辺の神経を刺激することで起こっている頭痛などには鎮痛効果が期待できるとされています。市販の鎮痛薬の中にはカフェインが含まれているものがあるので、機会があったら成分を確かめてきてください。
  3. 利尿作用カフェインが血管を収縮させることで、血圧が上昇し、一時的に腎臓への血流が増加します。腎臓への血流が増加すると尿がより効率的に生成されるようになり、尿の量が増加することが知られています。このため、試験前など眠気を覚ましたいときでもトイレに行けない状況が予想される場合にはカフェインの摂取は控えた方がよいでしょう。

時間

カフェインは摂取すると速やかに体内に吸収されます。体内に吸収されて効果が現れるまでの時間は、冷たい飲み物か温かい飲み物かで異なり、一般的には冷たい飲み物の方が吸収が遅いと言われています。温かい飲み物では30分ほどで効果が現れますが、冷たい飲み物では1時間ほどかかることもあります。
また、効果は4~6時間ほど持続するといわれています。ただし、カフェインは肝臓で分解されるため、肝臓の機能が低い人は効果持続時間が長くなる傾向にあるので注意が必要です。

カフェインは健康にも効果がある?

上記で説明したように、カフェインは気分をシャキッとさせたり、高揚させたりするような覚醒作用があることがよく知られていますが、はっきりと証明されていない部分もありますが、以下のような健康効果が期待できるといわれています。

インスリン感受性を改善する

インスリンは血糖値のコントロールに欠かせないホルモンです。糖尿病になるとインスリンがうまく機能しなくなり、糖をエネルギーとして細胞に送ることが難しくなり、血糖値が高くなってしまいます。

カフェインにはインスリンの働きを改善する効果がある可能性が示唆されていて、もしこの作用で血糖値コントロールができるようになれば、糖尿病の治療に役立つのではないかと考えられています。
また、お茶に含まれるいくつかの成分が脂肪細胞に対するインスリンの作用を15倍近く高める可能性があることも示唆されています。

心臓病やがんのリスクを減らす

1日4杯以上のコーヒーを飲む人はコーヒーを全く飲まない人と比べて大腸がんのリスクが低いという研究結果が出ています。また、緑茶に含まれるフラボノイドにもがんのリスクを減らす効果があるといわれています。

心臓病については、コーヒーの消費量が1日2杯以下である場合は心臓発作になりにくいという研究結果が出ていますが、それ以上にコーヒーを消費すると逆効果になるようです。

抗酸化作用がある

コーヒーには高い抗酸化作用があります。
また、お茶にもポリフェノールという強力な抗酸化物質が含まれており、がん、心臓病、脳卒中の予防に役立つ可能性が高いと考えられています。

認知症予防に効果がある可能性が高い

脳内で生成されるアデノシンという神経伝達物質にはリラックス効果があるとされていますが、分泌量が多すぎると神経細胞の活動が減少し、物覚えが悪くなるなどの記憶力低下につながります。
この神経伝達物質の持つ鎮静効果をブロックする役割を果たすのがカフェインです。
そのため、カフェインには記憶力を増強させる効果が期待されています。

カフェインを効率良く摂る方法

ここではカフェインを効率良く、より健康的に摂取する方法をご紹介します。
以下の点に注意しながらコーヒーや緑茶、紅茶などを楽しんでください。

① お茶は淹れたてを飲む

カフェインなどの含有物質をムダなく摂るには淹れたてのお茶が最適です。
ペットボトルや缶に入ったお茶では、抽出される物質が淹れたてのお茶に比べて少なくなってしまうからです。

② 余分な糖分、カロリーはなるべくカットする

コーヒーや紅茶などを飲むことで余分なカロリーを摂取してしまわないよう気をつけましょう。
特にカフェのおしゃれな飲み物にはホイップクリームやシロップなどが使われているため、カロリーや脂肪分が多くなりがちです。
カフェラテやミルクティーやその他のミルク入りの飲料を注文する場合は砂糖を入れずに無脂肪乳に変えてカロリー摂取量を減らしましょう。

カフェインを摂るときの注意点

カフェインは私たちにとって良い効果をもたらす半面、摂り方を間違えると思わぬ副作用を生じることがあります。

まず、摂取量ですが、国際基準では一日のカフェイン摂取量は400㎎までと推奨されています。これはコーヒー5杯分のカフェインであり、これ以上の摂取は健康被害をもたらすこともあるので控えた方が無難でしょう。
また、カフェインは摂取してから6時間ほどは効果が持続するため、夕方に摂取すると睡眠時に脳が覚醒状態となり寝つきが悪くなったり、良質な睡眠が得られないことがあります。夕方以降の摂取はなるべく控えた方がよいです。

そして、妊娠中の場合は、胎盤を通して赤ちゃんにカフェインが渡ってしまい、過覚醒などの状態を引き起こすことがあるため、妊娠中はカフェインが含まれた飲み物や食べ物は避けるようにしましょう。

おわりに:カフェインは摂取に気をつけて、適量を心がけよう

カフェインには様々な効果があるとされていますが、たくさん摂りすぎる健康を害してしまう可能性があります。
1日の摂取量を守り、コーヒーや緑茶、紅茶の飲みすぎには気をつけるようにしましょう。

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