記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/24
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
子供の体にぽつぽつできるまるいかたまり、あれっと思っているうちに、何日かで急激に広がります。それって、水いぼと言われているものかもしれません。水いぼだったら楽しみにしているプールに入れないかもしれません。
この記事では、水いぼとプールについてまとめました。
水いぼでもプールには入れるかは、通っている保育園や幼稚園、プールなどによっても違います。まず、水いぼの感染についてみてみましょう。
水いぼは医学的には伝染性軟属腫と言います。7歳以下の子供に多い皮膚の感染症で、伝染性軟属腫ウイルスで人から人へうつります。まだ、皮膚が薄く、免疫機能の未熟な乳幼児は、感染しやすいのです。
水いぼをつぶすと、黄白色の塊がでてきます。この中にウイルスが入っています。
健康な子供では、6ヵ月~3年で自然治癒しますが、個人差が大きいので、いつ治るかの予測は難しいものです。特に、アトピー性皮膚炎の子供は、湿疹を掻くのと一緒に掻いてしまい、全身に広がってしまいます。また、ステロイドの軟膏を塗ると水いぼが増えてしまい、アトピー性皮膚炎の治療が適切にできなくなってしまいます。
水いぼをとるメリットは、他への感染を防ぐ、幼稚園や保育園でプールを禁止されているのでとればプールに入れる、見た目でいじめられるのを防ぐ、などがあります。数が少ないうちにとることもできます。しかし、とるときに痛いので、子供を泣かせてまでとるかは議論されています。
掻いてつぶれたり、寿命で自然に脱落したりしたものが、他の部分の皮膚や、他人の皮膚について感染します。
1個できたら、その近くに増えていきます。水いぼを引っ掻いた指で触わった皮膚にも感染し、次々と増えてきます。
では、プールの水で感染するのでしょうか?
日本小児皮膚科学会で公式に発表している「学校感染症 第三種 その他の感染症:皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解 皮膚の学校感染症について」からプールについての部分を抜粋します。
伝染性軟属腫(水いぼ)
「プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。ただし、タオル、浮輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することはできるだけ避けて下さい。プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう。」
集団生活でのプールでの感染は、複数の検証の結果、ビート板や浮き輪を介しての感染でした。
幼稚園や学校での伝染病への対応は、学校保健法で定められています。(当時の)文部省が1999年3月にまとめた「学校において予防すべき伝染病の解説」では、水いぼの場合、ビート板や浮き輪の共有は避けるように指導していますが、プールに入ることまでは禁止していません。
水いぼの感染経路は、ほぼ接触感染ですが、タオルやビート板などを共有することでの間接感染もあります。水いぼがつぶれた中のウイルスが感染源になります。プールや水泳で直接肌が触れると感染しますので、水いぼは覆ったり、処置したりしておくことが大切です。そして、タオル、ビート板、浮き輪などの共用を避けることです。
今までの記事で見てきたように、水いぼは自然治癒するもので、感染しないよう注意することで、プールに入れます。でも、感染することを恐がって子供が楽しく遊べないのも困ります。数が少ないうちは、切除もそれほどつらくはないので、検討してみましょう。切除するかどうかは、皮膚科の医師に相談するのが良いでしょう。